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なぜもっとはやく犬と一緒に暮らさなかったんだろう。

虹の橋を渡る日まで

犬とのボール遊びは手加減しない。本気で家の中を走り回るし、犬の方も容赦せず全速力で追ってくる。目はいつもより真ん丸で、舌を垂らしてハアハア息をする口元は、笑っているように見える。何て可愛いんだろう。犬ってこんなに可愛かったっけ?といつもいつも思う。

ちょっと気を許したところで、犬が飛びついてボールを奪われた。ソファーの背もたれを跳躍して、ベッドルームへ突っ込んでいく。ベッドの下に隠れる作戦だ。そうはさせじ、こっちもベッドルームへ突撃だ。

リモートで知り合ってすぐ同棲した彼女は、家の中を犬と走り回るのを嫌がった。「ホコリが飛ぶじゃないの」とか「ご近所迷惑よ」と文句ばかり言うので、「おれ達がいる家に後から入ってき、何いってんの」と言い返したら荷物をまとめて出て行かれちゃった。

共通の友だちに「あの犬馬鹿最低男」なんて怒っているらしいけど、まぁしょうがない。自分でも確かに犬馬鹿だと思うし、犬の良さを知らないヤツから何か言われたところで気にする必要も無い。犬を優先させて結婚できないのであれば、一生結婚なんてしなくたっていいや。

コロナでリモートワークになって、田舎の一軒家を借りた。隣と離れていて、多少家のなかで吠えてもご近所迷惑にならない。ちょっと歩けば川岸の広い草原で、犬と散歩できる場所がたくさんある。田舎は本当に犬との生活には便利なのだ。

ボール遊びがひと段落して、ソファーに座って開け放した窓からの空気を味わっていた。犬は全力で遊んだ後の余韻を味わっている様に、静かで深い息をしている。膝の上に感じる犬の呼吸と体温で、こっちもなんだか眠くなってくる。

犬が来る前は、こうやって何もしない時間に我慢できず、いつも焦っていた。同期の連中はもっと勉強しているんじゃないかとか、仕事の準備をしなきゃいけないとか、やるべきことが盛りだくさんで、いつも追い立てられるように生きていた。

全力投球していた海外の仕事がコロナですべてキャンセルになり、帰国してから眠れなくなり、ちょっと鬱っぽくなって、心療内科に行った。医者に「子どものにやりたかった10のことを書いてください」と指示されて、大型犬が欲しかったのを思い出した。すぐにブリーダーに連絡して、子犬を引き取った。

犬と生活していると、生活のリズムが整って、不眠が治った。何より犬に愛されているという実感があり、精神的にものすごく安定している。

こうやって窓から吹く風を感じながら、犬の背中を撫で、何もしないでいる時間の濃密な感じが良い。何かをしなければ充実していないと思っていたけど、犬と何もしない時間は、こんなにも濃くて充実している。

なぜもっとはやく犬と一緒に暮らさなかったんだろう。そして、こんな素晴らしい犬が、たった10年ちょっとしか一緒にいられないことが、あまりにも辛すぎる。

気が付けば窓の外は真っ暗で、もう夜だ。犬と過ごす時間は本当に早い。

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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