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良い飼い主さんが良い獣医師をつくるという教え

良い飼い主さんが良い獣医師をつくるという教え【兵藤哲夫の徒然日記】

兵藤動物病院を開業した当時は、動物の医療は牛や馬といった家畜が中心で、少しずつ家庭でペットが普及するようになってきた時代でした。家畜の専門の獣医師は、力づくで牛や馬と格闘しなければならないので、長靴を履き、汚れが目立たない作業服を着て診療していました。医療といっても、力仕事が中心でした。

それが次第に犬や猫などペットの診療へと変遷してきました。家畜の先生がペットの診療に転換するようになった初期の頃は、今と違って、スマートな印象ではありません。飼い主さんも獣医さんとか、先生と呼ぶのではなく、“犬屋さん”と呼んでいました。「犬屋さん、裏に犬を繋いでいますので、そっちに回ってくださいな」という具合です。

飼い主も、犬や猫のために医者を呼ぶという経験が少なく、どうやって扱っていいかわからない状態だったのでしょう。それでも、往診に行けば、お盆に洗面器とタオルと石鹸を置いて迎えてくれる家庭もありました。診療が終わると、「ご苦労さんでした」とお茶を入れてくれたりして、人を迎えるときの心を教えられたものです。地元の農家の飼い主さんは、そういう面倒なことは一切しなかったのですが、犬に対する愛情は深く、付き合ってみると温かい人情に溢れていました。

獣医師は飼い主さんに育ててもらう側面があると、ある先輩の先生も言っていました。良い先生には良い飼い主さんの存在が不可欠だと言うのです。私も自分自身の経験からまったくその通りだと感じる場面に出会ってきました。飼い主の献身的な看護を見て、ペットとの絆を教えられ、私も育ててもらったのです。

当時は予想もしなかった、高齢化や介護など、ペットを取り巻く環境の変化には目を見張るものがあります。薬や治療方法、医療機器もどんどん改良され、人と同じような医療サービスを受けられる時代になりました。獣医師だけでなく、飼主さんにとっても変化の時代を迎えています。とはいえ、治療の現場に不可欠なのは、信頼とコミュニケーションです。


兵藤動物病院では保護犬の譲渡活動にも力を入れている

犬屋さんと言われた時代は、薬も粗末で、治療のレベルも今より低かったのですが、獣医師を信頼し、治療については全面的に任せてくれる飼主さんがほとんどでした。獣医師は任される重責から真剣に取り組み、よい結果を得ることができました。飼い主と獣医師は信頼関係で結ばれていたのです。

今でも私を育ててくれた飼い主さんの家の近くを通ると、当時を思い出し、感謝の気持ちでいっぱいになります。良い飼い主さんが良い獣医師を育て、良い動物病院ができる。先輩の言葉は、まさに名言だと思いました。

兵藤動物病院 兵藤哲夫
麻布大学獣医学科卒業後、1963年横浜市にて兵藤動物病院を開設。ヒョウドウアニマルケア代表として公益社団法人日本動物福祉協会理事、横浜市獣医師会理事などを歴任。TBSラジオこども電話相談室の回答者などをつとめた。

文・編集/柿川鮎子

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