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マリア、最後の一週間。

マリアのメラノーマ闘病記その12

2007年9月28日、鹿児島の崩壊した繁殖場からまさに九死に一生の幸運を受け、地元のボランティアさんの努力によってレスキューされ、「幸せになるんだよ」と、向日葵の首飾りをつけてもらい、空路、東京へ送り出されることになった小さなラブラドールレトリーバーの女の子、鹿児島時代はボランティアさんにその白味がかった毛色からエクリュという名前だった、当時、2歳半のマリアは、以来、わが家が里親として引き取り、以来、家族の中心となり、”一夜にしてわんダフルライフ”を謳歌。家族とともに、わが家での12年9カ月の日々、思い出を重ねました。そして推定年齢、およそ14歳9カ月となった2020年6月12日、0時35分、わが家のリビングルームのマリアのお気に入りの場所で、カミサンとボクに看取られ、静かに、安らかに第三の犬生に旅立ったのです。今回は、マリアの最後の一週間を綴りました。

2020年6月4日、点滴とオゾン注入のため幕張動物病院に通院。マリアの苦痛を少しでも和らげてあげたいということで、痛み止めの薬が初めて出たのもこの日でした。この頃、マリアはほとんど自力で歩けませんでした。体重も18・6kgにまで落ち、動物病院の駐車場から20メートルぐらいの距離さえ歩けないのはともかく、大型犬にして、悲しいかな、抱きかかえて連れていけるぐらい、頭も、胴体も、お尻も、ギューッと痩せてしまっていたのです。

この頃のマリアは、1日1日と、急速に衰弱していくのが目にみえて分かるようになりました。流動食のチューブダイエットさえ、指定の量をほとんど飲めず、シリンジで口に流し込んでも呑み込めず、ダラダラこぼすようになっていました。

マリアが亡くなる5日前、6月7日。朝、カートで散歩に出すものの、マリアが大好きな公園の芝生の上に下ろしても、おしっこもうんちもなかなか出ません。諦めて帰宅し、玄関の前に戻ってきたとき、カートの中でいきなりおしっこ。カートの中はもうびちょびちょです。借り物のカートだけに、ボクは解体して掃除し、大騒ぎ。カミサンがマリアを抱っこしたまま家の中に入れ、ベッドに横たえてあげると、以来、寝たまま。ほとんど動かずにいるようでした。

この頃から流動食も水もほとんど飲めない状態になり、もちろん薬も飲めません。まったく立ち上がることも出来ず、静かに寝てばかりの日々でした。あまりに静かなので、ふと、生きているのか、呼吸を確認するほどでした。さすがに片時も目を離せないため、カミサンは夜もリビングで一緒に寝ていましたが、夜中に起こされたこともなく、手のかからない、いい子でいてくれました。心配なのは、食事が食べられず、自身で水も飲めないため、排泄をほとんどしていないことです。もう、カートで公園に連れ出しても、カートの中で横になったまま、顔を上げることすら出来ず、ハーネスを装着して歩かせようとしてもフラフラの状態で、排泄するための力はまったくありません。

6月8日。朝のお散歩はララのみ。マリアは起きてきません(もちろん、生きてはいます)。夕方、マリアを抱いてカートに乗せ、大好きなはずの公園までお散歩に出掛けたのですが、とうとう、降りずに終わりました。

それからはお部屋で寝たきり。食事はシリンジで、かろうじて与えている状態です。寝た姿勢のまま、ほぼ動こうとしません。ステイホームが基本の時期ですから、ボクは家にいることがほとんどで、毎日、何度もマリアに声をかけながら、頭をなぜてやるのですが、うつろな目でボクを見つめるだけで横になったまま動きません。近くでマリアを見ると、頭を撫ぜてやると、頭が骨ばっていて、痛々しいばかりでした。その日の夕方、お散歩に出掛けるカミサンが、「今夕の散歩が、マリアの最後の散歩かもしれないわ」と、小さな声でボクに告げたのです。

カミサンは夜、以前、マリアを抱きあげたときオシッコをもらしたことがあるのを思い出し、お腹を刺激して排尿できるようにと、だらんとしたマリアを抱きあげ、庭に出てしばらく抱っこしているうちに、やっとオシッコを出すことができました。マリアはわが家にやって来た時から、家の中でオシッコを失敗した記憶がないほど、我慢強い子でした。カミサンは、こんな状況でも迷惑を掛けたくないと頑張ってるマリアをいっそう愛おしく感じ「マリア、我慢しなくていいのよ」と、何度も声をかけていました。

6月10日。夜、今までは静かに寝息を立てて寝ていられたのですが、今夜はいつもと違いました。目を細め、お腹を上下させ、はぁはぁと呼吸が苦しそうでした。そんなマリアを見ているのはとても辛かった。

時を戻します。2019年9月19日、総合病院でマリアが検査をしている間に、カミサンと見た、映画「僕のワンダフルライフ」に続く、その後を描いた「僕のワンダフルジャーニー」の冒頭、ゴールデンレトリーバーに生まれ変わったベイリーのように、メラノーマの末期を想像し、こんな呼吸困難な状態が何日も続くようなら・・・マリアが苦しみから解放されるなら・・・安楽死も覚悟しなければと、カミサンは自分に言い聞かせていたようです。

しかし、いざその時になったら、決心できるか正直、不安だったのも本当です。出来るなら長く苦しまず、大好きなわが家で、静かに息を引き取らせてあげたいと強く願うようになったのです。マリアはそれに気づいてくれたのか、傍についているカミサンを困らせることなく、その夜、呼吸が苦しいはずなのに、一晩中、苦しみをこらえるような声ひとつ出さず、ただただ静かに横たわっていてくれたのでした。しかし、鹿児島の繁殖場から九死に一生の軌跡で助けられ、わが家にやってきて以来、大切な家族の一員として、旅するラブラドールレトリーバー、自称自動車評論犬!?ペットと泊まれる宿評論犬!?として、わんダフルライフを謳歌したマリアの命は、あと24時間を切っていたのです。

つづく

文:青山尚暉

ドッグライフプロデューサー、モータージャーナリスト。雑誌編集者を経験した後、フリーのジャーナリストに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。愛犬家でもあり、愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿に関しても詳しく、Web、専門誌、一般誌、ラジオなどで「愛犬との快適安心な旅スタイル」を提言中。現在、ラブラドールレトリーバーのマリアを149カ月で見送り、ジャックラッセルのララと暮らしている(どちらも保護犬)。PETomorrowのほか、レスポンス、カートップなどでも愛犬とクルマ関連の記事を連載中。20164月には、愛犬とのドライブ旅行の集大成となるムック本『愛犬と乗るクルマ』が発売されている。輸入車の純正ペットアクセサリーの企画、開発、プロデュースにも携わる。愛車はシニア犬の乗降性にもこだわった、愛犬仕様にアレンジしたステーションワゴン。

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