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天国に旅立ったマリアが教えてくれた「犬の十戒」

【マリアの十戒】

2007年9月28日、鹿児島の崩壊した繁殖場からまさに九死に一生の幸運を受けて、地元のボランティアさんにレスキューされ、「幸せになるんだよ」と、向日葵の首飾りをつけてもらい、空路、東京へ送り出されることになった小さなラブラドールレトリーバーの女の子、鹿児島時代はボランティアさんにその白味がかった毛色からエクルという名前だった、当時、2歳半のマリアは、以来、わが家が里親として引き取り、家族の中心となり、”一夜にしてわんダフルライフ”を謳歌。

家族とともに、わが家での12年9カ月の日々、思い出を重ねました。そして推定年齢、14歳9カ月の2020年6月12日、0時35分、わが家のリビングルームのマリアのお気に入りの場所で、カミサンとボクに看取られ、静かに、安らかに第三の犬生に旅立ったのです。小学館PETomorrow「マリアの一夜にしてわんダフルライフ」というこれまでの連載記事は、そんなマリアの、本当に一夜にして幸せを(多分)つかんだ、第二の犬生のシンデレラストーリーでした。

そんなマリアが若かりし頃、ボクたちに教えてくれたのが、犬の十戒ならぬ、マリアの十戒です。いつかお別れの日がくることを、犬は、マリアは知っていたのでしょう。

其の一 私の一生はだいたい10年から15年。あなたと離れるのが一番つらいことです。どうか、私と暮らす前にそのことを覚えておいて欲しい。

マリアは1日でも長く健康でこの家にパパやママと居たいです。一人ぼっちの留守番やホテルにお預けもあるけど、いつもの散歩はたくさんしてくれるし、美味しいごはんもくれる。いっぱい語りかけていっぱい触ってくれる。だからパパやママが忙しいときはいい子で我慢します。

毎日寝てばかりいるようだけど、パパやママの姿や声が聞こえると安心するの。家族が仲良く笑っている輪の中にマリアもいられれば幸せなの。パパとママが喧嘩をするととても悲しい。だからあまり喧嘩はしないでね。


ホテルフォレストヒルズ那須のフォトブック

ママはマリアが長生きできるよう良質のフードを食べさせてくれる。もちろんごはんも大好きだけど、マリアは人間の食べてるものが大好き。急に食事のときパンやフルーツをくれなくなったらいじけてしまうかも・・・でもそれはマリアに長生きしてほしいためなんだよね。理解することは難しいけど、病気になってからでは遅いのでマリア我慢します。

マリアはパパとママと一緒に出かけることが大好き。マリアの荷物を用意してると、もうワクワクでじっとしてられない。玄関で絶対に置いていかれないよう待機してるもん。あまりの興奮状態に手を焼いてるみたい。だからマリアの荷物は出かける寸前に用意するらしい。

これからも車でいろんな所に連れて行ってね。旅行中はずっとパパとママと一緒だし、美味しいものも食べられる。マリアは出先でもパパやママを困らせないよういい子にしてるよ。

其の二 あなたが私に何を求めているのか、私がそれを理解するまで待って欲しい。

いたずらをしたり、散歩でパパやママを勢いよく引っ張ったりして叱られることがある。初めは何で叱られるのか理解できなかった。叱られることがこわくて、その時とはしゅんとするけど・・すぐ忘れてまたしてしまう。そんなとき、「何度言ったらわかるの!」と、叩かれ、お説教をされても、犬は理解できないよ。マリアは来たばかりのころ、夜中にこっそり、いろんなものを食べたの。お腹が空いていたわけではないけれど・・繁殖場時代、子犬のころから短い鎖に繋がれたままで自由がなかったから、悪戯なんてしたくても出来なかった。人間に飼われ、見るものがすべてはじめてだった・・毛布のいい臭い、キャラメルのミルクの臭い・・こんなに美味しいものがあるなんて!!・・・と。せっかく着せてくれたドッグウエアの袖口まで食べてしまったときはパパもママも大笑いしていた。それで、当時、ついたあだ名がグレムリン。夜中に豹変するかららしい(わが家にやってきて半年もすると、とてもいい子になったんですけどね)。

いつもは朝、ママが2階の寝室から階段を下りてくると、1階のリビングルームにいるマリアは駆け寄っていくんだけど、悪戯をした朝は気配を隠していた。叱られるのは分かっていたから・・・。そしてママはマリアを呼んで低い声で叱るの。マリアが「精一杯反省してます」顔をすると「もうしてはダメよ、わかった?」と言って、許してもらえたことはわかっているので、ついつい満面の笑顔になってしまいます。

