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鹿児島のボランティアさんからの手紙

鹿児島のボランティアさんからの手紙
【保護犬マリアのわんダフルライフ】

この物語は、山奥の崩壊した繁殖場から奇跡的に保護された1頭の小さなラブラドールレトリーバーが、絶望の日々から希望に満ちた日々へと幸せをつかむまでの“一夜にしてわんダフルライフ”なシンデレラ・ストーリーです。

今では縁あって連絡を取り合うことができる、鹿児島の崩壊した繁殖場からマリアたちを救出してくれたMさん。マリアがわが家にやってきてしばらくしたある日、彼女から1通の手紙が届きました。あのころの記憶を、正しく伝えたいと・・・・。それは驚くべき内容でした。Mさんは今でも当時、目に焼きついた悲惨で残酷な光景が、悪夢としてよみがえることがあるそうです。

「私たちボランティアが繁殖場でほんの少し救出活動ができるようになった2007年の夏、マリアたち大型犬は屋根のない屋外で過ごしていました。雨が降らない日が続き、石のように硬くなった地面に一生懸命穴を掘り 、隠れるように身をひそめていましたが、本当に日陰などほとんどない、灼熱(しゃくねつ)の太陽の下で過ごしていたのです。中型犬、小型犬は畳一畳半ほどのスペースしかない、段ボール箱が敷かれた物置の中へ閉じ込められていました」


段ボール箱が敷かれただけの物置の中へ閉じ込められた犬たち

「その物置のドアはいつも閉ざされたまま。重い扉はわずか1~2cmほどのすき間しか開けてもらえなかったのです。それゆえ日中もまったく日が当たらない真っ暗な世界。しかも物置の中は、むせ返るほどの、例えれば、真夏の炎天下に何時間も放置したクルマの車内を思わせる、耐えられない暑さでした」

「扉を開けるとモワッとした、オーブンの中のような熱さを感じたのを覚えています。何日も掃除などされていないため、あたり一面、ふん尿まみれです。段ボールはグショグショにぬれていました。その中でたまに与えられるわずかな水と、わずかな食事をもらいながら何頭もの犬が生きて、暮らしているのですから、あたり一面、反射的に息をとめながら掃除をしなければならないほどの悪臭が立ち込めていても不思議ではありません」

「マスクをしていても、悪臭に耐えきれない。私はむせ返りながら段ボールを1枚ずつ取っていきました。体に染み付くような臭い、それは一生忘れられないと思います」


悪臭にまみれた悲惨な繁殖場

「そのとなりの物置にも同じように小型犬が数頭、押し込まれていました。スペースはさらに狭く、犬たちは互いに踏みつぶし合いながら、その狭く、暑い、ふん尿まみれの中で毎日、生きながらえていたのです。その犬たちを目にした時は本当にゾッとしたことを覚えています」

これが現場です。繁殖場なんていえるでしょうか? マリアたちはこんなところで何年も暮らしていたんです。

「初めてあの敷地へ足を踏み入れたとき、犬の鳴き声が聞こえ、まさか・ ・と恐ろしくなりながらも物置に近づくと、犬が犬の上に乗り、その上にまた助けを求めるように犬が乗っている姿と、わずかなすき間から私たちを見つめる小さな黒い瞳が見えたのです」

「ここで一体、何頭の犬が亡くなったんだろう、って考えずにはいられませんでした。あんな環境の中に何年もの間、犬たちが閉じ込められ、大型犬たちは鎖でつながれ宙づりの状態で生きていたのですから、怒りよりも、この場所で生きていた犬たちがいたという現実にとてつもない、吐き気をもよおすほどの恐怖を感じました」


繁殖場の1頭 いちごちゃん

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