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「犬は人間関係を良好なものにする」を実感したエピソード

ひと昔前の田舎の、地域に馴染めない人の扱いって結構キツかった

ちょっと昔話をしたい。このあいだ、銭湯でぼんやりお湯に浸かっているときにたまたま思い出した話だ。

1980年代の終わりごろ。うちの近所に、周りの家々からちょっと敬遠されているおばさんが住んでいた。

いつもニコニコ笑顔で傍目には良いおばさんなんだけど、わけあって親戚とは離れて1人住まいをしている人だった。その理由は子供心に聞かない方がいいと思って知らないままにしていたが、あるとき「牛乳飲む?」とそのおばさんに聞かれて「うん」と返事したら、泥だらけのコップにぬるい牛乳を注がれたのでなんとなく察しはついた。

まあ、そんな人なので周りからもあまり干渉されることなく、地域のお祭りなんかも呼ばれることもなく、という感じだったのだ。露骨に周りの人から避けられていて、でも村八分ってほど酷くもない。なんか、その地域の日たちが当たり前におばさんの存在をないものとして扱っているという、そういう雰囲気が子供ながらに感じ取れた。

肝心のおばさんはずっとニコニコしているため、悲壮感みたいなのはなかったけど、なんか扱いが悪かったのは事実である。

その当時、地区の子供会が10月になると、近隣を回る子供にお菓子をあげるという取り組みをやっていた。当然僕もそれに参加して、大人たちが用意していたお菓子をもらっていたんだけど、子供たちですら無意識に件のおばさんの家には立ち寄らなかった。

おばさんは玄関前で、ニコニコしながらお菓子の入った袋を用意していたのに。あれは今思うと、本当に悪いことをしたなぁと……。

犬は偉大。犬は人間関係を良好なものにする

さて、あるときからそのおばさんが柴犬を飼い始めた。多分どこかから拾ってきたんだろう。犬をペットショップで買えるような経済状況ではなかったはずなので。

その犬の名前はもう忘れてしまったんだけど、割と従順というか、しっかりした犬で、無駄吠えもしない頭のいい個体だった。最初こそ近所の男衆が「あのおばさん、犬なんか育てられんやろ」と眉をひそめていたが、そういう予想と反しておばさんは犬をしっかり飼育していた。

事実一切無駄に吠えないだけでなく、他人を噛んだりもしない。子供は犬好きが多いので、ある時からおばさんの家には子供たちがひっきりなしに遊びに行くようになった。大人たちもそれについては意外にも容認していたような空気があった。

おばさんが犬を飼い始めて3年ぐらいした頃には、もう特段このおばさんをのけ者にするといった空気もなくなっていた。気難しい近所のおっさんが、おばさんの玄関の前に自分が育てた野菜をそれとなく置いておくのも見たし、朝早くにおばさんの家の庭にドッグフードを置いていた近所の奥さんと目が合ったこともある。この奥さんは僕に「誰にも言わんでいいからね」と話してそそくさと帰っていった。たしかアレはビタワンだったと思う。結構な量だった。

おばさんはあるときいなくなる。犬もそれっきり…

長らくコミュニティのはぐれ者扱いされていたおばさんが、犬と暮らすようになって徐々に周りからそれなりの扱いを受けるようになった一番の理由は、やっぱり犬の愛らしさだろう。吠えない、噛まない、愛想がいい。これではやっぱり、みんなも無視してはおけないのだ。

ただ、このおばさんへの周りの対応の軟化と並行して、おばさん自身にはちょっと悪い変化が見えるようになった。身体があまり思い通りに動かなくなったのか、足を引きずって犬と散歩する姿を見ることが増えたのだ。加えて、普段常に笑っていたような人なのに、段々表情がなくなっていった。

ある晩など、僕が回覧板を近所に届けるために外に出たら、おばさんは犬の繋がっていないリードを手にして、ずっとぐるぐる回っていた。

それからほどなくして、おばさんの住んでいた家の前に軽トラが止まっていて、家財を運び出しているのが見えた。近くにいた地区会長のじいさんに聞くと、「もうここには住めないので帰ってこないよ」と教えてくれた。

僕が「犬は?」と聞くと「あの犬ならここから少し離れた〇〇町の人が引き取ったよ」と、わざわざその飼い主さんの家の場所まで教えてもらった。地区の子供らで後日その家に行くと、庭で大きな犬小屋をあたえられたあの柴犬が、こっちを見て尻尾を振っていた。

それだけで子供心にかなり安心したことをおぼえている。

おわりに

ほんの少し前には、近所付き合いも盛んな地域が多かった。しかしそれは言いかえれば「あそこの家の人はちょっと様子が変だ」みたいな噂話も巻き起こりやすかった環境だったとも言える。

件のおばさんもそういう話題のターゲットにされて、当初は避けられていたのかもしれない。

そういえば僕の母方の本家でも、少し精神に障害のあるおばさんが1人だけ離れに暮らしていた。母屋に入ることを拒まれ、母屋を建て替えて近隣の人を招いてお酒をふるまったときも、このおばさんだけは離れに引っ込んでいた。当時存命していた曾祖母に「どうしておばちゃんは1人であそこにいるの?」と聞いたら「近所の目もあるけんね」とそっけない返し方をされたものだ。僕の田舎ではこういうことは、四半世紀ぐらい前まではちょくちょく目にしたっけ。

それにしても、膠着した人間関係も、犬の存在一つで柔和するというのは、やっぱり動物の力って凄いよね。大げさな言い方になるが、犬と人とのかかわりって、時として飼い主の立場をも改善させてしまうのだから。

文/松本ミゾレ

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