パパは今まで、人に甘えることも、悪戯をすることも出来なかったからいいんだよ、とマリアを叱ることはなかった。しばらくして、ママはマリアが悪戯しそうなものを置いておいておくほうが悪いのねと・・マリアの悪戯しそうなものを片付けてくれるようになったの。最近は食べ物以外!?の悪戯はしなくなったんだよ。食べ物もテーブルの上にあるものは絶対食べない。ゴミ箱の中とか、床に置いたママのバッグとか、買い物袋の中身とか、何かおいしそうなものがあれば、たまに悪戯はするけどね・・・。

マリアが鹿児島の山奥から来たばかりの頃、散歩が怖かった。車はゴーゴー走ってるし、知らない人間や犬たちがたくさんいたから・・・。マリアはママの足元にまとわりつき、座り込み、5mを歩くのも大変だった。でも、ママは、無理はさせなかった。

散歩が嫌いな犬なんて絶対にいない、といって少しずつ歩く距離を延ばしてくれたの。わが家の住宅街には、幸運にも、お散歩にぴったりのいくつもの公園、緑地があるけれど、少し遠くにある公園へはクルマで連れて行ってくれた。そこは広くて緑がいっぱい、ドッグランもあって楽しい場所だった。

やがて、その公園まで、怖がらずに歩いて行けるようようになった。それこそ、そこへ行きたくて、ママをグイグイ引っ張ったぐらい。ママは散歩の道中、きちんと横に付いて歩くことを教えてくれて、公園の広場ではオスワリ、マテ、フセ、コイなどの基本的な訓練を毎日10分ぐらいしてくれた。できたら、たくさん褒めてくれた。マリアが苦手なこともママが一緒だから大丈夫と思えるようになっていったんだ。それとママはいろんな犬の飼い主に話しかけたの。だからマリアにたくさんお友達ができた。今はお散歩がだーい好きな、半人前(半犬前)の犬になることができたんだ。

それでも、マリアはほかの犬よりも怖がり。ちょっとした音でもシッポが中に入ってブルブル震えてしまう。ママは大丈夫よと言ってくれるけど、こればかりは、鹿児島の崩壊した繁殖場時代のトラウマもあって、中々、克服できない。一人前になるまでまだまだ時間はかかるけど、ゆっくりとやさしく付き合ってね。

其の三 私を信頼して欲しい、それが私の幸せなのだから。

ダメ犬とかバカ犬とか、世間ではよく犬に向かってそう言い放つ飼い主がいるけれど、もともとそんな犬なんて1匹もいないんだ。犬は飼い主と信頼関係で結ばれていることが大切。ダメな犬、バカな犬のように見えるのは、飼い主が信頼に値するリーダーではないから。私たちは飼い主の役に立てること、喜ぶ顔が何よりもの喜び、望み。

だからいつも飼い主をじっとみているんだ。私を見てと、精一杯シッポを振っても無視されたり、唯一の楽しみの散歩やご飯を忘れられたりしたら、信頼関係なんで築けるはずもないでしょ。最低限の要求も満たされなければ、もう、吠えて訴えるしかないんだ。躾とばかりに厳しく訓練されても、叱られるのが怖いからそのときはいい子でいるけど、すぐ忘れてしまう。それが犬であることを理解してほしい。

パパやママは先代のゴールデンレトリーバーを飼う時、知り合いの人に信頼されるリーダーになるという本をいただいたらしい。

信頼されるリーダーになるために、ママは飼い主と一緒に行う犬のしつけ教室に2年半、毎週通ったんだって。そこで愛犬と楽しみながら基本的な訓練を習得したらしいんだ。


先輩犬のゴールデンレトリーバーのナナ

犬は人間とは違う生き物。甘やかして育てては、犬がリーダーになってしまう。犬はリーダーより2番手、3番手の方が楽。一番下はイヤだけどね・・・。人間社会では犬に社会性を身につけてもらい、犬としての在り方を知って暮らしたほうがずっと幸せなんだ。家庭犬として必要最低限のしつけが出来ていれば、愛犬との生活は何倍も楽しくなる。留守番のとき吠えてはいけない、散歩のとき他の犬と喧嘩をしてはいけない。トイレは決まった場所でしなくちゃいけない。ご飯だって決まった時間まで我慢する。日常の生活の中で人間が教えて習慣づけてあげれば愛犬との信頼関係は築けるはずだと思う。

