TOP>ニュース > 動愛法改正を前に、何が問われているのか? 中央環境審議会動物愛護部会を傍聴して

  • ニュース

動愛法改正を前に、何が問われているのか? 中央環境審議会動物愛護部会を傍聴して

動愛法改正を前に、何が問われているのか?
中央環境審議会動物愛護部会を傍聴して

今年は5年に1度の動愛法の改正年にあたり、秋の臨時国会で改正案が提出される見込みとなっているが、まだまだ問題点を抱える中にあって、中央環境審議会動物愛護部会(環境省)では動物愛護管理をめぐる様々な課題への対応について検討が重ねられている。


第49回の審議会では、3つのテーマについて議論された/©Pmoon

現状、検討すべき主なテーマとして、

1.飼い主責任のあり方

2.動物取扱業に求められる役割と今後のあり方

3.行政機関が果たすべき役割、行政機関と民間との連携のあり方

4.社会的規範としての動物の愛護及び管理の考え方

5.「人と動物の共生する社会」の将来ビジョン

以上の5つが設けられており、7月30日に行われた第49回の審議会では、②④⑤についての議論が交わされた(①と③については前回の審議会で検討)。

この3つの中で、私たちがもっとも身近に感じることができるのは②の動物取扱業についてと思われるので、それに注目していくつかピックアップしてみたい。

参考までに、動物取扱業は2種類に分けられている。詳しくはこちらを。

第一種動物取扱業者の規制(環境省ホームページ)

第二種動物取扱業者の規制(環境省ホームページ)

その1:飼養管理に関して数値的なものを含め、さらに細かい基準が必要では?

たとえば、その動物にとって最低限どの程度のスペースが必要なのか、1つのケージで飼育可能な頭数、適切な温度湿度、騒音対策など、現状では細かい基準はない。動物福祉を考えると甚だ問題となる飼育環境も見られるわけで、行政が指導するにもこれらの基準が曖昧なために判断しづらいという現実もある。言ってみれば、問題がありそうでも判断が釈然とせず、そのままスルーされてしまうケースもあり得るということ。

これについては犬猫のみでなく、対象となる動物の種類が多様であり、こと犬では種類が多く、サイズにも幅があることや、動物取扱業の業態も多様であるため、一律につくるのは難しいという意見や、数値的というよりも、その動物の体高の何倍とか、ケージ内に複数頭いるなら一番体高のある個体に合わせるなどしたらどうかという意見があった。

この課題への対応としては、すでに「動物の適性な飼育管理方法等に関する検討会」が発足されており、海外の法規制やその運用方法、対策の実効性などの情報を収集するとともに、最新の知見をもとに検討されることになっている。

なお、飼養管理基準のさらなる細分化・明確化には、犬猫の幼齢規制や、動物取扱業者が大災害に備えて講じておくべき措置といったものも含まれているが、幼齢規制に関しては、世界小動物獣医師会(WSAVA)が出しているワクチネーションガイドラインで、初回のワクチンは移行抗体(母子免疫)が切れる時期を考え、生後7~8週齢くらいで打つことを推奨していることから、接種場所はブリーダーなのかショップなのか、子犬子猫のその後の健康にかかわるため、このタイミングも考慮すべきという意見が出ている。

その2:犬猫ブリーダーの取り扱いはどうあるべきか

繁殖業として登録する際、その規模要件について、現状では(反復継続が)「年間2回以上、または2頭以上」としているが、実際にはごく少数頭を扱うホビーブリーダーから、100頭以上を扱う大規模ブリーダーまで幅がある。

しかし、動愛法の改正により、2005年から登録制が開始されたこともあって、ホビーブリーダーは激減。ジャパンケネルクラブの場合、2004年から2014年の10年間で、登録ブリーダーの数自体が72%減少し、特に年間1~10頭を繁殖していたホビーブリーダーは5分の1まで減少したそうだ。当然、子犬の繁殖数も45%減少しているという。

ここで海外でのブリーダーに対する規模要件を見てみると、イギリスでは自治体によって「年間3回以上、または5回以上」としているところがあり、ドイツでは商業ブリーダーに対し、「妊娠できるメス犬を3頭以上飼育している(猫の場合は5匹以上)、または年間の出産回数が3回以上(猫の場合は5回以上)」となっている。

また、両国のケネルクラブや犬種協会などによる繁殖に関する自主規制には以下のようなものが見られる。

<イギリス>

  • 年間の繁殖回数を制限。
  • 遺伝子検査や健康診断を行う。健康診断は犬種ごとに絶対的条件になっている項目や奨励されている項目などに分かれている。
  • 8歳以上のメス犬は、正当な理由がない限り、母犬として登録できない。
  • 原則として、親子・兄妹姉弟(きょうだい)同士は交配させない。

