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小学生のころ、猫の標本を見て知った“大切に扱わなければ”という思い

サソリや猫…意外と学校施設には衝撃的な標本がある

小学生のころ、理科室が好きだった。センザンコウの木製模型があったり、ワニの剥製が飾られていたり、鉄で出来て半分サビてるカブトガニの造形物が無造作に置かれていて、いい刺激になったのだ。生き物好きな子供はよく休み時間に理科室で、こういうものを見てワーキャー騒いでいたものだった。

そんな子供たちでも寄り付かなかったのが、臓器標本が収められている一画。独特のホルマリン臭さがいつも漂っていて、ガラスの瓶の中にすっかり色あせたいろんな標本が浮かんでいた。これはさすがに好奇心旺盛な子供にとってもホラーの域だったので、滅多に寄り付くことはなかった。

あるときその一画に、どうやらサソリの標本があるらしいと聞いて忍び込んだ。サソリの標本自体はすぐ見つかったが、そのすぐそばにあった標本に、思わず絶句した。猫だった。

猫の標本を見て、この臓器の持ち主の在りし日に思いをはせる…

その標本は、たしか2リットルのお茶のペットボトルぐらいの高さのある、そこそこ太い筒の中に浮かんでいた。猫の全身骨格標本は図鑑で見たことはあったけど、脳から腸まで、全身分の臓器が上から順番に針金なんかで固定されて浮かんでいる標本ってのは、そのときはじめて見た。

最初は猿の標本かと思ったが、ラベルに猫であること、標本が作られた時期(たしか1980年代前半だった)なども書いてあり、これが普段目にする猫の中身なのかと気付いたときには驚いた。

まず印象に残るのは目。目は想像以上に大きく、人間の目のように、大部分は白目で、少しだけ黒目があることがわかった。猫は普段あまり白目を見せないけど、本当は白目もちゃんとあるんだということが一目瞭然となった。

あとは、赤サンゴみたいな部位が印象に残っている。左右1対あったため、あれは肺だったのかもしれない。ほとんど色素が抜け落ちている臓器の中で、そこだけはまだ赤かったので余計に印象に残っている。

最初は怖かったけど、臓器の持ち主は猫だったこともあり、なんとなくその標本に対する親近感みたいなものも沸いてきた。そして、この臓器の持ち主はどういう経緯で標本になったのかに思いをはせたりもした。どんな場所で生まれて、何歳まで生きたのか、とかそういうことだ。

さすがにラベルにはそこまで書かれていなかったけど、どこかの大学で検体として解剖されたものが巡り巡ってやってきたとか、そんなところかもしれない。

ずっと暗い場所で誰にも見られることなく置き去りになっていた猫に抱いた物悲しさ

それから休み時間が終わるまでずっと標本を眺めていたが、チャイムが鳴ったので慌てて教室に戻った。でも、正直もう授業のことなんか全然おぼえてない。印象的すぎる猫の標本のことで、頭はいっぱいだった。

この当時たしか小学3年か4年生だったと記憶するが、偶然見つけるまでまさか学校に猫の標本があるなんて知らなかった。恐らく、備品のチェックもしないだろうから先生たちの中にも、そんなものがあることを知らないって人も多かったはず。

授業でも当然、臓器はさすがにグロテスクなので生徒が見るチャンスはないし、下手すると理科の先生だって存在を知らなかったかもしれない。そういうことを考えていると、どうにも可哀想に思えてきた。

学校にあるとき持ち込まれて以来、何年もずっと劣化を避けるために日当たりの悪い理科室の隅の引き出しの中に眠っていた猫のことを思うと、物悲しくてたまらなくなった。せっかく標本になった……という表現は多分適切ではないけど、学習のための教材になったのに、誰にも顧みられないというのはあんまりだ。

実際、猫という身近な動物の標本を見たことで、僕は猫を見る目も変わった。要は猫の中身を知ったことで「体の中にあんな小さな臓器があるんだから、大切に扱わないといけない」と思うようになったのだ。猫を抱く時も、強引に捕まえるのでなく優しく抱え上げるようになったのも、この日以降のことである。

そういう意味では、子供が身近な動物の標本を見るというのはかなり意義があることではないだろうか。少なくとも僕はそれによって猫への対応も変わったし。

ところで僕が通った小学校は今も存続している。でもさすがに、何十年も前の標本を残しているとは思えない。できれば学校が処分する前に、何らかの形で収蔵されっぱなしだった標本群を子供たちが目にする機会があって欲しかったけど、どうかなぁ。

文/松本ミゾレ

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