【青山尚暉のワンderful LIFE】里親になるということ(4)
第九章『里親になるということ(4)』
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【青山尚暉のワンderful LIFE】
多くの、ペットロスで悲しんでいる人たちと同様に、わが家も先代、ゴールデンレトリーバーのナナを亡くしてからは、新しい犬を迎え入れることに消極的でした。最初のころはナナへの想いが強すぎ、時間がたっても「悲しみ」が「次へのステップ」を上回っていたからです。そりゃあそうでしょう。子犬からわが子のように大切に育て、家族の一員、中心となり、数多くの思い出を共有したナナが、ある日突然、この世からいなくなってしまった悲しみは、そう簡単に消えるはずもありません。
ナナが大好きだった、いわき湯本の「三大明神ハンモックガーデン」の自然に囲まれた草原にて。
ナナは最後の最後までいい子でした。2004年3月12日。前日に10歳という年齢ですが、避妊手術と、そのときに見つかったガンの摘出手術を行い入院し、退院してきたばかりでした。
夜、迎えに行くと、しかし様子が少し変でした。いつもなら大喜びしてボクたちに近寄ってくるのですが、記憶をなくしたと思えるほど、元気がなかったのです。ワゴンの荷室に乗るのも大変そう。降りるのもやっと。着地したとき、地面にヘタッとしてしまったぐらいだったのです。
その夜は、食いしん坊のはずなのに、食欲もありませんでした。昼間、病院で食べたものを吐いて息づかいがあらかったのを覚えています。
事態が急変したのは翌日の朝、カミサンが2階の寝室から1階に下りていったときのことです。下からカミサンの悲痛な叫び声が聞こえてきました。「ナナが、ナナがっ」と。ボクや娘があわてて降りていくと、ナナはすでに力なく横たわり、意識もうろう。舌は紫色でダラリと口から垂れていました。まだ午前6時ですから、獣医さんは開いていません。なので、近所の犬友達に携帯電話番号を聞き出し、朝早いというのに出てくれた獣医さんに症状を伝え、すぐに獣医さんの元に向かうことになりました。先ほど、電話した犬友達も、心配してすぐにクルマでやって来てくれて、獣医さんに同行してくれたのです。
午前7時、診察台に乗せられたナナはすでに意識はありません。かすかに息をしているだけです。体のあちこちに心電図を取るための機器が取り付けられたとき、カミサンは電気ショックの機械だと勘違いし、目を背けました。
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