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二度も飼い主の命を救った命犬タマ

二度も飼い主の命を救った「命犬(めいけん)」タマ

日本にもいろいろな名犬がいますが、新潟県五泉市の柴犬・タマは雪崩に巻き込まれた主人達を二度も救った命犬でした。


写真提供、忠犬タマ公委員会

命を救われた飼い主の刈田吉太郎氏のひ孫にあたる伊藤和幸氏は、タマの偉業を後世に伝え続けるために、2017年4月、忠犬タマ公委員会(新潟県五泉市)を発足しました。「愛
情と信頼で結ばれた犬と飼い主とのエピソードは時代や国境を超えて人々に感動を与え、多くのことを教えてくれます」と伊藤さんは言います。

忠犬タマ公委員会では、タマに関するさまざまな広報活動を行っていますが、その一つとして世界中の人たちにタマを知って欲しいという願いを込めて「SEKATAMAPROJECT」を立ち上げました。そこで作成した、音声を流しながら絵を見せて伝える紙芝居が人気です。音声は委員会のホームページからダウンロードして自由に利用できます。

海外向けには英語版YouTubeもhttps://www.youtube.com/watch?v=SfRmQx3aRmE )アップされています。

■主人の命を二度も救った柴犬の女の子

タマは一般的に越後柴と呼ばれる血統の雌の柴犬で、現在の柴犬に比べるとややほっそりとして、マズルの長い精悍な顔つきが特徴です。

現在の新潟県五泉市川内地区の暮坪で生まれ、同地区、笹目の刈田吉太郎氏が猟犬として譲り受けました。「タマは一緒に生まれた他の子犬たちに比べると小柄で、猟には適さな
いと言われたのを、吉太郎が気に入って引き取ってきたそうです」と忠犬タマ公委員会代表の伊藤氏は教えてくれました。

山に囲まれた地域で、ヤマドリ猟が盛んで、吉太郎は他の仲間と一緒に1934(昭和9)年1月、タマをつれて猟に出かけ、雪崩により遭難してしまいます。雪に埋もれた主人を救っ
たのがタマでした。

タマは吉太郎が被っていた菅(すげ)笠を食い破って、必死で雪をかき出し、主人の命を救ったのです。

さらにその2年後、吉太郎は二度目の雪崩被害に遭い、再びタマに命を救われました。

両方の前脚で必死に固い雪を掘り続けたため、爪が折れて血まみれだったそうです。自分の身体が傷ついてもなお、必死で主人を救おうとしたタマは、忠犬として広く知られるよう
になりました。

■紙芝居作品の魅力

SEKATAMA PROJECTとして作成された紙芝居は地元五泉市の基幹産業であるニットの生地で製作されています。紙芝居にはさまざまな方たちの思いが込められています。

まずは脚本を書いた作家の石坂智惠美さんですが、作品は吉太郎とタマの深い愛情が伝わってきます。脚本について以下の通り、紹介してくださいました。

「タマの救出劇は80年も前のことですが、とにかく地元のタマちゃん愛が熱いんです。資料館にはタマの大活躍を知らせる新聞記事や絵本などの古い資料がたくさん。1匹の小さな犬のことを大切に、子どもたちに語り継いでいるんです。

また戦前に撮影された8ミリ映像では、吉太郎さんとタマの2人がノイズの入る白黒画面の中で山奥へ入って行きます。その文字通り球のように吉太郎さんにくっついて歩くタマち
ゃんが、無我なんです。彼女にとってこの世の総ては吉太郎さんなのだ。そう思える映像にジワジワと涙腺が崩壊……!

そんな2人をつないだ日々の暮らしに想いを馳せ、同じ紙芝居に対しタマちゃんVer.と吉太郎さんVer.の2つの脚本を書きました。愛犬家をはじめ、愛玩動物と暮らしている皆さ
んならきっと、タマと吉太郎さんの想いに共感していただけることと思います」。

また、原画のデザインはIshikawa Designの石川経治さんです。原画作成に当たって以下の通りコメントをいただきました。

「時代とともに忘れかけられている様々な歴史上の主人公。新潟にもこんな凄いメスの柴犬がいた事をタマ公委員会を通して改めて知りました。この史実を誇りに、今度は、私た
ちがタマをもう一度表舞台に掘り起こす事を使命に制作を進めました。その上で視覚を通した原画を担当させて頂けたのは有難い事でした。

そして、タマの故郷はニットの産地である事を念頭に、限られた色彩の布絵にした時に解りやすく簡略した原画制作に努めました。脚本にある命の絆をタマの成長や雪崩のスリリ
ングな臨場感を出せる様に描きました。何より、戦争と平和の一面を持つこのドラマに対しての思いをタマを取り巻くキャラクターとともに背景の校舎の色などで表現もした原画
デザインです」。

次に、原画をもとに布絵を作成した布絵作家のヤマヤアキコさんです。ニット生地ならではの味わいがあります。布絵について以下の通り、紹介してくださいました。

「タマ公の故郷五泉市で生み出されたニットのハギレで紙芝居の絵を描いています。タマ公の物語を印象的に描いた原画の世界観を損なわないよう、ニットで忠実に描くと同時に
、編み方で様々な表情をもつニットの風合いを生かした作品に仕上げました。

絵の色合いが単調にならないようニットを解したり切ったり、色も混ぜ合わせながら表情豊かに描いています」。

最後は、完成した布絵を印刷するために写真撮影されたStudioF(t)の渡部佳則さんです。撮影に当たって以下の通りコメントをいただきました。

「ヤマヤアキコさんの作品を撮影させてもらいました。布絵のやわらかな立体感を生かせるようにライティングしました。またタマが活躍した山にも足を運びましたが、かなりの
急斜面で、当時の人たちの食料を得る執念も感じることができました」。

■コロナ時代の今だからこそ知って欲しいタマのこと

忠犬タマ公委員会の伊藤和幸さんは、「今こそタマの素晴らしさを知って欲しい」と言います。「コロナで厳しい環境の中で暮らす今だからこそ、雪崩という自然災害でもあきら
めずに主人を救ったタマに、心を寄せる人は多いのではないでしょうか」と言います。

「タマは人々に前向きに生きる勇気と希望について教えてくれます。実はタマ公の銅像は戦時中、強制供出のために撤去されることになっていました。それを地元の人々が反対して保護された経緯があります。

当時の軍事政策に反対するのはたいへんな勇気の要ることでした。しかし、命を救ってくれたタマ公の像を守りたいという人々の心が、国を動かしたのです。

どうにもならない環境の中で、苦しく希望を失う場面も多いと思います。タマの像はそうした困難に打ち勝ってきた人々の、勇気の歴史も刻まれています。


新潟駅構内のタマ公像(写真提供、忠犬タマ公委員会)

コロナ時代の今こそ、タマの存在を多くの人々に知っていただき、少しでも何かの力になってもらいたいと考えています。愛情と信頼から生まれた“人と動物の絆”、雪崩の恐怖
に負けず主人を救おうとする“あきらめない心”、戦時中に銅像を供出から守った人々の“優しい心”を、私たちは伝え続けたい」と伊藤さんは語ってくれました。

取材協力/忠犬タマ公委員会
原稿執筆/柿川鮎子(東京都動物愛護推進員)

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