2019-08-21 人の死の予兆できる特殊な能力を持つ雑種犬の文福 犬の本看取り犬看取り犬・文福の奇跡 人生の最後に寄り添う「看取り犬」文福の奇跡 横須賀の特別養護老人ホーム「さくらの里山科」では約100名の高齢者が入居しています。そこで暮らす犬の文福は、ごく普通の雑種犬ですが、人の死の予兆できる特殊な能力をもっていました。 介護レベルが重度の高齢者が入居するホームでは、入居者の死は日常的なできごとです。文福が入居者の死に出会うことも多く、職員はじめ入居者も最初は文福の看取り行為は偶然のできごとだと思っていました。 入居者が亡くなる数日前、文福は部屋のドアの前で、うなだれるように座ります。そして、亡くなる直前、部屋に入り、ベッドの上で入居者に寄り添い、看取ります。こうした行為が度重なって目撃された結果、文福が人の死を看取ることができる、特殊な能力を持っていることが次第にわかってきました。 (著者若山三千彦さん提供) 文福の能力を借りて、外出を決めることもできます。ある高齢の入居者は漁港で働く猟師でした。寝たきりになってしまいましたが、一度で良いから海を見たいと願っていたのです。職員は人生最後の願いをかなえるために、文福の力を借りました。 文福が看取り行為をしていない日は、亡くなる危険がありません。職員は入居者を連れて、海へ行くことができました。同行したお子さんたちも、久しぶりに見る父親の嬉しそうな顔に大喜びです。外出先で、老人の体温は一時的に平熱に戻り、健康状態を回復させてしまったというから驚きです。 「看取り犬・文福の奇跡」(東邦出版刊、定価1389円+税)は、「さくらの里山科」を設立した理事長兼施設長の若山三千彦さんが、文福のほか、施設で飼育されているさまざまな犬や猫の出来事について記録した、感動のドキュメンタリーです。 リアルな描写が見事なのもそのはず、著者の若山さんは第6回小学館ノンフィクション大賞を受賞した作家さんでもありました。「人の死に寄り添うけなげなペット」というありきたりな感動物語に仕上げず、抑えた筆致が見事で、何度も何度も泣かされます。 文福が人の死を察知して、そこに寄り添う姿は感動的ですが、単なるお涙頂戴的な薄っぺらな物語ではありません。高齢者一人一人が積み重ねてきた、喜びと悲しみの人生が、ずっしりと伝わってきます。その上で、高齢の飼い主とペットが最後まで一緒に暮らすことが困難な、日本の社会状況が、文脈からチラチラ見えてきて、心が揺さぶられます。 (著者若山三千彦さん提供) 人の死を察知する看取り犬だけでなく、看取り猫のトラもいて、動物の能力について改めて考えさせられます。私は表紙をはじめとする文中の可愛いイラストを描いたのが入居者であると知って、驚きました。 今回はPETomorrowの読者に著者の若山さんから笑顔の文福の写真を2点、提供していただきました。こんな子が最後の時に寄り添ってくれたら、幸せな死を迎えることができるに違いありません。 文/柿川鮎子 「犬の名医さん100人データーブック」(小学館刊)、「犬にまたたび猫に骨」(講談社刊)、「動物病院119番」(文藝春秋社刊)など。作家、東京都動物愛護推進委員 写真/木村圭司 \ この記事をみんなにシェアしよう! / この記事をみんなにシェアしよう! ボディケア用品からお菓子まで!猫好きな彼女や妻に喜ばれるホワイトデーギフト4選 (3.3) 愛犬がまさかの“犬嫌い”…その原因はどこにあるのか? (3.1) 亡くなったペットは死後も近くにいるの?夢に出たり、ときには帰ってくることも… (2.26) 猫の辞書に「よく噛んで食べる」という文言は無い! (2.26) 注目のグッズ 犬猫どっち派?村松誠の「2021年版 犬猫カレンダー」 ドラえもんに大変身!犬猫用『ドラえもん コスチューム』 ボディケア用品からお菓子まで!猫好きな彼女や妻に喜ばれるホワイトデーギフト4選 【猫クイズ】短足・小型・巻き毛が特徴の「ラムキン」ってどんな猫種? 愛犬がまさかの“犬嫌い”…その原因はどこにあるのか? ぼくたちは猫を育てているのではない。猫に育てられているのだ。 \ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! / PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! Facebook にいいね!する Twitter をフォローする Instagram をフォローする Pinterest をフォローする