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犬猫の処分施設から、生かすための施設へ。動物保護センター写真レポート

神奈川県動物保護センター見学会:写真レポート
処分施設から、生かすための施設へ

長らく犬や猫たちの殺処分が行われてきた場所、そういうところにはたとえ興味があったとしても足を運びづらいと感じる人は多いことだろう。

「行ってはみたいけれど、一人ではちょっと…」

そんな声はよく聞かれ、「それならみんなで一緒に行ったらいいんじゃないか」と企画されたのが、『みんなでセンターに行こう!』と題した神奈川県動物保護センター見学会である。

神奈川県内で「現状を知るところから始め、そこからそれぞれができそうなことを考えてみて欲しい」と啓発活動を行っている写真家inu*maruさん(同企画立案)と、同じく「小さな命を慈しむ心を育みたい」と活動するtumugu =つむぐ=プロジェクトとの共催という形で2017年1月からスタートさせて以来、今年9月で19回目を迎え(今回より同プロジェクト主催)、これまで258名が参加した。取材当日にも子どもからお年寄りまで幅広い世代の参加者があり、動物テーマは世代を選ばないことを改めて感じさせる。

その見学会の前半は保護センターの歴史や業務、動物愛護、動物福祉についてのお話で、後半はセンター内の見学となる。


講師を務めたtumugu =つむぐ=プロジェクト代表の田野裕子さん(向かって左)と、神奈川県動物保護センター業務課の上條光喜課長(右)、そして同プロジェクト副代表池澤敦子さんの愛犬“ちゃく”(元保護犬、メス、8歳)/©Pmoon

同センターが開設されたのは今から46年前、1972年のこと。狂犬病予防法に基づいて捕獲した野良犬や、飼えなくなった犬を引き取り、ただ処分するだけの施設であったという話には、そういう時代だったからと一言で片づけるにはやはり切ない。

犬の捕獲数がもっとも多かったのはセンター開設の翌年で、1年間に約9,500頭、飼い主に飼育放棄されて引き取られた犬が約1万1,000頭いたそうだ。このうち、598頭は飼い主のもとに返還となったが、1万8,312頭は殺処分となり、1,490頭は実験動物として“学術譲渡”されていたという。

1980年になると猫の引取りも開始。もっとも多い年で約1万2,000頭の猫が殺処分され、犬同様に1,000頭ほどは学術譲渡に回されていたとのことだ。


見学会の前半は座談会形式で行われた/©Pmoon

そうした中で、先進的とも言えるのは、開設から3年後の1975年には避妊・去勢手術を施した子犬を譲渡する制度が開始されていたこと。神奈川県動物保護センターでは2013年度に犬の殺処分がゼロに(都道府県のセンターとしては初)、2014年度には猫もゼロになっており、以後、それを持続しているが、犬における返還・譲渡率も2016年度では97.5%と高率になっている。

ここで一つ付記しておきたいのは、「神奈川県では殺処分がゼロになった」と言われることがあるものの、それは正しくもあり、また少々違ってもいるということ。と言うのは、同県内には神奈川県動物保護センターの他に、横須賀市や横浜市、川崎市にも同様の動物収容施設があり、そちらではゼロにはなっていないのだ。つまり、神奈川県全体としては努力中ということになる。

しかし、そうであっても同センターが殺処分をせずにいられる状況であることは確かで、それには動物をめぐる社会情勢の変化、各種ボランティアの活動、職員さんたちの努力、保護動物を新たな家族として迎えてくれる一般の飼い主さんたちの理解などがあってこそのことだろう。

ちなみに、同センターではボランティア(団体・個人)に関して一定基準を設けた登録制をとっており、現在、譲渡関連では57、シャンプー・トリマー関連で20、普及啓発関連で3の登録があるという。


熱心にメモをとりながらお話を聞く参加者たち/©Pmoon

センターの概要について上條課長から説明があった後は、tumugu =つむぐ=プロジェクトの代表、ドッグトレーナーでもある田野さんから以下のようなお話もあった。

・飼い主の一方的な愛と、犬が求めるものとのギャップを感じることがある。犬猫の習性を知った上で、彼らのニーズを満たしてあげる必要がある。

・ただ食べ物を与えることを可愛がることと勘違いし、過剰な肥満にしてしまえば、海外では虐待ととられることもある。

・ マイクロチップは飼い主が変わった時には情報を書き換える必要があるが、それがされておらず、意味をなしていないケースが結構ある。

・ 猫の繁殖能力から単純に計算すれば、1匹の猫から1年で150匹に増えることも可能。可哀相だけでエサやりをするのではなく、避妊・去勢手術のことまで考えて欲しい。
など

