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愛しい相手がいるすべての人に。映画『駅までの道をおしえて』


©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

相手が犬であろうと、人であろうと、大事な"誰か“を亡くした時の辛さや寂しさ、喪失感は、経験した人でないとわからない。

その人にとって、"誰“が、どれだけ大事かは、人それぞれであり、時に、犬を亡くすことは、人の死よりも大きなダメージになることがある。

しかし、「たかが犬だろ?」「人の死と対等にとらえるなど失礼だ」などと考える人たちもおり、犬を亡くした悲しみを周囲にはなかなか受け入れてもらえない、話すことさえはばかられるとなると、ペットロスはより深刻なものになるのかもしれない。

いや、私は、胸を張って言おう。

「愛犬が逝ったことは、私にとって、誰の死よりも辛く、そして尊い」と。

犬であろうと、人であろうと関係ない。

愛しい"誰か“の死は、尊重されるべきなのだ。

それを肯定してくるような映画と出会った。


サヤカは一日も欠かさず、ルーのごはんや散歩の世話をし続ける。そうしたルーと共に過ごす一時が、サヤカにとっては最高に幸せな時であった/©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

原作は、作家 伊集院静氏の短編小説『駅までの道をおしえて』(講談社文庫)。主人公は、人気子役の新津ちせちゃん演じる8歳の少女サヤカである。

学校でいじめに遭い、友だちらしい友だちもいないサヤカは、ある日、ペットショップの店頭で、貰い手がつかなければ"お払い箱“になるという売れ残りの犬ルーと出会った。

お決まりのように一人と1頭は大親友になっていく。

「まったく世話が焼けるなぁ」なんてちょっとばかり大人びた口をききながらも、一緒に遊び、走り回るサヤカとルーの姿は、どこか子ども時代に忘れてきた懐かしい陽だまりの匂いを思い出させてくれる。


二人だけの秘密の広場で遊ぶことが、毎日の楽しみだった。ルー役の白柴は、本名も同じくルーという名/©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

しかし、ほのぼのとしたサヤカとルーの生活は、長くは続かなかった。

「ルーは死んでなんかいない…。絶対に、会える…」と、現実を受け入れることができずにルーの姿を探し続けるサヤカ。ここからほんとうの物語が始まる。

他の人には見えないリードを手に握り、見えないルーといつもの道を歩き、二人だけの秘密の広場で、「ほら、いくよ!」とボールを投げ、見えないルーがそれを追い駆けるのを待つ。


電車が好きだったルーとの散歩道にある踏切は、サヤカにとって切なくも大事な場所となった…/©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

そんなサヤカの様子が、私の胸にズキンときた。

なぜなら、そこには私自身の姿があったから。

愛犬が逝ってから今もなお、見えない愛犬を抱き締め、車で走ればリアシートに座る愛犬に話しかけ、食事の時には、「これ、食べる?」とお肉を愛犬の口に運んだりする。

そう、サヤカと同じ。

知らない人が見たら、変に思うことだろう。

けれど、これが私と愛犬との世界なのだ。

大事な相手を亡くすということは、そういうことなのかもしれない…。


フセ老人が世話をする放浪犬ルースの本名はミノルカ。動物愛護団体アニマルレフュージ関西(ARK)によって保護された元野犬である/©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

やがてサヤカが出会うことになる、笈田ヨシさん演じるフセ老人も同じだった。

最愛の息子を亡くし、「今は遠くに行ってるけど、そのうち帰って来るんだよ」と、その死を受け入れられぬままに生きてきた孤独な老人。

サヤカとフセ老人とが心通わせることは必然だったのだろう。おじいちゃんと孫ほどの年の差がありながら、そこには説教臭さも押しつけもない。ただ、互いが同調し、認め合っているだけ。大事な相手を亡くした者同士だから。だからこそ、「友だち」の関係になっていく。

この映画は、言ってみれば、心の旅と言えるだろう。心に空いた大きな穴を、どう埋めるのか、埋められるのか。逝く者、残される者。それとどう向き合うのか、向き合えるのか。そこには何があるのか。答えのない、けれど、大事な何かを探す旅。

その先で出会ったものを、どう受け止めるかは人それぞれだ。

映画と一緒に旅をした私が辿り着き、改めて感じたのは、幾多の命があるこの地球で、愛犬と出逢えたことの喜びと幸せであった…。


サヤカにとって、ルーとフセ老人は、一生心に残る存在になるのだろう/©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

最後に、この映画の特筆すべき点を。

サヤカとルーとの様子はごく自然で、犬が登場する映画にありがちな"やらせ感“とでも言うのだろうか、不自然さがあまり感じられない。

それもそのはずで、サヤカ役のちせちゃんとルーは、映画の撮影開始前から同居生活を始め、最終的に1年半を共に過ごしたことで、実生活から生まれた絆をすでにもちあわせいたことが、映画のシーンを滑らかにしている。

そして、元保護犬を起用していること。動物愛護のスパイスがさらりと加えられており、今の時代だからこその映画とも言えるのではないだろうか。ルーとルースのトレーニングは、西岡裕記ドッグトレーナーが担当。現在、ルーとルース(ミノルカ)は同じ家で同居しているそうだ。

『駅までの道をおしえて』予告編はこちら ⇒ https://youtu.be/QHaZCVGtOUs

映画データ:

『駅までの道をおしえて』

10月18日(金)ロードショー

公式サイト https://ekimadenomichi.com/

原作:伊集院静「駅までの道をおしえて」(講談社文庫)

脚色・監督:橋本直樹

出演:新津ちせ、有村架純/坂井真紀、滝藤賢一、羽田美智子、マキタスポーツ/余 貴美子、柄本明/市毛良枝、塩見三省/笈田ヨシ

主題歌:「ここ」コトリンゴ

企画・制作:GUM・ウィルコ

配給・宣伝:キュー・テック

シネマスコープ/5.1ch/DCP/125分

インフォメーション:

この映画で制作協力をしている『動物のためのオンライン寄付サイト アニドネ』では、「元野犬で保護されたルース役のような犬は日本にたくさんいる。そうした犬たちを救いたい」と、映画上映期間中に寄付金企画を実施。簡単に寄付できて、不幸な境遇の犬たちを救う企画となっている。自分も是非寄付したい!という方は、『アニドネ』のサイトへGO!

https://www.animaldonation.org/

文/犬塚 凛

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