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あっけなかったピンとの別れ【ピンがいた日々】

あっけなかったピンとの別れ【ピンがいた日々】

ピンが最後の息をした瞬間、つまり息を引き取った瞬間、私はしっかり見ていました。

それまでの15分~20分は、酸素マスクをピンの口元にあてたり、ピンの背中をゆっくり、さすってあげていました。

どうして、ピンを抱っこして、それをしてあげられなかったのか。なぜ看護師さんに「抱いてもいいですか?」と聞けなかったのか。それだけは本当に、いまも後悔していて、思い出すと涙が止まらなくなってしまいます。

ピンは我が家に来る前、ブリーダーさんのところで尻尾を短くカットしています。何かの本で読んだのですが、もともとの尻尾の長さを想定して撫でてあげるといい……という記憶がなぜか甦り、15分~20分、そんなふうに撫でていたような気がします。

ピンが最後の息をした直後、看護師さんが洗濯ばさみのようなモノでピンの下を挟み、主治医の先生に連絡。私たちは一度、待合室に戻され、数分後、目に飛び込んできたピンは、二人の獣医さんに交代で心臓マッサージをしてもらっていました。

幸か不幸か、私は“死”に縁がありませんでした。そのときはまだ両親も健在でしたし、祖父母や近しい親戚の多くも長生きで、誰かを看取ったという経験が、それまで本当に一度もなかったのです。

私は「いまは、どういう状態なんですか?」と主治医の先生に訊ねました。先生は「自力で呼吸ができていない」ことと「心臓は止まっています」と教えてくださいました。

「わかりました。もう、いいです。ピンちゃん、十分、頑張りました」と言ったような記憶があります。

宣告を受けてから、ほぼ毎週、1日か2日、ピンと一緒に病院に通い続けました。入院も何度かしたので、毎日、面会に行きました。暑い日も、都心に大雪が降ったために、病院までピンを抱っこして1時間ぐらい歩いた日もありました。

ピンは頑張った。そして私も頑張った……。やりきった気がしたのです。そのときは……。

いまから思えば、家が大好きだったピンに、最期、家で迎えさせてあげればよかったとか、

繰り返しになりますが、どうして最期、私の胸の中で逝かせてあげられなかったのかとか、もっともっと、ピンが心休まることをたくさんしてあげればよかったとか……後悔はあります。

ですが、ピンちゃん、もう、いいよ……、頑張らなくていいんだよ……と、あのとき思ったのは確かでした。

とはいえ、ピンの最期、携わってくれた数名の獣医さんや看護師さんとの会話や、自分がどうやって病院に行ったのか。どうやって帰ってきたのか。記憶は途切れ途切れのままでした。

ピンは、獣医さんや看護師さんの手で身体をキレイにしてもらって、白い寝間着のようなモノを着て、私たちが居る待合室に戻ってきました。そのとき、どんなふうにピンを渡してもらったのか、どうやって家まで帰ってきたのか。そのとき、ココにどう伝えたのか……。全く憶えていないのです……。

ピンは、とても賢い犬でしたから、もしかしたら、私が悲しんだり、自分を責めたりしないように、私の記憶を食べてくれたのかもしれません。

翌日、ピンは動物病院で紹介してもらったお寺で荼毘に付されるのですが、家に戻ってきた午後4時頃から翌朝まで、ずっと泣いていたのは私ではなく夫のほうでした。彼は彼で、ピンに対して後悔がたくさんあったようです。

ピンは、なかなか目を閉じてくれず、私や夫が指でピンの瞼を閉じても、またすぐ開いてしまいました。

これも誰かに聞いた話ですが、「耳は最後まで聞こえている」ということで、その晩、私と夫とココは、ピンにずっと話しかけていました。いちばん言ったのは「ピン、ありがとうね」だったと思います。

文/山田美保子

Profile
山田美保子 放送作家・コラムニスト

1957年生まれ。青山学院大学卒業後、ラジオレポーターを経て、放送作家、コラムニストに。「踊る!さんま御殿!!」『情報ライブ ミヤネ屋』『バイキング』『1周回って知らない話』などテレビ番組の構成のほか、雑誌、新聞、WEBに連載多数。人気番組「情報ライブミヤネ屋」のコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務めている。

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