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たった一度の犬橇レース in レイクプラシッド冬季オリンピック

さて、話をレイクプラシッド冬季オリンピックに戻し、犬橇レースの選手(マッシャー)名簿を見てみると、なんとそこにはLeonhard Seppala氏の名前があるではないか。血清輸送の時から7年の年月が流れており、実際に輸送に活躍した犬たちがオリンピックにも参加していたかどうかは定かではないが、もしかしたら何頭かは参加していたのだろうか? そう考えると、少しばかり胸がドキドキしてくるというものだ。

犬橇レースの結果、そのSeppala氏の犬橇チームは、トータルタイム4時間31分1.8秒で2位を獲得している。

オリンピックのオフィシャルレポートには、通常、犬橇チームは7頭で構成され、1頭のリードドッグが先頭を走り、残りの犬はそれぞれペアとなって繋がれる、いわゆる犬橇の世界で言うタンデムタイプ(ラインタイプとも言う、犬を一直線上に繋ぐタイプ)と呼ばれる繋ぎ方になり、デモンストレーションの犬橇レースでもこれが基本となったとあるが、当時の競技映像を見る限りでは、6頭牽きのようである。

そう、下にあるのはレイクプラシッド冬季オリンピックの様子が記録された貴重な動画である。8分43秒~10分39秒くらいにかけて、当時の犬橇レースの様子を見ることができるので、興味のある方はご覧いただきたい(音声なし)。

 

前出のオフィシャルレポートによると、橇犬としてよく使われるのはシベリアンやアラスカン、ラブラドールなどの犬種で、優れた犬橇チームの多くは、クロスブリードを使っているとあるが、実際、動画の中にもラブラドールに近い犬の姿も見られる。

そういう犬たちが走る抜けるコースは、異常気象により、当地の2月としては積雪量も少なく、逆に苦戦を強いられたようだ。しかしながら、全競技中、もっとも人目を引き、興味惹かれる競技の一つだったとか。

橇犬たちが花を添えたこのオリンピック以降、犬橇レースは正式競技にはなっていない。何年前だったか、ずっと以前のこと、犬橇レースを冬季オリンピックの正式競技にという話が聞こえてきたことはあったものの、結局のところ現実とはなっていないままである。

正式競技化については、走行距離が長いため観客が見学時に難儀するのが難点で、オリンピック用に距離を短くすればいいのではないかという意見もあれば、人でさえ不正が行われることもあるのに、そういう中に犬を加えるのは不安だという意見もある。一方では、馬術競技がOKなら、犬橇もOKなのではないかという意見もあり、難しいところだ。

まぁ、オリンピックであろうとなかろうと、勝ち負けにこだわり過ぎず、犬たち自身が無理なく、楽しめるのが一番だと思うのだが。

それはともかく、冬季オリンピックの開催地となったレイクプラシッドは、現在では夏冬共に人気のレジャースポットとなり、冬には犬橇を楽しむ人たちの姿も見られるようである。

参考資料:(*1)INCREDIBLE DOG CHALLENGE / PURINA PROPLAN(*2)OFFICIAL REPORT, Ⅲ Olympic Winter Games, Lake Placid 1932 : Issued by Ⅲ Olympic Winter Games Committee, LAKE PLACID, NY, USA : Compiled by GEORGE M. LATTIMER / Olympic World Library および Olympic Games Museum, Olympic Wintergames (PDF: Amateur Athletic Foundation of Los Angeles)(*3)Club History-1932 Olympics / New England Sled Dog Club(*4)The Real Story of Amblin’s Balto / AMERICAN KENNEL CLUB 

文/犬塚 凛

配信サイト:「ペットゥモロー」(小学館)
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