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インドの“青い犬”騒動はかつて日本が通った道。公害によって苦しんだ動物たち

インドに青い犬が出没。その理由は工場排水か

少し前の話になるが、2017年にインドのムンバイにあるタロジャ工業地帯付近を流れる川近くで、青い毛色をした犬が目撃されていた。この犬は複数頭存在し、地元の動物保護活動家らによって実際に写真なども撮影され、これが世界中で報じられていた。

AFP通信も当時この犬の記事を写真つきで紹介しており、その記事の中で“同地域では以前から、未処理の化学物質が工場からカサディ(Kasadi)川に直接排出されていると批判が集まっていた”と説明をしている。当地ではこれまでにも、この化学物質によって汚染された川付近では青い犬だけでなく、真っ青になった鳥なども発見されていたという。

工場排水が現地の動物に悪影響をあたえるとなると、いずれはそこで獲れる動物を食べた人間にも影響をおよぼしてしまう可能性がある。そしてこれは、かつてさまざまな公害に苦しんできた日本という国に住む私たちにとっては、決して他人事ではない。

日本では、ほんの数十年前まで、数多くの公害病が動物や人間を苦しめてきた過去がある。今日はその中でももっとも有名な事例を振り返りたい。

水俣病。苦しんだのは人間だけではなかった

1956年頃から患者の発生が確認されはじめた水俣病。地方病のような名称だが、これは熊本県の水俣市で患者が続出した公害病のことを指す。

義務教育でも勉強する範囲なので、知らない方はほとんどいないだろう。

水俣病は、メチル水銀化合物などさまざまな物質を工場から無処理で水俣湾へと排水したせいで、汚染された魚介類による食物連鎖が起こって生物濃縮を招いてしまった。そののち、毒性の強まった魚などを食べてしまった沿岸の住民に中毒症状が見られるようになり、これを水俣病と名付けることとなったのである。

この水俣病は、世界的に見ても最大規模の公害病として知られている。

前述のとおり1956年には水俣病患者が発生するようになったが、実はその数年前から、現地では動物たちに異変は起こっていた。まず水俣湾で一部の魚介類が獲れなくなっているのである。1949年には、環境の変化に敏感なエビ類がいなくなった。さらにタコやイワシなども網に見かけられなくなる。

さらに1953年頃には猫が相次いで狂死するという事態が発生している。前述の生物濃縮にとって、有害物質を保有してしまった魚が別の魚に食べられ、その魚の中にまた毒性が留まった状態で、さらに大きな魚がそれを捕食する。こうやって毒性が高まり続けた結果捕獲された魚を食べたことで、人間よりまず先に、身体の小さな猫がその犠牲者になったのである。

猫の異常行動と変死が事実上現地住人への最終警告だった

水俣病が本格的に顕在化する数年前には発生していた猫の狂死。これについてはログミーBizが「異変の兆候は“おどる猫”水俣病をめぐる経緯と科学的な原因」という翻訳記事でも詳しく紹介している。

記事内では、やはり当時沿岸に生息していた野良猫、飼い猫の主な餌は生物濃縮を経て水揚げされた魚だったと指摘しており、さらにこう続く。

“1950年代の初め、住民は猫が踊るような素振りを見せるのに気づきました。滑稽に聞こえるかもしれませんが、実は、深刻な事態が起こっていたのです。猫は、ひどい痙攣を起こし、恐ろしい鳴き声を立て、ついには死んでいきました。”

重篤なメチル水銀化合物中毒になってしまった猫たちは、人間よりも数年早く異常な死を遂げ、その末路を以て危険性を訴えていたということに、結果としてはなってしまう。しかしこの変死の原因が特定される前に人体への影響がとうとう出始めてしまった。

水俣病の特定には、猫の変死に着目した医師らによっての動物実験なども行われ、ここでも猫が活用された。実験では800頭を超える猫が動員された。残酷なようだが、これによって水俣病の全貌に迫ることができたために、無駄死にではなかったとも言える。メチル化合物の湾内への垂れ流しは1968年まで続き、その後、現地の海の安全がアナウンスされたのは、1997年のことである。

公害の被害は最初に動物に出る。これが世界中の公害病の最初のサイン

現在、水俣湾はかつての狂乱が嘘のように生物多様性も回復し、安全な魚介類も戻っている。ただ、どこの国も急速な発展を遂げる最中には、しばしばこういう公害問題に直面しているもの。日本では1950年代から70年代に掛けて高度経済成長期と呼ばれる著しい経済発展を遂げていたが、その陰で数々の公害病の犠牲者も生んでいる。

振り返りになるが、インドの青い犬の事例は、まず目に見えた異変が犬や鳥などに生じている。水俣病の場合は猫だった。しかし人の目に付きにくい部分では、既に何年も前から異変が生じているというのが公害の恐ろしいところである。

文/松本ミゾレ

【参考】
AFP通信「インドで『青い犬』が話題に 染料排出疑いの工場閉鎖」
https://www.afpbb.com/articles/-/3140081

ログミーBiz「異変の兆候は“おどる猫”水俣病をめぐる経緯と科学的な原因」
https://logmi.jp/business/articles/236520

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