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光を失った犬が教えてくれたこと【保護犬と暮らす】

ノンがやって来る前、Y田さんのお宅には1代目愛犬となる小春(ビーグル、メス、2014年7月17歳で天寿全う)と2代目の若葉(フラット・コーテット・レトリーバー、メス、2014年9月9歳で天寿全う)という2頭の犬がいた。

「愛想がないのもここまでくれば立派と言いたくなるほど人見知り、犬見知りで、世間のウケなど気にしない我が道を行くタイプ」という小春に対し、「やんちゃ・元気・明るい、と3拍子そろったイタズラ大好き」の若葉とはいいコンビで、Y田さんご夫妻は時間を見つけては2頭を連れてアウトドアを楽しむ生活を送ってこられた。


我が道を行くタイプの小春/©Y田

山へ湖へと出かけた先では、キャッキャと遊ぶ若葉を尻目に、小春はテントサイトの守り番をかって出て、ひとりゆっくり昼寝を決め込む。こと若葉は、水が少々苦手だったものの、ある日突然泳ぎを覚え、その楽しみを知って以来、泳げる場所に行くと遊ぶ時間のほとんどをスイミングに費やしたという。


泳ぐことが大好きで、飽きるほどに水の中を楽しんでいた若葉/©Y田

フラッティらしく巧みに泳いでは投げてもらったオモチャを口に咥えて回収してくる。その様子を見ると、なんとも見事なレトリーブぶりだが、実は、若葉は目が見えていないのである。残念なことに、生後7ヶ月の時、緑内障によって光を失ってしまったそうだ。

「これからという時だったのに、若葉の失明がショックで、当時の私は今思うと大げさに思えるほど嘆き悲しんでいましたし、『このまま可哀相な犬にしないぞ』とやたら力んでもいました。当の若葉も失明後1週間くらいはフラッティらしい天真爛漫さを失くしてしまって…」

当初は、見えなくなった不安と目の痛みからか、Y田さんがそばを離れると、聞いたことのないような声を出して鳴いていたという若葉。散歩も一家全員がそろっていなければ、怖くて途中で体が固まってしまっていたという。義眼挿入の手術も受け、Y田さんは心配な日々を過ごした。

「ところが、術後の体力も戻って、しばらく経ったある日のこと、泣いている私の目の前を、スリッパを咥えた若葉がふっと横切ったんです。イタズラ好きの若葉が戻ってきた気がしました。それからというもの、まだ若かったせいもあるとは思うのですが、若葉は光のない生活にもすぐに慣れ、生活上で困ることもあまりありませんでした」

体を壁や家具にぶつけながらも、ごはんのある場所まで自力でたどり着き、車のキーの音を耳にすればお出かけだと喜ぶ。若葉の“生活”は、彼女なりに再スタートしたのだ。

この若葉との経験が、「今ある現実と、与えられた環境の中で、少しでもハッピーでいられるよう、ただ頑張るしかないんだと気づかせてくれたのだと思います」、とY田さんはおっしゃる。

犬は、たとえ苦しく辛い状況にあっても、ただひたすら真っ直ぐに、生きることをやめない、諦めない。そんな姿に、はっと我に返った経験がある人も多いのではないだろうか。Y田さんも、そんなひとりだった。

それからたくさんの思い出を重ねて9年後、共にいくつかの病気を患い、大好きなお姉ちゃん犬の小春のあとを追うように、若葉も生涯を閉じた…。


大の仲良し、小春&若葉。「特に若葉から教えられたことは大きい」とY田さん/©Y田

「小春と若葉が相次いで逝ってからというもの、我が家は何かが止まってしまったという感じでしたが、ノンが来たことで、それがまた動き始めました」

かつて小春と若葉を連れて行った山や湖、キャンプ場の数々を、今度はノンを連れて訪れる。そして、同じ場所で記念撮影をし、しみじみと思い出に浸りながら、暖かいノンの体を抱き締める。

「正直、準備や後片付けを考えるとキャンプは面倒くさいと思ってしまうこともあるのですが、ノンのウキウキワクワクとした素振りや、生き生きとした表情を見ると、そんなこと忘れてしまいます」、と笑うY田さんの目には、ノンの嬉しそうな顔の向こうに小春と若葉の笑顔が重なって見えているのだろう。

そうそう、ノンはというと、“なんとなくそこにいるだけ”風だったのが、今ではかつて小春が好きだった同じ寝場所で寝るようになり、散歩やお出かけと知ると若葉と同じように玄関に急ぎ、そわそわと待ちわびるようになったそうだ。そして、小春や若葉がしたように、Y田さんご夫妻のティータイムにはちゃっかり参加もする。

「気がつけば、ノンがだんだんと小春や若葉に似てきているんですよ。飼い主である私たちがそうさせているんですかね?」、というY田さんの声はどこか嬉しそうだ。

そして、今ではすっかり甘えん坊になったというノン。


ご夫妻のティータイムに参加するのも楽しみの1つとなったノン。「最近ではちょっとばかり増えた体重を落とさなければというのが嬉しい誤算なんですけどね(笑)」(Y田さん)/©Y田

「小春はペットショップから、若葉はブリーダーから、ノンは保護団体から。犬をどこから迎えるかは人それぞれですが、うちのコになってしまえば、みんな同じように可愛いですよ」、とY田さん。

そう、犬は犬、みな同じ。彼らを思う気持ちがあれば、多くの犬は、それ以上に応えてくれる。小春のように、若葉のように、そしてノンのように。


きっと今頃、Y田さんご夫妻はまたどこかでノンと一緒に自然を満喫しているのかも。「アウトドアって、最高!」by ノン/©Y田

取材・文/犬塚 凛

配信サイト:「ペットゥモロー」(小学館)
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