ペットと暮らす人、動物好きにとっては、どれも真摯に考えたいことである。


犬のボディランゲージや、動物に与えられるべき「5つの自由」についても勉強。「5つの自由」とは、十分な食事と水分が摂れること、病気予防や健康管理がなされていること、生活場所が不潔でなく衛生管理がなされていること、恐れや不安など不必要かつ過剰なストレスがないこと、動物としての自然な行動がとれること。これらは基本である/©Pmoon


池澤さんのもう1頭の愛犬、全盲の“もちこ”(元保護犬、メス、推定14歳)も参加。保護犬は十分愛すべき家庭犬になれることを静かにアピールしていた/©Pmoon


講演の最後には池澤さんの手作り作品であるもちこの写真絵本を鑑賞。もちこを引き取ってから、家族になれたと感じる日までの軌跡と動物たちへの想いが綴られている/©Pmoon


休憩時間にも質問の嵐は止まらない/©Pmoon

さて、ここからはセンター内の見学である。


普段は職員さん以外入れない場所へと向かう/©Pmoon

神奈川県動物保護センターでは県内(横浜市・横須賀市・川崎市・相模原市・藤沢市以外/管轄外の茅ケ崎市・寒川町からは依頼を受け)を3ルートに分け、収容が必要な動物を引き取るために毎日車で巡回しているということだが、犬が入ってきた場合には、まずマイクロチップの有無を確認し、写真も撮って、病気やケガがないか調べるため、また、攻撃的な犬であれば様子を見極めるためにも基本的には個室に入れられることになる。シニア犬や飼い主が判明した犬などは、そのまま個室にいるそうだ。

「鑑札や狂犬病の注射済票は法律で犬に付けることになっていますが、ほとんど付いていませんね」と上條課長。


上條課長が指差す先にあるのは、収容された犬がその中を通過するとマイクロチップのナンバーが読み取れるボックス状のリーダー。「大型犬は入れないので、ハンディタイプのリーダーも併用しています」/©Pmoon


ここは個室。ボードには、「ごはん⇒食べるもので体重ふやしたい!」と書かれており、職員の方々による収容動物への配慮がうかがわれる/©Pmoon


まだ若くて問題のない犬は大きな部屋に移される。ここには①捨てられた犬、②5日間の公示をしたが飼い主が見つからなかった迷子犬、状況によっては③公示中の犬、の3種が同居する。「飼い主さんを待っている犬がいる場合は、何かあってはいけないので、特に気を遣います」(上條課長)/©Pmoon


廊下から収容されている犬たちの様子を見る参加者たち。かつては子犬用に使われていた入れ物もあったが、現在では昨年度で7頭、今年はまだゼロと少なくなっている/©Pmoon


シャンプーボランティアさんたちが収容された犬猫をシャンプーする部屋。ここは元男子トイレで、それを簡易的に改良した限られた環境の中でこれまで作業を続けてきた。その努力のおかげで収容されたコたちには清潔感が漂う/©Pmoon

飼育放棄されたコ、飼い主がわからないコ、つまりセンターで引き取らねばならないコたちについて、上條課長は「うちのコ」と表現する。犬の場合、「うちのコになった」時点で狂犬病を含む基本的ワクチンを接種し、マイクロチップを挿入、糞便検査もし、その日から散歩にも連れて行くそうだ。

散歩には新しい飼い主さんと出会えるチャンスが増えるよう、人に慣れさせ、基本的なしつけをするためという意味合いもある。実は同センターの職員さんはドッグトレーナーからしつけの仕方を習い、それぞれに基本を習得しているとのことだ。

しかし、さきほどの大きな部屋、かつては現在とは違う使い方がされていた。


大部屋は全部で6つあり、収容された犬は1日ごとに隣の部屋へと移動され、最後の部屋に入った後、その先には処分機がある。6番目の部屋の壁は動くようになっており、それによって犬たちは処分機へ通じる通路へと追いやられる仕組みになっている/©Pmoon

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