<ドイツ>

  • 生後15ヶ月未満の犬は繁殖させてはならない。
  • 一部例外はあるが、繁殖可能な年齢の上限は8歳。
  • 体重2kg未満の犬は繁殖してはならない。
  • 協会が定めた試験を合格した犬のみが繁殖できる。
  • マイクロチップの装着は義務。
  • 出産3日後、そして8週間後には、協会の責任者がブリーダーを訪問し、予防接種の有無や、母犬と子犬が一緒にいたかなどをチェックする。

ちなみに、<日本>では。

  • 交配可能な月齢は、オス犬メス犬ともに交配時に生後9ヶ月1日以上。
  • 親子、また同じ父母から産まれた兄妹姉弟(きょうだい)同士の交配は認可された場合のみ可。
  • 遺伝性疾患については特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)の評価結果を血統書に記載する(所有者の任意)。  など

日本の場合も年間の出産回数や繁殖用のメス犬・猫の頭数で要件を定めたほうがいいという意見があるが、実は、「年間2回以上、または2頭以上」というのは、繁殖業のみならず、他のすべての業種・業態に適用されているため、どう差別化するか、他業種とどう調整をはかるかも考えねばならないとしている。また、大規模か小規模かによって、対応も違ったほうがいいのではないかという意見も。

ここまでの話を見聞すると、筆者としてはひとつ気になることがあるのだ。職業柄、これまでブリーダーに対する取材もそれなりに多かったわけだが、よく聞かれたのは、「繁殖は“趣味”でないとできない、“趣味”であるべきだ」というような言葉。

実際は代金を取るのであるから、単なる“趣味”ではないだろうが、この言葉の意味するところは、その犬種を愛し、血を遺すためには、犬たちの心身の健康はもちろん大事で、こだわりをもって時間をじっくりかけ、よくよく考えて繁殖するだけに、趣味としてでなければやっていけない、ということだろう。

環境省が行ったイギリスでの調査結果にも、優良なブリーダーは年に1腹、2腹くらいしか生ませないとある。また、以前、動物環境に関しては先進国と言われる国に住む人に、ブリーダーはどのくらいの頭数を保有しているものなのか?と尋ねたところ、3~5頭くらいという答えが返ってきた。

“趣味”であることが扱う頭数が少ない(小規模)とは言い切れないし、筆者が言う“趣味”と、審議会で使われている“ホビー”とには意味合いの相違があり、また、小規模であることがそのままイコール優良ブリーダーであるとも言えない。それは理解していただくとしても、小規模ブリーダーが激減しているということが少々引っかかるのである。もしかしたら、法改正が優良なブリーダーまで潰してしまった部分もあるのでは??…と。

\ この記事をみんなにシェアしよう! /
この記事をみんなにシェアしよう!
関連記事
関連記事
  • ニュース

獣医師監修「愛犬の防災グッズ」ボックスは愛犬も大喜び! (9.17)

  • ニュース

名犬リンチンチン、実は名犬ナネットだった?【びっくり名犬シリーズ】 (9.16)

  • ニュース

犬との信頼関係が台無しになる「間違った叱り方」とは? (9.15)

  • ニュース

高齢犬のサポートに役立つ「犬用車椅子」が登場! (9.15)

  • ニュース

リアルパディントン?大きすぎと捨てられた犬は今ではスターに! (9.14)

  • ニュース

愛犬と真夏の思い出づくり。2018横浜ドッグウイークの「Marine Dog Party」... (9.13)

  • ニュース

犬が人間同士の喧嘩を仲裁する深〜い理由とは? (9.13)

  • ニュース

DOG DEPT2018年の秋冬新作が登場!【nanaeのドッグウェア通信】 (9.11)

もっと見る

注目のグッズ

一緒に洗濯するだけで犬猫の毛を絡み取る『フリーランドリー』

愛犬が粋な日本男児に! クールな和柄の甚平

暗がりに浮かぶ柴イヌのシルエット!『シバウォールライト』

浄水フィルターできれいなお水を愛犬に!『ワンタッチ・ウォーターボトル』

「い草」の香りと畳の心地よさが愛猫を虜にするキャットバスケット

豆柴のまう助がひょっこり「こんにちは」! 日常使いにぴったりのトートが登場

柴犬好きをアピールできちゃう♪ ペットゥモロー看板犬・まう助のTシャツが登場!

こんなに毛が取れるの?わんこのお手入れにおすすめの『ファーミネーター』!

人気記事
人気記事
\ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! /
PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック!


ページトップへ戻る