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「犬と暮らしたい高齢者」と「引き取り手のない高齢犬」が幸せに暮らせる新システム

 ペットはシニアにとって、“最後の家族”

高齢化・核家族化が進み、一人暮らしの高齢者が増えています。内閣府の平成30年版「高齢社会白書」によると、一人暮らしをしている65歳以上の高齢者の数は35年間で約6.7倍にも増えていて、今後も増加していくことが予想されているとか…。

1人暮らしの高齢者にとって、最後の家族ともいえるのが、共に暮らす愛犬や愛猫。とはいえ、健康事情などで世話ができなくなるリスクが高い高齢者が、保護犬・保護猫を引き取ることは難しいのが現実です。また、同じく健康に問題が多く、世話が大変だったり医療費がかさんだり、といった理由で里親が見つかりにくいのが高齢犬。仮に高齢者が「自分も高齢だから、高齢犬を引き取りたい」と申し出ても、ほぼ断られてしまいます。

高齢者と犬

そうした不幸な状況を変えるために立ち上がり、2019年10月に「シニアドッグ・サポーター」制度をスタートさせたのが、愛知県名古屋市にあるNPO法人「DOG DUCA」です。シニアドッグ・サポーター制度は、飼い主の死亡や施設への入所などで飼育継続ができなくなった高齢犬を、高齢者に「つなぐ」制度。高齢者は飼い主を求めている高齢犬と一緒に暮らすことができ、高齢者に万が一、飼養できない事情が発生した場合にはDOG DUCAが引き取り、一生面倒をみるというシステムです。

DOGDUCAカード画像

▲シニアドッグ・サポーターには、「緊急連絡先カード」と一緒になったシニアドッグ・サポーター会員証が渡され、万が一のことがあった場合、すぐにDOG DUCAに連絡がつき、犬を保護できるようになっています。

こういう制度なら、これまで犬との暮らしをあきらめざるを得なかった高齢者にもチャンスが生まれますよね。でも、さまざまなリスクを抱えた高齢者と高齢犬がいっしょに暮して、果たしてうまくいくのかという不安も…。同団体代表である髙橋忍さんにお話をうかがいました。

何かあったら元いた施設で預かれるので、高齢者も安心

高齢者と犬が幸せになる施設

▲NPO法人「DOG DUCA」代表の高橋さんと保護犬たち

――シニアドッグ・サポーター制度は、これまでの「高齢者への譲渡」とどう違うのでしょうか?

高橋さん「最大の特徴は、高齢者の飼養環境に合わせた所有形態を選択できることでしょう。もちろんご希望の方には、一般的な里親譲渡の形もできますが、年金生活で経済的にゆとりが少ないなどの場合は、所有権をDOGDUCAのままにしておき、「一時預かりボランティア」と同じような形で、フード支援や提携病院での医療の支援を受けることもできます(但し、名古屋市守山区近郊に限ります)。また看取りボランティアのような形も可能です。また万が一、サポーターである高齢者が「死亡」「長期入院」「施設入所」などで、飼育継続が難しくなった時でも、犬をDOGDUCAに戻すことができます」

シニアドッグサポーターキャプチャ

――犬としても、前に過ごしていた環境なので、不安やストレスなく暮らせるんですね。それは、飼い主から見ても安心ですね。

高橋さん「そうなんです。高齢者の方は、検査や軽い症状での一時的な入院などが必要になる場合もありますが、そういう場合もDOGDUCAに戻してサポーターの帰りを待つ、といったことも出来ます。ですから「里親になりたいけど、自分に何かあったら…」という不安を軽減することができるのです」

高齢の飼い主にしかない“強み”がある

―ー犬は散歩が必要で、アクティブな生活を好むイメージがあります。高齢者はそれに応じられる体力があまりない方も多いと思いますが…。

高橋さん「DOG DUCAでは、2001年に保護活動を始めてから、数え切れないほどの犬を保護し、譲渡してきました。その中には高齢者の方もたくさんおられます。また老人ホームなどの福祉施設に行き、「アニマルセラピー活動」を多数行ってきました(専門学校でも教えています)。そこでわかったことは、高齢者には、高齢者に合う犬と暮らす方が、お互いに幸せだということです。

