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マリア、本当に、ありがとう。また会おうね。

マリアの十戒

ラブラドールレトリーバーのマリアとともに過ごし、楽しい思い出を積み重ねてきた12年9カ月。推定年齢14歳9が月のマリアは、もうこの世にはいません。2020年6月12日、2019年に発覚した病と9カ月の間、闘った末、わが家の先代犬、ゴールデンレトリーバーのナナが待つ、天国へと旅立ちました。マリアはクルマが、旅が大好きでした。ドライブ旅行の前夜には、ソワソワして落ち着かず、当日の朝は、絶対に置いて行かれないぞ!!とばかり、玄関に陣取っていました。PETomorrowの「わんこと行くクルマ旅」などで撮影旅行に出かけ、カメラマンがカメラを向けると、それまでムスッとしていても、プロの女優のごとく、いつも、満面の笑みを湛えてくれました。カメラマンさんから「マリア、今日もいい表情だよ、ナイス笑顔だ!!」と褒められるのも、マリアにとって大きな幸せ、喜びだったかもしれません。

マリアの写真ストック、動画ストックは膨大です。整理しようにも、整理しきれないほどの思い出が、記憶とともに、そこにあります。いつもいるはずのマリアがいなくなっても、病魔から解放され、ラブラドールレトリーバーらしく、元気なまま、天国でナナたちとうれしそうに駆け回っている姿を想像すれば、悲しくはありません。マリアは生涯、ボクたちの心の中に、元気だったころの笑顔のままいます。

 


パパが大好きな水辺の写真

そんなマリアが若かりし頃、ボクたちに教えてくれたのが、犬の十戒ならぬ、マリアの十戒です。

其の九.私が年を取っても、私の世話をしてほしい。あなたもまた同じように年を取っていくのだから。

マリアがこの家に来て5年近く。もうすぐ推定7歳になる。犬の寿命から言えば犬生を折り返したところ。人間の年齢でいうと40代半ば・・・まだまだ健康で元気に暮らしている。

けれど、人間より速いスピードで年を取っていく。やがてマリアも老犬になる。マリアは劣悪な繁殖場で生まれ、繁殖犬として2歳すぎまで食事も満足に与えてもらえないまま子供を産まされていたので、何か大きな病気にかかってしまうリスクが大きいかもしれない。「マリアは同じぐらいの子より寿命が短いかもしれない」と、パパやママはマリアに気づかれないように心配してくれているんだ。

だから毎日を健康で楽しく暮らせるようマリアの健康状態には気を使ってくれる。ストレスをためないように散歩や食事、マリアの生活環境、そしてスキンシップを怠らない。

パパとママは先代のゴールデンレトリーバーのナナ先輩を10歳8か月で亡くしている。大型犬でももう少し長生きできたはずなのに・・・まさかこんなにも早く、突然別れが来るなんて思ってもみなかったそうだ。

ナナ先輩は晩年糖尿病にかかり、その原因が子宮にあると診断され、血糖値が高いにもかかわらず避妊手術をすすめられ、受けたんだ。翌日、退院した夜に体調が急変して、翌朝ママが1階に降りるとかすかに呼吸をしたナナ先輩が、大好きな場所だったダイニングの床に倒れていたそうだ。

早朝だったけれど、犬友達に電話して獣医師の携帯番号を教えてもらい連絡すると、すぐ連れて来てくださいと言われ、家族全員で病院に向かった。友人親子も駆けつけてくれた。必死の手当てのかいもなく、13時間後、ナナ先輩の心音は止まった。

ナナ先輩は大好きな家族や友人に見守られて天国に旅立った。決して長くはない犬生だったけれど、ナナ先輩は幸せだったと思う。長生きできればそれが一番だけど、寿命ではなく、どう生きたかが犬には大切なことだと、苦労を経験したマリアは信じてる。

パパやママはナナ先輩を亡くしてマリアを引き取るまでの2年半の間、ペットロスだったらしい。ママは自分を責め続けた。老犬に負担のかかる手術をさせてしまったこと。ナナ先輩の異変に気づいたのに病院に連絡はしたものの、留守番電話だったため翌朝まで待とうと判断したこと。まさか死ぬことはないだろうと2階で寝てしまったことを・・・。

