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忘れられない永遠の犬の記憶【犬が死んだ朝】

犬が死んだ朝

小学生ぐらいの男の子が小さな妹の手を引いて歩いていた。妹が斜め掛けした幼稚園バッグには黄色いヒヨコのアップリケが付いていて、歩くたびにぴょんぴょん跳ねている。

何だか可愛くて、いつまでも目で追ってしまったが、私も彼女と同じぐらいの歳の頃、あんな風に誰かに導かれて、楽しそうに歩いた記憶がある。

一人っ子で兄はいないし、近所に子どもはいなかった。誰に手を引かれて歩いたのかは憶えていないが、確かに誰かと寄り添って、あんな風に弾むように歩いていたっけ。

季節は春だったと思う。タンポポが道端に咲いていて、気持ちの良い風を顔に受けていた。隣に自分と同じぐらいの背丈の誰かが寄り添いながら、公園に向かっていた。

うきうきする心と、確かに誰かに守られて歩いている感覚があった。隣にいる誰かが一緒ならば、世界の果てまで歩いて行ける・・・・・・そんな安心感に裏付けされた幸福な気持ちに満たされていた。思い出すと、胸が切なくなる。

不思議なことに、どう考えても私と一緒に公園に行ったのは犬なのだ。母が「よく吠えるから」と店の番犬にしていた大きな犬が、私の友だちだった。

どんな犬だったのか、全く記憶に無いのだが、犬と私はよく近くの公園や空き地で遊んでいたらしい。「かなり大きな虎毛の犬で、いつも一緒にいた」と母は言う。

犬を従えた私は、あの幼い兄妹のように、弾みながら歩いていたのかも。隣を歩く犬がいれば、何も怖いものは無い。胸いっぱいの安心感で満たされていた。

そんなに私を保護してくれた犬なのに、どうして姿形の記億が全く無いのだろう。犬が死んだ時はものすごく悲しかったに違いないのだが、いつ死んだのかも憶えていない。幼い私は犬のいない世界を受け止められず、自分の記憶から犬の姿を消してしまったのかも。

何十年も経った今でも、あの春の日、誰かにしっかり守られながら、歩いた瞬間が蘇える。犬の姿は忘れ去られてしまっても、感覚として記憶に残っている。私の心の一番幸せな記憶の中には、姿のない、永遠の犬がいる。

文/柿川鮎子
東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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