信頼されるリーダーとは、愛犬の食、住、運動、ふれあいを十分に満たしてあげられる飼い主のこと。信頼されるリーダーの下では犬はストレスなく従順に暮らせるものなんだよ。

先代のナナ先輩は子犬から飼われ、とてもいい子だった偉大なレトリーバーの大先輩。その後、ナナ先輩の生まれ代わりとして(ナナ先輩が宙に旅立ったころ、生まれたのがマリアです)、この家にやってきて、飼われたのがマリア。はじめは家族さえ怖がり、家の中でも逃げ回っていた。何しろ、2日前までは山奥の繁殖場で暮らしていて、頼れる親、姉妹と別々にされたのだから、もうパニック状態。繁殖場に戻りたいと本心で思っていたぐらいなんだ。その頃のマリアには、犬らしい愛くるしさを表現する方法なんて知るはずもなかったんだ。

でも、そんなマリアを、パパやママは、おりこうさんだった先代ナナ先輩と比べることはほとんどなかった。マリアのような特別な環境で育った犬が、立派な家庭犬に成長するには、時間が必要であることを、パパやママは理解していたからね・・・。そしてパパやママはマリアの性格を尊重し、家族の一員となりつつあったマリアを、信頼してくれたの。マリアは氷が溶けるように、ゆっくりゆっくりと、家庭犬として生活に溶け込んでいったんだ。

2才まで山の中の繁殖場で育ち、名前もなく犬社会で人間と関わりなく育ったマリアが、わが家に来てもう5年近くなる。モータージャーナリスト、ドッグライフプロデューサーとして活動している、パパのお仕事の手伝いまで出来るぐらいまでいい子になりました。雑誌やwebで、モデルのお仕事までさせてもらうようになったんだよ。


マリアの撮影中・・・NAVI CARSの犬の特集にも登場

マリアが今でも忘れない、はじめてのドライブ旅行は、わが家にやってきて2カ月を過ぎたときでした。目的地は、那須高原のイマジンドッグスという、お泊り未経験のわんこでも暖かく迎えてくれる愛犬同伴のプチホテル。宿には、な、なんと大小25頭ぐらいの犬がいて、マリアを歓迎してくれるようにわんわん吠えられて、驚いて、委縮してしまった。


今はなき那須のイマジンドックスにて

宿に入る前に立ち寄ったのが、千本松牧場のドッグラン。マリアだけだと不安だろうと、元、那須動物王国の看板犬、ボス犬だったラブラドールレトリーバーのピート君が付き添ってくれて、ドッグランを思いきり走り回ることができて、すごく楽しかった。マリアが始めて、心から笑顔になれた瞬間でした。そんなはじめてのドライブ旅行があまりにも楽しくて、以来、クルマに乗ること、”わんこと行くクルマ旅”が大好きになったというわけ。


頼りにしていたピート君(左)と初めて笑顔を見せたマリア

最近は「お出かけ」、「お仕事」という言葉さえ理解できるようになって、パパやママがお出かけの準備をしていると、また楽しい旅に行くことができる!!と、うきうき、わくわくした気持ちになれるんだ。もう、ひとりでカメラの前に立ち、少しぐらいなら笑顔のままじっとしてられるられるんだよ。偉いでしょ。だって、お仕事の撮影が終わると、みんなにすごく褒められるし、おやつももらえる。まわりの人たちがみんな笑顔になっていると、マリアもうれしいんだ。


イベントでは自らステージセンターに。たいしたもんです

繁殖場時代、短い鎖につながれたまま、劣悪な環境でただただ生きているだけだったマリアには、その時代、喜怒哀楽なんていう感情はなかった。そんな環境から救ってくれて、地元の女性ボランティアさんたち、そしてマリアを里親として引き取ってくれたパパとママにはとても感謝しています。犬だから、言葉にはできないけどパパとママがずっと、ずっと大好きです。マリアが家族の一員として、何かの役に立てることができれば、犬冥利に尽きます、幸せです。

毎夜、フカフカのベッドで寝る前に、パパやママは必ず、こう言ってくれます。「マリア、この家に来てくれてありがとう、大好きだよ」。だから、とても幸せな気分で眠りにつけるんだ。「ありがとう。明日は、今日よりずっといい子になるよ」。

撮影 福永仲秋 雪岡直樹 佐藤靖彦 太宰吉崇 青山尚暉

つづく

文:青山尚暉
ドッグライフプロデューサー/モータージャーナリスト/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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