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バギーの中を見て「犬か」と吐き捨てるように男は言った

虹の橋を渡る日まで

老犬介護をしている素敵な飼い主さんが近所にいて、犬の散歩をしていると時々、出会う。バギーに乗せて、ゆっくり散歩をしているのを見ると、えらいなと思うし、うちの子も高齢になったらこんな風に外へ連れ出してあげようと密かに心に決めている。

その老犬が元気な頃はうちの子とはとても仲良しで、ドッグランを並んで全速力で走るのが大好きだった。一緒に走れなくなっても、仲の良かった友達だとわかるのか、うちの子は老犬に出会うと鼻を突き合わせて挨拶をする。老犬もわかっているのか、顔をもたげて、匂いを嗅ぎ合う。

「おはようございます、いい天気ですね」「あんなに暑かったのにね」なんて、世間話をしている間、二頭が尾を振りながら匂いを嗅ぎ合っているのを見るのは楽しい。私の母ぐらいの年齢で、品があって、旦那様も犬好きで、結婚したらこんな夫婦になりたいと、密かに憧れている。

バギーで散歩を始めたころ、「大変ですね」と声を掛けたら「全然、全然!うちのおばあちゃんの介護に比べたらあなた、全然ラクよ」と顔の前で手をひらひらさせながら、笑って言ったけど、それはやっぱり人知れず苦労があるのだと思う。

というのも以前、この飼主さんと私は、ちょっと嫌な体験をしたからだ。二人で並んで歩いていたら、見知らぬ男性がいきなり近づいてきて、「なんだ、犬か」とバギーを覗いて吐き捨てるように言ったのだ。

その「犬か」って言葉がとても嫌な感じだった。「犬ごときをバギーに入れてやるなんて、過保護で非常識だ」という言葉が隠されていたのだ。とっさに私は「あら!人間の赤ちゃんだと思ったんですね?」って強めに言い返したら、顔を赤くして、何かをゴニョゴニョ言いながら去っていった。

こうした体験は初めてではなかったようで、平然としていたけれど、一緒にいた私にちょっと悪いと思ったようで、「年齢的に、私とあなたが孫を連れた母娘に見えたのかもしれないわ」とさりげなくフォローしてくれた。こんな時でも、他人を思いやれるなんて、なかなかできないよね。

だから私も「ええっ!やだあの男の人、私、結婚もしてないのに、子ども産んじゃったお嫁さんに見えたなんて、ひどいわっ!いくつに見えたのかしら」と冗談にして、笑った。

二人で笑いながら、「でも私、ときどきうちの子が可愛すぎて、自分で産んだような気がするんです、ここだけの話」と言ったら「それ、すごくわかるわ」と同意された上、「私もここだけの話だけど、確実に息子より可愛いわね」と、片目をつぶった。

私たちは犬好きの愚かな人種だ。世の中の常識から外れている部分があるかもしれない。犬への愛が過剰すぎて、理解されない面もあるだろう。それでも、バギーを覗いて「犬か」と軽蔑されるほど、悪いことをしているとは、思えない。

歩けなくなった愛する犬に、好きだった散歩を体験させてやりたい一心で、バギーを押す私たちを、少しだけ理解して欲しい。虹の橋を渡る日まで、犬にとって幸せなことだけをしてやりたいのが、飼い主なのだから。

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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