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マリアありがとう。これまで本当によく頑張ったね。大好きだよ。

マリアのメラノーマ闘病記その13

わが家のラブラドールレトリーバーのマリアに、メラノーマという口腔内ガンが見つかっておよそ9カ月。ついに、鹿児島の崩壊した繁殖場から九死に一生を得てレスキューされ、保護犬としてわが家にやってきた、小柄で色白なラブラドールレトリーバーの女の子、マリアの命が尽きる日が訪れました。けれども、マリアが逝っても、ボクとカミサンは、涙を流すことはありませんでした。不思議なことに、むしろ、安堵の気持ちに包まれたのでした。

2020年6月11日。この日、朝からボクは仕事で出掛けなければなりませんでした。カミサンに「マリアをよろしく頼むよ」と言い残し、家を出ました。クルマの運転中も、マリアのことで頭がいっぱいでした。

この日は幕張動物病院の通院日です。しかし、マリアは昨日より一段と呼吸が苦しそうでした。カミサンは、こんな状態のマリアをクルマで移動させるのは不安でしたが、病院に行けば症状も改善されると思っていたのです。予約時間は午後3時。カミサンが一人で連れて行くことになったのですが、いざクルマに乗せようとマリアを抱きあげようとしたら排便をしてしまい、それもなかなかの大量で軟便のため片付けに時間がかかってしまったそうです。すると突然の大雨が降りだしてきました。もう予約時間には間に合わないと判断し、病院に連絡をして初めてのキャンセルをさせてもらい、翌日の午前中(予約で一杯でしたが)診てもらうことにしたのです。

ボクはマリアのことで頭がいっぱいでしたが、無事、仕事を終え、帰り道に幕張動物病院に立ち寄り、マリアの薬をピックアップすることになっていました。動物病院の窓口では、「お薬は3日分、出しておきますね」と、まだこれからも生き続けていくようなやり取りだったのです。

この日の夜7時。マリアは流動食のチューブダイエットさえ、まったく飲み込む力がありませんでした。呼吸はさらに苦しそうでした。時々、手足をバタバタとさせていました。カミサンはこの時「もう長くないのでは?」と感じたそうです。カミサンはただただ側にいて優しく声をかけながら体をさすってあげていました。そしてマリアは安心したように、静かに横たわっていたのです。

それから数時間、ふと気が付くと、カミサンはマリアと一緒に寝ていました。夜11時を過ぎ、付き添っていたカミサンは、これまでマリアの様子を観察し続けていた直感から、夜は越せないと感じていたようです。翌日、早朝から仕事のため、いつもより早寝をしようと準備をしていたボクの元にカミサンがやってきて「もう、明日は生きていないかもしれない」、「最後の別れをした方がいいかも知れないわ」と声をかけてきたのです。カミサンの顔が、様子が、いつもと違うことに気づきました。

2020年6月11日、夜11時54分。マリアにシリンジでお水を飲ませてあげました。なんだか、今、飲ませないと、もう二度と、生きているうちに喉を潤せてあげられないかもしれないと、思ったからかも知れません。

12時を過ぎ、マリアが寝ているリビングルームで、カミサンが一緒に寝る準備をしていると、マリアが突然、手足をバタバタさせ、一瞬、上半身を立ち上がらせました。すぐ駆け寄り「大丈夫だよ」と声を掛けました。すると手足を伸ばし、体を反り返らせ、大きく息をした後、静かに目を閉じたのです。

それからも「マリア大丈夫だよ」と、何度も、何度も、声をかけながら頭を撫で続けました。しかし呼んでも反応がまったくありません。今までは苦しそうにお腹を上下させていたのに、もう、お腹が動いていないのです。まさか本当に死んでしまったの?歯茎を見ると血色はなく、おしりを見ると少量の便をもらしていました。それでボクとカミサンは、お互い、目を合わせ、マリアの命が尽きたこと、鹿児島の繁殖場からわが家にやってきて、”一夜にしてわんダフルライフ”を満喫したであろう犬生を遂げたことを、確信したのです。2020年6月12日、午前0時35分のことでした。

実はその直前、マリアのそばで寝ていたジャックラッセルのララが、突然起きて、めったにしないうなり声をあげ、玄関のほうに猛然と突進して行ったのです。もしかすると、天国からお迎えの犬がやってきて、それを阻止しようとしてくれたのかも知れません。ウソのようですが、本当なんです。

カミサンとボクは、マリアの頭を撫でながら「マリアありがとう。これまで本当によく頑張ったね。大好きだよ」と何度も声をかけました。カミサンは、「まだマリアの温もりが残っているわ・・・本当はまだ死んでいないかもしれない」と、本当に息をしてないか、心臓が止まっているか、マリアの心臓の様子を見るために買っておいた聴診器で、何度も心音を確認したほどでした。

この時、不謹慎ですが、悲しみより安堵感がありました。念願だった自宅で、カミサンの腕の中で、ボクたちに看取られ、マリアを安心して天国に送り出すことができたからです。これで9カ月に及んだメラノーマとの戦いを終えることができ、苦痛や痛みからやっと解放され、色白な美人のまま、虹の橋を渡ることができる。だから、ボクもカミサンも、不思議なことに、涙は出ませんでした。

ありがとう、マリア。14年9カ月の生涯をいっしょに過ごせて、いっしょにいろいろなところにお出かけして、いろいろなお仕事でもがんばってくれた。大好きだよ。いつも家族の中心にいて、家族みんなを幸せにしてくれた。マリアがいたからこそ、わが家は多くの困難も乗り越えられてきたのです。


大好きだったレジーナリゾート軽井沢御影用水にて

ボクたちは、リビングルームのマリアの指定席だった場所のマットの上に、新しいピンクのバスタオルを敷いてあげてマリアの頭を乗せてあげ、お気に入りのタオルをかけて寝かせてあげました。そして、「マリア、もう、辛い思いをせず、これまでがんばったぶん、これからはゆっくり休むんだよ。マリアはいつまでも僕たちの心の中に生き続けるよ。これまで本当にありがとう。マリア・・・」。静まり返った夜。まるで眠っているようなマリアに、ボクはそう、語りかけました。カミサンもまったく同じ気持ちだったに違いありません。


マリア、ゆっくり休んでね


在りし日の笑顔のマリア(2014年9月14日撮影)

つづく

追記 今からちょうど1年前の2020年2月には、このPETomorrowのマリア最後の”わんこと行くクルマ旅”のロケで、マリアが大好きだった軽井沢のレジーナリゾート軽井沢御影用水を訪れました。まだ元気だったマリアはカメラを向けられると、女優魂なのか、最高の笑顔を見せてくれていたんですよ。


レジーナリゾート軽井沢御影用水のレストランにて

撮影 青山尚暉 雪岡直樹 佐藤靖彦

文:青山尚暉

ドッグライフプロデューサー、モータージャーナリスト。雑誌編集者を経験した後、フリーのジャーナリストに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。愛犬家でもあり、愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿に関しても詳しく、Web、専門誌、一般誌、ラジオなどで「愛犬との快適安心な旅スタイル」を提言中。現在、ラブラドールレトリーバーのマリアを149カ月で見送り、ジャックラッセルのララと暮らしている(どちらも保護犬)。PETomorrowのほか、レスポンス、カートップなどでも愛犬とクルマ関連の記事を連載中。20164月には、愛犬とのドライブ旅行の集大成となるムック本『愛犬と乗るクルマ』が発売されている。輸入車の純正ペットアクセサリーの企画、開発、プロデュースにも携わる。愛車はシニア犬の乗降性にもこだわった、愛犬仕様にアレンジしたステーションワゴン。

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