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なんとか春を無事乗り越えられたマリア

マリアのメラノーマ闘病記 その11

2007年9月28日、鹿児島の崩壊した繁殖場からまさに九死に一生の幸運を受け、地元のボランティアさんの努力によってレスキューされ、「幸せになるんだよ」と、向日葵の首飾りをつけてもらい、空路、東京へ送り出されることになった小さなラブラドールレトリーバーの女の子、当時、2歳半のマリアは、以来、わが家が里親として引き取り、以来、家族の中心となり、”一夜にしてわんダフルライフ”を謳歌。家族とともに、わが家での12年9カ月の日々、思い出を重ねました。そして推定年齢、およそ14歳9カ月となった2020年6月12日、0時35分、わが家のリビングルームのマリアのお気に入りの場所で、カミサンとボクに看取られ、静かに、安らかに第三の犬生に旅立ったのです。

ここでは、2019年9月に発覚し、それから9カ月のあいだ、メラノーマという非常に悪性で進行の早い口腔内皮膚がんと、家族一丸となって闘ったマリアの闘病記を、記録していた日々のメモと写真を頼りに、わが家の治療方針と動物病院や薬の選択、詳細な治療方法、薬の副作用、手作りの療養食づくり、食事の与え方、お散歩や介護の仕方、そして最後の最後の緩和ケアなどについてお伝えしたいと思います。同じような病と闘っているわんことその飼い主さんにとって、少しでも参考になればと思っています。その11回目となる今回は、マリアの病状が著しく悪化した、2020年4月から5月にかけて振り返ります。

2020年4月2日。本来なら3週間の間隔を開けた、幕張動物病院での抗がん剤投与の日です。しかし、前日の大量出血による血液検査の結果、貧血がひどく、投与はできないということになってしまいました。で、この日は点滴のみの処置で、抗がん剤の投与は翌週に延長です。そして血液関係の薬が増えたうえ、ご飯はペースト状にしてシリンジで与えることになったのです。

この頃から、ステイホームで仕事をしているボクの毎朝の日課は、カミサンがキッチンで手間をかけ、マリアのごはんをペースト状にしている間、何種類もの薬をすり鉢で乳棒を使い、カリカリ、ゴリゴリと、完全に粉状になるまですりつぶすことでした。もう、手慣れたものです。

 

シリンジで給餌するために、ふやかしたフード、お肉と煮込んだ野菜スープ、缶詰は、フードプロセッサーにかけペースト状にします。毎回、用意と給餌に1時間くらい時間を要しました。マリアもはじめは上手く呑み込めず、シリンジでの給餌に戸惑っていましたが、慣れてくると上手に飲み込むことができるようになり、美味しそうに、毎回完食してくれました。

桜が散り始めた翌週の4月9日。やはり血液検査の結果、抗がん剤投与ができるまでに数値が戻らず中止。また、翌週に延長になりました。ご飯も完食し、散歩時もカートから降りて自力で歩くほど体力も回復してるように見えたのですが、気が付けば、体重は、小柄なラブラドールレトリーバーとしても少ない22kgまで減少していました。そして口腔内メラノーマは肥大し、左頬は腫れ、顔が左右不対象で、口も満足に閉じられないほどになってしまいました。

翌週の4月16日。体重は23・2kgまで増えました。血液検査の結果も、抗がん剤が投与可能な数値まで回復。やっと、6回目の抗がん剤投与です。この回から高濃度ビタミンC点滴療法が追加になりました。抗がん剤投与後は、2~3日はだるそうで散歩を拒む日もありましたが、それを過ぎると足取り軽く散歩ができるようにまでなったのです。

そして、シリンジで与えるペースト状のご飯は準備をしてる段階から、キッチンをソワソワと歩き回り、見事に完食してくれました。毎回そうですが、抗がん剤投与後の2週間はヨダレも出血も減少。体調も良く、不思議なほど穏やかな日常を過ごせていたのです。

翌週の4月23日。ルペオールとオゾン注入のため、幕張動物病院に通院。ルペオールは本来なら6か月の投与期間だったのですが、期間は過ぎたものの、抗がん剤との併用を先生からすすめられて継続することにしたのです。それは、少しでもメラノーマの進行を遅らせるための節なる願い、希望でもありました。2020年4月は、大量の流血から始まり、毎週のように通院する日々を過ごしていましたが、なんとか春を無事乗り越えられたようです。

4月25日。この日は、2月の小学館PETomorrowの“わんこと行くクルマ旅” スズキ・ハスラーで行くレジーナリゾート軽井沢御影用水に続き、”わんこと行くクルマ旅”ではありませんが、マリアにとって最後の最後になったお仕事、PETomorrowの”今月のドッグフレンドリーカー”、新型ホンダ・フィットの撮影を行いました。撮影と言っても、マリアの体調を考え、家の前で数分、クルマの横に立ってもらっただけなのですが、さすが、百戦錬磨のわが家の2代目自称自動車評論犬!?です。こんな時にもかかわらず、いつもの、とびっきりの笑顔でカメラに向かってくれたのでした。言い換えれば、マリアがほとんど最後の、元気そうな満面の笑みを浮かべてくれた瞬間でした。

