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「世話をしない」動物虐待は飼い主自身によるものが多い

「世話をしない」動物虐待は飼い主自身によるものが多い

生き物は自らの身を守りもすれば、他者を傷つけもする。こと人間は意識的に他者を傷つける点においては、生物界でトップかもしれない。戦争から動物虐待に至るまで、世の中のことを考えているとそう思えて仕方ないのだ。法律でいろいろ禁止事項や罰則など設けなければならないのだし。

法律と言えば、これまでも度々お伝えしているように、各国で動物に関連する法律の改正、およびそれを進める話が相次いでいる。その中で、「動物虐待」は大きな論点の一つ。

動物虐待と聞くと殴る蹴るなど荒っぽいことを想像する人もいるかもしれないが、飼育場所の掃除もせず汚物に溢れている、ごはんや水もろくに与えないというような、いわゆる「ネグレクト」も立派な動物虐待である。場合によっては、世話をしていたとしても、極端な肥満にさせることも虐待と捉える考え方がある。

その動物虐待について、加害者となる人間との関連性を調査分析した結果が発表されている。ミシガン州立大学(アメリカ)では、2007年~2015年までの間にデトロイト警察が扱った300件以上の動物虐待に関する事件を、闘犬・銃による殺傷・毒物による殺傷・刃物による殺傷・殴る蹴る・脅し・ネグレクト・その他、など8つのカテゴリーに分け、さらに加害者の人間を、飼い主自身・飼い主の家族・飼い主の親しいパートナー・隣人、などに分けて分析を行った(*1, 2)。

結果としては、以下の傾向にあるそうだ(右側が加害者となる人間のカテゴリー)。

ネグレクト ⇒ 飼い主自身

殴る・蹴る、銃や刃物による殺傷 ⇒ 飼い主の家族、飼い主の親しいパートナー

毒物による殺傷 ⇒ 隣人

闘犬 ⇒ 飼い主自身

まぁ、どれもそうだろうなぁという結果ではあるが、動機は様々ながら、家族やパートナーの場合、飼い主となる人との関係性がうまくいってなかったり、不満があったりして、その矛先がペットに向くことがあるというのはなんともやりきれない。

この中で一般的な飼い主にも起こりうるものとしては、ネグレクトが挙げられるだろう。それを意識せずとも、ペットを迎え入れた最初は世話をしたものの、段々と疎かになるケースはまま見られる。みなさんの中にも、かつてはそういうことをした経験がある人もいるのではないだろうか。

悲しいかな、そのペットにはうまく愛情を感じることができなかった、それを育めなかった、または、人としての成長度に欠けていた、ということなのかはわからないが、だからと言ってそういう人はペットを飼う資格がないと断言することも難しい。なぜなら、以前の間違いに気づき、次に飼ったペットは以前のコの分まで大切に可愛がる人もいるからだ。人間は過ちから学ぶこともできる。そこは切り捨てたくないと思う。

とは言っても、ネグレクトに遭ったペットのことを考えると心が痛い。また、より残虐な動物虐待は後に人への暴力・犯罪行為につながりやすいことも知られており、家庭内暴力がペットへ波及する場合もある他、闘犬の牙が人に向けられる事件もある。つまり、一口に動物虐待と言っても、そのバックグラウンドには複雑なものがあって、動物のみでなく、人にも関係するということ。

動物虐待の問題を考えるには、動物を助けることのみでなく、もっと広く社会全般を考えねばならない。だからこそ、教育はもちろん、法律やら多方面での“予防対策”が必要であると、先の研究者も述べている。

そのために私たちができることの一つは、動物を飼いたいと思うなら、その命を預かるのだという強い想像力をもつことと、状況によっては、一時の感情に流されず、飼わないという選択をすることかもしれない。

参考資料:

(*1)Animal Abuse in Correlation with Perpetrator’s Relationship / Research @ MSU / MICHIGAN STATE UNIVERSITY

(*2)The Interpersonal Context of Human/Nonhuman Animal Violence / Cassie Richard, Laura A. Reese / Anthrozoös, A multidisciplinary journal of the interactions of people and animals, Volume 32, 2019 -Issue 1, Doi: https://doi.org/10.1080/08927936.2019.1550282 via Tailor and Francis Online 

文/犬塚 凛

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