TOP>ニュース > 立ち上がったら妻より大きい犬がやってきた。

  • ニュース

立ち上がったら妻より大きい犬がやってきた。

虹の橋を渡る日まで

お昼休み中、三人の社員たちが固まって弁当を広げ、プロ野球のクライマックスシリーズについて盛り上がっていた。

「今年は絶対日本一になるからね、あんたたちは噛ませ犬ってやつよ」

「ナニゆうてんねん!奇蹟の大逆転を見せたるで~」

「あの、野球はやっぱり巨人……

「巨泉かっ」

「巨泉ってだれ」

関西弁でまくし立てているのが群馬出身の阪神ファンのマユミだ。ま、楽しそうで結構。自分はあまり野球に興味が無いから、若い社員がこうして楽しそうにしているのが、ちょっとだけうらやましい。

「だいひょお~」

関西弁のマユミが私の席までやって来た。

「なんだね、何にも専務」

「また~、私、専務ちゃうし、毎度同じオヤジギャグやめてほしわぁ」

いつもこんなやり取り、あいさつみたいなもんだ。

「何?」

「だいひょお~、あの、今週末、大阪に行きたいんですけど、ええですか」

「別にかまわんよ。あ、もしかして甲子園に行く気?」

「いや~、そうしたいところやけど、斉藤さんところで一緒にテレビ応援しよかと」

斉藤さんとはウチのデザイナーで社員だが、コロナで実家の大阪に帰ってリモート勤務をしている。PC画面では変わりがないけれど、実際に様子を見に行ってくれるのはありがたい。

マユミは似非関西弁を使うなど、ふざけているが、仕事の腕は良くて、コロナ禍を乗り切ってくれた。ムードメーカー的人材である上、ひそかに斉藤に心を寄せているようにも見える。

「いいよ、斉藤さん、お母さんの具合が悪いって言ってたからどうなのか、見てきて」

「はい、あの、それでちょっと困ってます」

ん?旅費が無いのかな。大阪往復なら出張扱いしてやってもいいかな、と思っていたら

「ウチのワンコを預かってくれるところが見つかりませぬ」

「犬、飼ってたの?トラキチだから、猫だと思ってた」

「阪神と犬好きは関係ないですよ。コロナが解除になったけど、両親からまだ帰ってくるなと断られてしまいました」

実は社員のペットを預かるのは初めててはない。妻が大の動物好きで、急な出張の時、頼まれて何回か預かったことがある。

「代表の奥様が大のペット好きだって聞いたことがあるんですけど」

「うん、ロンドンの動物シェルターで働いてた」

「それで、お宅は田舎の一軒家なんですよね?」

「田舎は余計だけど、まあ、確かに一軒家でって、うちで預かれと言うつもりじゃ

「よろしくおねがいしますっ!」

喰い気味に言いやがった。まったくイイ性格だよ。でもまあ、困っていることだし、結局、預かることになった。

「ありがとうございます!必要なものは全部持って行きます。それにすごく人懐こくて良い子なんです」

写真も見せてくれたが、雑種で、ちょっと耳が折れてるが可愛い顔している。

「わかった、一応、カミサンに許可をもらってからな」

妻は大喜びだった。そして金曜日の夜、関西弁がクルマに犬とその他一式積んで、我が家にやって来た。

車から降りてきた犬を見て驚いた。

「マユミ、これ何だ!」

熊が降りてきたのかと思った。立ち上がったら妻より大きい。妻と抱き合っている姿を後ろから見ると、何やら不愉快になるぐらい、大きな犬だった。

「子犬の時はこ~んなに小さかったんですよ~」と右手の親指と人差し指を広げてみせたが、そんなワケあるかっ。

「お前、あの写真、まだ仔犬のときのだろ」

「いや~、へへ」

この野郎、たばかりやがって、ナニが混じったらこんなに大きくなるのかというぐらい大きな犬だった。

既に妻と子供たちは犬を追いかけて、キャッキャと楽しんでいるし、犬もシッポをビュンビュン振っているし、確かに図体の割に人懐こい犬だった。

「奥様、よろしゅうお願いします。あ、お土産買ってきます~。エリザベス、良い子にしてるんだよ」

そう言い残してそそくさと帰って行ったが、え、えりざべすぅ~だとぉ、この巨大犬の名前が?目を白黒させていたら、妻が腹を抱えてゲラゲラ笑い続けていた。

巨大犬、もといエリザベスは妻と息子たちのハートをがっちり掴んでしまった。下の息子は深夜になってもエリザベスにくっついて離れたがらなかった。傍から見ていると何だかエリザベスの方がまだ小さい子供たちの相手をしてあげているようにも見えた。

息子はエリザベスを枕に眠ってしまった。エリザベスは「どうってことないすよ」という顔をしていた。マユミも仕事を断ったことがないから、面倒見の良さは飼い主に似たのかも。息子を抱き上げて、ベッドに運んでいたら、マユミからフェイスタイムが来た。

「本当にありがとうございます。エリザベスは大人しくしていましたか?」

「全然問題無かったよ。良い子だね、デカイけど」

「日曜日、19時にお宅に行きます。お土産はなにが良いですか?」

「ヤクルト(笑)」

「ちょっ、それ大阪ちゃう。ワザと言ってまんの(怒)」

「そこはノリツッコミで」

「修行不足ですぅ~」

翌朝、エリザベスを散歩に連れて行ったが、息子たちもついてきた。エリザベスは心得たもので、ちゃんと子供の歩調に合わせて歩いてくれた。妻は「この子は特によくしつけが入って、訓練されているわ。マユミちゃん、さすがね」と感心している。

私がマユミがプレゼンしている動画をスマホで見せたら、エリザベスがハッとした顔をして突っ込んできた。完全に不意を突かれて尻もちをついたと思ったら、そのまま土手を転げ落ちてしまった。その姿を妻に動画で録られてしまった。こんな姿、あの関西弁が観たら、大喜利のお題が出たみたいに喜ばれてしまう。いいな、この動画、あいつに送るなよ、絶対に送るなよ。

(文/木村圭司、編集/柿川鮎子)

\ この記事をみんなにシェアしよう! /
この記事をみんなにシェアしよう!
関連記事
関連記事
  • ニュース

愛犬を乗せている自動車の掃除方法を大紹介 (12.7)

  • ニュース

食いしん坊な愛犬、どうすればダイエットに成功できる? (12.7)

  • ニュース

犬の体重を人間に換算するとどのくらいなの? (12.5)

  • ニュース

冬の散歩は足が冷える!犬のために、専用の靴を履かせるのはあり? (12.4)

もっと見る

注目のグッズ

犬猫どっち派?村松誠の「2021年版 犬猫カレンダー」

ドラえもんに大変身!犬猫用『ドラえもん コスチューム』

人気記事
人気記事
\ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! /
PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック!


ページトップへ戻る