夜、マリアのそばで静かにTVを観ていると、寝ているマリアが、しばらくの間、足をバタバタさせていました。きっと、夢の中で、元気な頃を思い出し、公園を、ドッグランを、ラブラドールレトリーバーらしく、気持ちよく走っているんだなあ・・・と思ったものです。それにしても、マリアはわが家にやってきたその日から、頑固な性格でした。ボクたちは、マリアの頑固さが、死の淵に立っていても、ふんばっているんだなぁ、なんて、不謹慎なことを口に出したものです。


元気な頃のマリア

5月7日。7回目の抗がん剤投与。血液検査の結果は問題ありません。しかし、体重は21・86kgになり、2週間で1・3kgの減少です。メラノーマに栄養を摂られてしまってるのか、見るからにやせ細っていく姿が可哀そうでした。このころから口腔内メラノーマが口の中でさらに大きくなり、それが邪魔をして、シリンジからのペースト状のご飯を上手く呑み込めず、水もよく飲むものの、ほとんどこぼしてしまい、お皿の中はメラノーマから出血する血で真っ赤でした。

抗がん剤を投与して3週目を過ぎると、立ち上がることが困難になり、食欲も落ち、1日中、大好きなベッドで寝てることが多くなりました。

5月19日。昨日のマリアは1日中、寝たままで食欲もなく、心配は尽きません。いよいよ、かな、と思ったのも本当です。が、この日の朝は昨日から一転、朝は自ら起き上がり、食欲もありました。近所の公園を巡る、オープンカートでのお散歩では、途中でスクッと立ち上がり「カートから下りて歩くわん」と、少しだけ、元気な様子を見せてくれました。

5月21日。ルペオールとオゾン注入のため、幕張動物病院に通院。診察の結果、メラノーマが舌の裏側まで転移していることが判明しました。ペースト状のご飯を飲み込むのも困難な状況になった理由です。先生からは、胃ろうの手術を提案されました。その時はそこまでして延命させなくても・・・と思ったのですが、みるみる痩せていくマリアを見ると、手術を決断せざる得ない、そう思うようになりました。

翌週の5月28日。8回目の抗がん剤の日です。しかし血液検査の結果、投与することができません。体重は20・8kgとさらに減少。最悪なことに、マリアの状態から、これ以上、抗がん剤の投与は出来ないと先生から説明され、ボクたちは愕然としたのです。今までは、抗がん剤を投与すれば、目に見えて調子が良かったのです。抗がん剤が出来なければ、メラノーマはどんどん進行し、喉を塞いでご飯どころか、呼吸さえも出来なくなる・・・それではあまりにもかわいそうです。

前回の診察で先生から提案のあった胃ろうの手術を出来ないかと尋ねましたが、しかし、今の状態では貧血がひどく、麻酔をかけられないと。もちろん、メラノーマの摘出手術など、リスクが大きすぎ、もう残された手立てはないようでした。そこで、これからは、残された日々を少しでも穏やかに暮らせるよう、緩和ケアのみになりました。つくづく、メラノーマの恐ろしさを強く実感した瞬間でした。

ところで、マリアの通院に、心配そうに連れ添ってくれている、妹のジャックラッセルのララですが、今日の診察でのただならぬ雰囲気を察知したのか、診察室の引き戸の内側に張り付いたままでした。呼んでも、こない。微動だにしないのです。が、理由は怖がっていたのではありません。しっぽが引き戸に挟まったまま、ボクが引き戸を閉めてしまったので、動けなかっただけのようです。ごめん、ララ。

 

その日から、薬に痛み止めが追加されました。なんとか、痛みからだけは解放してあげたいとの思いからでした。そして、もはやご飯が食べれないため、カミサンが手間暇かけて毎朝、毎夕、作っていた手作り食をあきらめ、食事を完全な流動食=チューブダイエットに変更することにしたのです。1袋を100ccのぬるま湯でとき、1日10袋を5回に分けて与えるよう指示されました。

このチューブダイエットはその数になるとかなり高額になるのですが(1日分で3000円ほど)、マリアが最期を迎えるまで、最善を尽くす覚悟でいたので、迷うことはありませんでした。それにしても、この時期、ボクが毎日、ステイホームで家にいられたのは、マリアにとっても、家族にとっても、そしてボクにとっても、不幸中の幸いじゃないですけれど、運がよかったなんて思っています。さすが、奇跡の犬生を送ってきた、ラブラドールレトリーバーですよね。

つづく

マリア最後のPETomorrow”わんこと行くクルマ旅”「新型ハスラー」で行く冬のレジーナリゾート軽井沢御影用水 2020年2月公開

前編:https://petomorrow.jp/travel_dog/109178

中編:https://petomorrow.jp/travel_dog/109710

後編:https://petomorrow.jp/travel_dog/109910

文:青山尚暉

ドッグライフプロデューサー、モータージャーナリスト。雑誌編集者を経験した後、フリーのジャーナリストに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。愛犬家でもあり、愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿に関しても詳しく、Web、専門誌、一般誌、ラジオなどで「愛犬との快適安心な旅スタイル」を提言中。現在、ラブラドールレトリーバーのマリアを149カ月で見送り、ジャックラッセルのララと暮らしている(どちらも保護犬)。PETomorrowのほか、レスポンス、カートップなどでも愛犬とクルマ関連の記事を連載中。20164月には、愛犬とのドライブ旅行の集大成となるムック本『愛犬と乗るクルマ』が発売されている。輸入車の純正ペットアクセサリーの企画、開発、プロデュースにも携わる。愛車はシニア犬の乗降性にもこだわった、愛犬仕様にアレンジしたステーションワゴン。

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