いつか、ママはマリアにこんな話をしてくれた。「ナナ先輩がもっともっと長生きして介護が必要になっても、どんなにママの手をわずらわせても、1日でも長く一緒にいたかったのよ」ってね。でもナナ先輩はママを困らせることなくあっと言う間に旅立っていった。

それはナナ先輩の飼い主に対する、最後の感謝の気持ち、恩返しだったかもしれない。「13時間も片時も離れず、見守ってくれたけど、もう十分だよ。みんな疲れたでしょ。別れるのはつらいけど、これから宙に旅立って、ナナを大切に育ててくれた家族みんなをいつまでも見守っているからね。だからもういくよ・・・」

壮絶な1日だったと思う。

最愛の愛犬をある日突然、亡くしてしまったら、また失うのが怖くて次の犬を飼うことをためらうかもしれない。愛情が深ければ、深いほど。

でも、ナナ先輩は自分が幸せだったから、同じ空の下で生きている不幸な犬を自分と同じように幸せにしてあげてほしいと、最後の最後にママにテレパシーで訴えたらしい。だからママは2年半という時間は必要だったけれど、里親になることを決心したんだ。

また、新しい犬を飼うことは、亡くなった先代に負い目を感じるべきことじゃない。愛情が薄くなったわけでもない。犬という生きものが残してくれたすばらしい思い出に感謝し、同じ形をし、同じ目をし、同じ心を持った愛くるしい犬たちを、先代と同じように幸せにしてあげたいと思ったときから、犬と暮らし旅する幸せ、思い出が再び始まるんだと思う。

パパやママは、マリアのことを先代のナナ先輩と同じように愛し、大切にしてくれている。そしてまた、マリアからも幸せをもらって癒やされているそうだ。犬にとってそんな関係こそ理想だ。

マリアもあと数年もしたらパパやママの年齢を越してしまう。5年後は12歳。大型犬はもう老犬だ。介護が必要になるかもしれない。若いときのような愛くるしさもなくなり、ますます頑固になって手を焼かせてしまうかもしれない。パパやママもそれなりに年をとって、マリアのような大型犬の世話は大変かもしれないけど、1日でも長く一緒にいたいと思うんだ。

いつまでも健康でいられるよう、食いしん坊は慎まなくっちゃね。うーん、難しい課題だ。

其の十.最後のその時まで一緒にいてほしい。言わないでほしい「もう見てはいられない。」、「ここにいたくない」などと。あなたが隣にいてくれることが私を幸せにするのだから。忘れないでください、私はあなたを愛しています。

愛犬が最後を迎えるとき、どんな形が理想なんだろうか?マリアは今、元気に暮らしているから想像もつかない。考えたこともない。でも確実にその時はやってくる。

犬は言葉をしゃべれない。どこが痛いのか苦しいのか伝えられない。飼い主はどうしたらいいのか分からない見ているだけ。それはとってもつらいことだと思う。

ママはある犬友達の死に偶然かかわることになった。ナナ先輩と夕方の散歩をしていたとき、近所の公園でお友達のゴールデンレトリーバーに会った。そのレトリーバーを見て、ママは直感で具合が悪いと感じたそうだ。顔色が悪く、歯茎を見ると紫色でまったく血色がなく、貧血のようだった。飼い主に聞くとここ一週間具合が悪く、数日前に病院で診てもらい薬を飲んでいるのにまったく良くならないと言う。

ママはすぐ病院に連れて行ったほうがいいと薦めたけれど、あいにくその日は飼い主の家に車がなく、連れて行けない。ママは自分の車を出し、その子と飼い主を自分の行きつけの病院に連れていった。

