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もし死んであいつに会えるのならば、今すぐ死んでしまいたい【犬が死んだ朝】

犬が死んだ朝

僕が引きこもりになったのは犬が死んだからだ。

真っ白なスピッツのミックス、シロが亡くなって、仕事を辞めた。今はコンビニに行く以外、外に出ることはない。どこへ行ってもシロの思い出が迫ってきて、息ができなくなるからだ。妹はコドオジとからかってくるけど、かまわない。シロが死んだこの世の中は、夢も希望も何もない、ただ広いだけの空間に変わってしまった。

シロは僕の高校入学祝いに親に頼んで飼ってもらった犬で、毎朝妹とかわりばんこに散歩に連れて行った。部活が忙しくなっても、僕たちの帰りを玄関で待っていてくれた。飽きっぽい妹は「次は猫が欲しい」とねだったけれど、僕にとってシロは犬なんかじゃない、かけがえのない存在になった。

シロと僕は繋がっていたと思う。就職して忙しくなっても、シロはいつも僕のそばにいたがった。夜中にそっと帰ってきても、音を聞きつけて飛びついてきた。帰るとうるさいほど吠えるから、夜の散歩に連れ出すのが習慣だった。

夜の住宅街は昼間とは違う風景で、丹念に電柱を追うシロは、霊界に誘う、何かの使いの様に見えた。住宅街を外れると田舎の田んぼが表れる。田んぼに連なる道には街灯も少ないから、白い体でトコトコ先導するシロだけが頼りだ。リードに繋がれた先のシロを無心で追っていると、冷たい夜気とともに、身体にこびりついた垢が取れていく感じがした。

あの頃の僕は会社で垢みたな嫌なものを、いっぱい体に纏わせて家に帰った。プロジェクトで一緒になった同期がヘンな奴で、重要なメールをこっそり握りつぶすような、気持ちの悪い嫌がらせをされていた。

会社だけじゃなくて、学生時代から付き合っていた彼女とも、何となく上手くいかなかった。彼女の上司が尊敬できる人らしく、その男の話ばかり聞かされる。ベテランで余裕のある上司たちに比べると、僕はすごく頼りなく見えたのかもしれない。

シロはそんな僕を黙って励まし、深夜の散歩で浄化させて、まっさらで新しい僕にしてくれた。シロは毛の長い白い柴犬みたいで、ちょっと笑っているような顔をしていた。何かの雑誌で「サモエドスマイル」が掲載されていて、シロにそっくりだった。ちょっとご機嫌そうなシロの顔を見ているだけで、心がほぐれた。「嫌なことはさっさと忘れよう」という気分にさせてくれた。

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