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人生の最後に寄り添ってくれる奇跡の犬「文福」

人生の最後に寄り添ってくれる奇跡の犬・文福のこと

話題を呼んだ「看取り犬・文福の奇跡」(東邦出版刊、若山三千彦著)から装丁を新たにし、内容も大幅に加えて、より感動的な一冊となった「看取り犬・文福」(宝島社刊、若山三千彦著)が発売されました。表紙を飾った文福のイラストは、「星守る犬」の漫画家村上たかし先生の作品です。

今回は愛犬家の文福ファンはもちろんのこと、愛猫家も満足させてくれる猫の存在も際立っています。犬や猫がどんなに素晴らしい存在かを、しっかり感じさせてくれました。

何より驚きなのが、この本の内容がすべて実話をベースに書かれている点です。入所者のプライバシーを守るために名前などは変えていますが、できごと自体は特別養護老人ホーム「さくらの里山科」で、実際に起きたものでした。

今回は著者の若山三千彦先生のインタビューを通じて、「看取り犬・文福」をより深く味わって読んで頂くことができるようになりました!若山先生、よろしくおねがいします。

伴侶動物福祉という新しい概念

—まず最初に若山先生が文福について書こうと思ったきっかけは何だったのかを、教えてください。

若山先生 直接のきっかけは、母校の横浜国立大学で学生さんにお話をさせて頂いた際に、安野舞子准教授から、文福の話はぜひ本にするべきと勧められたことです。また、それ以前から、文福の感動的な活動を、多くの人に伝えられたらとは思っていました。

—若山先生は第6回小学館ノンフィクション大賞を受賞された後、教職を辞職して社会福祉法人を設立し、文福のいる「さくらの里山科」を設立されました。文福は愛護団体から引き取られた犬でしたが、今までのご経歴の中で、いつ頃から動物愛護活動に関心を寄せるようになっていったのでしょうか?

若山先生 文福達保護犬を引き取ったことによって、動物愛護活動に関心を持ちました。ではなぜ保護犬をホームで引き取ったかと言うと、実は理由はないんです。ホームの飼い犬が欲しいと思った時に、自然と福祉施設なのだから保健所の犬を引き取って飼い犬にしようと思ったんです。

ただし誤解してほしくないのが、私達は動物愛護活動をしているのではない、ということです。ペットを愛する高齢者を幸せにするには、ペットも幸せにしなければいけない。私達は高齢者福祉の一環として、犬と猫を大切にしているんです。ですから、私はうちのホームの活動を、伴侶動物福祉と呼んでいます。

看取り犬・文福のほほえましい素顔

—文福は自分が保護犬で、殺処分まであと少しのところで救出された経験があるからこそ、死や命を理解できるのではないかという点に、感動しました。利口で素晴らしい犬ですが、若山先生から見た文福はどんな性格の犬ですか?

若山先生「普段は能天気と言えるほど明るく元気な犬です。とても人懐っこく、全力で甘えてきます。その一方で、人の気持ちを敏感に察して、落ち込んでいる人に寄り添ったりします。

—文福が自家製の寒天好きだと知って、より可愛らしさが増した気がします。普段は自由に施設内を歩き回っているようですが、文福のお気に入りの場所や好きなことは何ですか?

若山先生「リビングの食卓テーブルのイスです。ご入居者様に混ざって一緒に団欒しています。ソファーも好きですね。好きなことはもちろん食べることですが、それ以外には撫でてもらうこととお散歩も大好きですね。

高齢化とペット問題の解決モデルに

—後藤さんと祐介とのエピソードは、高齢者が飼育しているペットのその後について大変考えさせられる内容でした。現状ではペットの同居が認められている特養は、ここ「さくらの里山科」しかありません。同居のネックになっているのはどんな点でしょうか?

若山先生 犬猫の衛生管理が難しいというイメージがあること。職員の負担が増えること。ホームの費用負担が増えることですね。

—「さくらの里山科」ではそうした難しい点をクリアすることができましたが、どうして可能になったのでしょうか。若山先生は何がポイントだったと思いますか?

若山先生 特養は普段からしっかり衛生管理をしているので、実は犬猫が一緒でも、あまりやることは変わらないんです。職員の負担は確かに増えます。しかし、犬猫が暮らすユニット(区画)に配属された職員は犬好き、猫好きばかりです。その職員達は、業務量は増えても犬や猫が一緒だから楽しいと言っています。だから負担は増えても、職員のモチベーションは上がっており問題ありません。

ホームの費用負担については、うちのようにホームの飼い犬、飼い猫を迎えず、ご入居者様が同伴入居する愛犬、愛猫だけに限定すれば、そこにかかる費用はご入居者様が負担するので、ホームの負担はありません。うちの場合、ホームの飼い犬。飼い猫にかかる負担は、レクリエーション費の一部と位置付けています。

 私達飼い主がこれからできること

—ペット好きにとって、「さくらの里山科」のような施設がもっともっと増えて欲しいと思いますが、私達がそのために今、できることはありますか?

若山先生 実は、うちのホームでも、犬ユニット、猫ユニットの入居希望者は決して多くないのです。特養ホームは要介護3以上という重度介護が必要な方でないと入居できないので、80歳代後半以上で入居する方がほとんどなのです。その年代の方はペット文化が広がる以前に生きて来たので、ペットが屋内で一緒に暮らすことを好まないのです。

ニーズがないので、多くの老人ホームは動きません。しかし、80歳代後半以上の方でも、ペットと一緒に暮らすことを望む方は少数派でもいるはずです。そのような声をホームや行政に伝えてほしいです。

—犬や猫が入所されている高齢者の心の支えになっているだけでなく、施設で働く介護職員の心の癒しにもなっていました。職員のみなさんも、やはりペット好きな方が多いのでしょうね?

若山先生 犬ユニット、猫ユニットに配属されている職員は皆、犬好き、猫好きです。ペットがいるからとうちへ就職した職員もいます。

—東邦出版の経営破綻がきっかけで、今回、新編と後日譚を加えて宝島社から新刊として出たという経緯がありますが、発売後の反響はいかかでしょうか?

若山先生 昨年、東邦出版から本が出た時以上に多くのメディアから取材の依頼や、映像化の問い合わせ等がきています。より多く注目されていることは嬉しい限りです。

—最後にペットゥモロー読者のみなさんにメッセージをお願いします。

若山先生 私は、高齢になっても誰もがペットを飼い続けられる社会になってほしいです。さくらの里山科でペットと暮らせる試みをしているのも、本を書いたのもそのためです。皆さん応援をお願いします。

—若山先生、ありがとうございました。

看取り犬・文福の活躍と、人々を取り巻く感動的な作品「看取り犬・文福~人の命に寄り添う奇跡のペット物語~」は、コロナ禍で疲れた私達の心をやわらかくほぐしてくれる珠玉の一冊です。ペット好きにとっては最初から最後まで号泣必須です。電車の中での読書は、くれぐれもご注意ください。

インタビュー協力

著者 若山三千彦さん

1965年神奈川県生まれ、横浜国立大学教育学部卒業。世界で初めてクローンマウスを実現した実弟若山照彦を描いた「リアル・クローン」で第6回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。教員を退職後、社会福祉法人心の会を設立。2012年、特別養護老人ホーム「さくらの里山科」を設立。

聞き手 柿川鮎子

明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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