検査の結果、末期のがんで強度の貧血。緊急入院になった。ナナ先輩は輸血をしてあげたけれど、そのかいなく、2日後の朝、ママが病院にお見舞いに行く途中、亡くなった。

そのゴールデンレトリーバーの飼い主はパパとママ、大学生のお兄ちゃん、高校生と小学高学年のお姉ちゃんの5人家族。だからいつもにぎやかな中で暮らしていたはずだ。でも、そのママは子供たちには愛犬の弱り切った姿を見せたくないと、病院には家族を連れて行くことを拒んでいた。その時、マリアのママは違和感を覚えたそうだ。わが家なら、家族全員で駆けつけるのが当たり前と思っていたからだ。でも、その時は人それぞれ考え方がある・・・程度に思っていたらしい。

とはいえ、実際にナナ先輩が最期を迎えようとした朝は、普段は冷静なママも大きく取り乱したらしい。パパやお姉ちゃん、友人たちに支えられ瀕死(ひんし)の状態のナナ先輩を病院まで運び込んだそうだ。

ナナ先輩は10歳8カ月で亡くなってしまったけど、大好きな家族や、親友だった犬の家族に見守られ、犬として幸せな最期だったと思う。

ママやパパはそのときのことを今でも忘れていない。亡くなる1週間前から毎日、点滴治療のため、朝9時に病院に連れて行き、診察終了の午後7時にお迎えに行っていた。手術の日の朝は大好きだった公園へ車で連れていった。けれど、公園に着いたナナはいつもと様子が違っていた。よほど具合が悪いらしいのか、5メートルも歩くとヘタリと地面に座り込んだ。しかたないので、ほとんど散歩ができずそのまま病院に向かうことになった。病院でナナを引き渡すとき、ナナがママから離れることにめずらしく抵抗したのを覚えているそうだ。ナナは分かっていたのだろうか?手術をしたら死んでしまうことを・・・。もう大好きな家族と会えなくなることを・・・・。

ナナはお家や家族が大好きだった。手術の翌日、わが家に帰ってきたとき、フラフラな身体でも玄関からわれ先にと一番で家の中に入り、自分のベッドに一目散に向かい、横たわり安心したようにため息をついた。「こんなに早く亡くなるなんて知っていたら、病気だからと病院に任せっきりじゃなく、安心できるわが家で大好きな家族のもとで、1日でも1秒でも長く一緒に過ごさせてあげたかった。ママやパパはそう思っているんだ。

パパやママは今、こう思っているはずだ。「マリアにはナナと同じような失敗はしたくない。健康には気を付けて、できるだけ長く一緒にいてあげたい」。そんな思いから家を離れ旅行するときはマリアも一緒。留守番もできるだけ長くさせないよう気を付けてくれているんだ。

マリアはこの家の子になれて本当よかったと感謝している。そして家族みんなが大好きだ。マリアの最期は、できればこの家でパパやママの元で迎えたい。パパやママは「もう見てはいられない」、「ここにいたくない」なんて絶対に言わないと思うし、そのときはずっとそばにいてくれると信じているけれど、マリアがこの世にいなくなっても深く悲しまないでほしいんだ。マリアは鹿児島の崩壊した繁殖場から奇跡的に助け出され、この家に来れたことだけでも奇跡。もっとずっと前に死んでいても決して不思議じゃない。だからマリアの犬生がたとえあと何年でも、どんな犬よりも幸せなんだ。

 


PETomorrowの初めての本格ロケは軽井沢でした

もう一度、言うよ。

マリアがいなくなってもいつまでも悲しまないで。マリアはパパやママを悲しませるためにはるか鹿児島からこの家に来たんじゃない。ナナ先輩の代わりに、この家に幸せを運んできたんだと思ってる。だってマリアはナナ先輩が亡くなった頃に生まれ、この家にくることを運命づけられたレトリーバーなんだから。

最期はそう信じて先に天国にいくよ。マリアはパパやママが幸せに暮らしていくことが望みなんだ。悲しい顔は見たくない。マリアにくれたやさしい笑顔を、天国からずっと見ていたいんだ。