そもそも高齢犬はしつけがほぼいらず、穏やかな性格の子が多く、散歩も少なくて済んだり、中には散歩をしなくていい子もいます。寝ている時間も長いため、高齢者がとても飼いやすい犬といえます。高齢者の方は、確かにあまり散歩も長く歩けなかったり、子犬と激しく遊んだりは難しいかもしれませんが、時間にゆとりがあり、犬のペースに合わせることも出来ます。何より、どんな犬であれ、深い愛情を注いであげることが出来ます。また里親希望の高齢者は、多くが、犬を何頭も飼ってきた方が多いです。そのため、犬の飼い方を熟知しているだけでなく、高齢犬の介護、看取りの経験もあります。これは、若い世代の里親希望者にはない、「強み」なのです」。

なぜなら正直申し上げて、高齢犬は高齢の人間と同じように健康上のトラブルを抱えていることが多く、世話に手間がかかります。フードはそれぞれの症状に合わせた療養食だったり、薬の投薬が必要だったり、また、それも若い犬みたいにすぐ食べずに、時間がかかったりします。だから高齢犬はなかなか引き取り手が見つからないのです。DOG DUCAでは、高齢者が長いこと飼っていた高齢犬の保護をよくしますが(全体の3割ほどです)、どの子もとてもいい子です。それだけ、前の飼い主さんに愛情をかけられてきたのだと思います。逆に言うと、愛情をずーっとかけられる方でないと、お願いできない犬だとも言えます。

ドッグサポーター制度

“高齢者”と“高齢犬”は、動物愛護の世界で排除されてきた

――お聞きすると、なぜ今まで無かったのか不思議なくらいです。

高橋さん「私が保護犬活動の中で実感しているのが、長らく、“高齢者”と“高齢犬”は、動物愛護の世界で排除されてきたということです。

高齢者といっても、最近は70を超えても元気な人はとても元気です。にもかかわらず多くの動物愛護センターや動物愛護団体では、年齢が60ないし65歳以上だと、里親になることを断られてしまいます。単身なら、なおさらです。

これは犬にも言えます。だいたい8歳以上の犬を「高齢犬」と言いますが、そこから10年くらい生きる犬もいます。なのに高齢犬は、飼い主である高齢者が亡くなったりした場合、「医療やケアの負担が大きく譲渡が難しい」「あと何年生きるかわからない」という理由で、動物愛護センターで真っ先に殺処分の対象にされたり、動物愛護団体でも保護自体行わなかったりするケースも少なくありません。「高齢者」も「高齢犬」も、動物愛護の世界では「必要がない」と言われているようなものです。僕たちはこうした状況を改善し、人と犬のより良い共存ができる社会を作りたいと願っているんです」

高齢者を救う仕組みづくり

――この制度が成功して広まっていけば、高齢者も高齢犬も、幸せに暮らせる社会が実現するかもしれませんね。ぜひそうなって欲しいです。今回はありがとうございました。

『ころんでも、まっすぐに!―犬に救われたドッグトレーナーが見つけた〈生命〉をつなぐ道―』(高橋 忍+田中聖斗著 

▲高橋さんが保護犬活動を始めるきっかけとなった愛犬との出会い、これまでの挑戦などが綴られた著書『ころんでも、まっすぐに!―犬に救われたドッグトレーナーが見つけた〈生命〉をつなぐ道―』(高橋 忍+田中聖斗著 ゆいぽおと刊)

取材・文/桑原恵美子

取材協力/ NPO法人「DOG DUCA」

関連サイト

NPO法人「DOG DUCA」(http://dogduca.sunnyday.jp/

シニアドッグ・サポーター制度について(http://dogduca.sunnyday.jp/%E7%8A%AC%E3%81%AE%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%B4%BB%E5%8B%95/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AE%E6%96%B9%E3%81%B8/

問い合わせ先(http://dogduca.sunnyday.jp/%e5%95%8f%e5%90%88%e3%81%9b/

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