さて、ボクたちは、9カ月の闘病生活の末、2020年6月12日に虹の橋を渡り、ナナの待つ宙へと旅立ったマリアの十戒、言い換えれば、マリアとの約束を、ちゃんと理解し、成し遂げられたのでしょうか。十戒の最後の章、その十のマリアの思いは、誰が何と言おうと、果たせたと思います。最後のその瞬間まで一緒にいてあげられたし、「もう見てはいられない、ここにいたくない」などと思ったことなど一度もありません。カミサンは、最後はなんとしても、家で看取ってあげたい、マリアが大好きなフカフカのベッドの上で看取ってあげたいと、言っていました。そして、不思議なことに、マリアが犬生を終えても、深い悲しみより、病魔による痛みや辛さから解放されたのだという、安堵の気持ちが上回るのです。だから、6月14日、最後のお別れをする瞬間まで、悲しい顔を見せずにすんだと思います。マリアに注いだボクたちの笑顔を、ずっと記憶に残してもらいたいからでもあるのです。

家族の一員、大切な愛犬が亡くなって、なぜ、深い悲しみを覚えないのですか?・・・という疑問があるかもしれません。でも、9カ月に及ぶ闘病生活、足腰が弱くなっても、カートに乗せ、風を切って気持ちよさそうに出掛けられたお散歩はもちろん、シリンジであげていた食事や投薬さえほとんどかなわなくなった最後の2日間のマリアの痛々しい様子を思い起こせば、むしろ、マリアもボクたちも救われた、と思えるのです。なによりもマリアがくれた幸せの大きさに負けないぐらいの、できる限りの治療、カミサンが手間暇をかけた食事療法、介護をやり切れた自信があるからです。そして、映画「僕のワンダフルライフ」のように、天国に行っても、わが家の初代ゴールデンレトリーバーのナナや、マリアが初めて那須高原へドライブ旅行に出かけ、初めて笑顔を表現できたとき、心配だからといっしょに行ってくれた、那須動物王国の看板犬を引退したボス犬、ラブラドールレトリーバーのピート君、仲良しだったお友達のゴールデンレトリーバーのケインくんたちがマリアを待っていてくれるはずですからね。そして、ナナがマリアに生まれ変わったように(マリアはちょうど、ナナが亡くなった頃に生まれています)、いつか、きっと、ボクたちの元に、姿は変えても、犬として戻ってきてくれると信じているからです。


ピート君(左)に寄りそうマリア


仲良しだった初代ケイン君(右)とマリア

だから、最期まで、「さよなら」とは声をかけていません。ただただ、「マリア、わが家に来てくれて本当にありがとう。マリアのおかげでこの12年と9カ月、いっしょにいっぱいお出かけして、楽しい思い出をいっぱい作って、みんな幸せに、楽しく暮らせたよ」という感謝あるのみです。

自称自動車評論犬!?ペットと泊まれる宿評論犬!?女優犬として活躍してくれた、小柄でかわいい色白のマリア。わが家でマリアと過ごした12年9カ月におよぶたくさんの思い出、マリアの笑顔は、生涯、忘れることはないでしょう。もう一度、言わせてください。マリア、本当に、ありがとう。また会おうね。

 


マリアとの思い出の中で一番好きな写真 撮影 太宰吉崇

撮影 福永仲秋 雪岡直樹 佐藤靖彦 太宰吉崇 青山尚暉

マリアの十戒 完

文:青山尚暉

ドッグライフプロデューサー、モータージャーナリスト。雑誌編集者を経験した後、フリーのジャーナリストに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。愛犬家であり、愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿に関しても詳しく、Web、専門誌、一般誌、ラジオなどで「愛犬との快適安心な旅スタイル&クルマ旅」を提言中。愛犬はラブラドールレトリーバーのマリア、ジャックラッセルのララ(どちらも保護犬)。PETomorrowのほか、レスポンス「青山尚暉のワンダフルカーライフ」などでも愛犬とのカーライフをテーマにした記事を連載中。20164月には、愛犬とのドライブ旅行の集大成となるムック本『愛犬と乗るクルマ』が発売されている。輸入車の純正ペットアクセサリーの企画、開発、プロデュースにも携わる。愛車はシニア犬の乗降性にもこだわった、愛犬仕様にアレンジしたステーションワゴン。

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