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犬は飼い主次第で名犬にもダメ犬にもなる。

マリアの十戒

推定年齢、14歳9カ月、わが家にやってきて12年9カ月。小さく色白のラブラドールレトリーバーのマリアは、その犬生を静かにまっとうしました。マリアの夢だった家庭犬になることができたと同時に、小学館ラピタ、小学館PETomorrowの連載「わんこと行くクルマ旅」、「今月のドッグフレンドリーカー」、カートップの8年に及ぶドッグフレンドリーカー連載「CT DOG」、それをまとめた、マリアが表紙を飾ったムック「愛犬と乗るクルマ」、ムック「愛犬と行く旅」、レスポンス「青山尚暉のわんダフルカーライフ」連載などで、自称自動車評論犬!?ペットと泊まれる宿評論犬!?としても活躍してくれました。愛犬同伴専門リゾートホテルのウェブサイトに登場することもあったんですよ。


小学館ラピタでデビューしたマリア


8年間続いたCT DOGのマリアの連載


CT DOGをまとめたムック「愛犬と乗るクルマ」の表紙に登場

 

そんなマリアが若かりし頃、ボクたちに教えてくれたのが、犬の十戒ならぬ、マリアの十戒です。

其の七.私を殴ったり、いじめたりする前に覚えておいてほしい。私は鋭い歯であなたを傷つけることができるけれど、あなたを傷つけないと心に決めていることを。

人をかむ犬は保健所に持ち込まれると、約1週間の保管期間を待たずに処分されると聞いたことがある。ボランティアさんのブログでそんな悲しい犬生をたどる犬の写真を見たことがある。

その犬の目を見たとき、マリアはなんだかとっても悲しくなった。その犬は何のために生まれてきたんだろう。殺されるために生まれてきんじゃない。その子の犬生にいったい何があったんだろう・・・と心が痛んだ。今度、生まれてくるときは絶対に幸せになってほしい、そう、願わずにはいられなかった。


大好きだった軽井沢のプリンスドッグビレッジのコテージにて

犬は飼い主次第で名犬にもダメ犬にもなる。気が弱いマリアだって、もし、ひどい飼い主に飼われ、日常的に暴力を振るわれたとしたら、身を守るため飼い主に歯をむくことだってあるかもしれない。

今は歯のお手入れ中ですが、しっかり牙が見えますね。これでガブリとやられたらたまりません。でも、マリアは手でおやつなどをあげるとき、やさしくかぷり・・・としてくれるから安心です。

マリアのママは今から20年ほど前、先代ゴールデンレトリーバーのナナ先輩と、犬のしつけ教室に通っていた。当時は犬を力で押さえつけ、しかって服従させる訓練方法がまかり通る時代だったらしい。

ママは大型犬のナナ先輩が散歩のときに前へ前へと引っ張らず、楽しくシッポを振って優雅に散歩できれば・・・・そんな思いから、訓練所ではなく、犬のしつけ教室に通った。同時期にお友達のゴールデンレトリーバー2頭も通い始めたけれど、2頭ともすぐに来なくなった。訓練は飼い主も犬も疲れるし、愛犬をしかることに抵抗ある飼い主だから、きっと続かなかったんだ。

ママは犬のしつけ教室に2年以上通い続けた。優等生だったナナ先輩は通い始めてから4か月目に、犬のしつけのモデル犬になりテレビや雑誌に出演し、2年近くたったころには、ママとともに教室の初級クラスの犬たちにしつけを教えるインストラクターの立場になったんだって。教室を卒業してからはボランティアのアニマルセラピー犬として、病院や老人ホームを訪問し、癒やしを与え、自身が犬としてできることを精一杯していたんだ。そして8歳になって引退。10歳8カ月でその犬生を終えるまで、1頭の犬として、まさに立派に、人の役に立った犬生だったって、パパやママから耳にタコができるほど聞いている。

 


マリアの先輩、ゴールデンレトリーバーのナナ

そんな経験から、ママはマリアにもしっかりと訓練を入れてくれた。マリアはナナ先輩と違っていろいろなトラウマ(心的外傷)を持ってるから、訓練中は決してしかられず、たたかれたこともなく、言われたことができたら大げさなくらい褒めてくれて、短い時間だけど毎日のように続けてくれた。マリアに限らず犬は褒められることが大好きだよ。褒められればうれしくてどんどん成長していく。何度も言うようだけど、飼い主にそれを理解してもらいたいんだ。

最近の犬の訓練は犬の習性をより深く理解したものになって、犬の社会性を重視した訓練に変わっているんだって。有名な「犬の幼稚園」は、飼い主から離れても犬の集団の中でみんなと仲良くできる、家以外の場所でもおとなしく落ち着いていられる犬を育ててくれる格好の場所。マリアも訓練のおかげでお散歩中、ほかの犬とけんかなんかしないし、誰とでも仲良くできるようになったんだ。

いつかママがマリアにこんな話をしてくれた。公園で犬に厳しく訓練をしている、同じことを何度も何度も繰り返しやらせている飼い主がいるって。いつでも飼い主の機嫌をうかがいながら行動する従順さを愛犬に求めているんだろうけれど、それは最善の方法じゃないって・・・。

マリアはそんな厳しい訓練をさせられなくても日常生活に困らない程度のしつけを入れてもらった。今まで、お散歩や旅行はもちろん、始めて会う人ばっかりのお仕事の現場でも、誰かを困らせ、傷つけたりしたことなんて一度もないよ。小さいころ、そんな経験を受けたことがあるマリアだから、誰かを困らせ、傷つけるなんて、絶対にやっちゃいけないと分かっているんだ。

いい子にしていられるから、水上バスにだって乗れるんだ。

 


生まれて初めてお台場から船に乗って緊張

パパやママは人間と共存する社会で愛犬が問題を起こさず、お互いに楽しく生活できる最低限のしつけでも家庭犬には十分と考えている。連れていて優越感に浸りたいがための訓練をしているわけじゃない。自分に服従させるための訓練をしているわけでもない。訓練は犬を尊重しつつ、楽しく、散歩やおやつの前に、短時間、日々、継続して行なってくれるのが一番なんだと思う。

そして訓練とはいえ、犬は大きな声で何度もしかられ、たたかれても、なぜ怒られ、しかられてるのかなかなか理解できない生き物なんだ。長い間怒られ、たたかれたりすると、恐怖から自分の身を守るため飼い主に反抗することがあるかもしれない。でも、鋭い歯でかみつくことができても、マリアは決してそうはしない。飼い主を信頼できるリーダーだと認めているからね。

犬が人間に牙をむくのは、相手を信用、信頼していないか、虐待を受けたり、とても具合が悪いことを分かってくれないときぐらいなんだ。犬は生まれてきたとき、人間に牙をむくような攻撃的な感情など持ってはいないのだから。

すべての犬の飼い主さんにマリアからお願いがあります。愛犬との間に何かがあって、犬をしかり、たたこうとする前に、その原因、理由、飼い主自身が犬に信頼されているかどうか、今一度考えてみてほしいんだ。

其の八.私が言うことを聞かないとか、頑固だとか、怠けているからといって叱る前に、私がなにかで苦しんでいないか考えてほしい。もしかしたら、食事に問題があるかもしれないし、長い間陽に照らされているかもしれない。それとも、もう体が老いて、弱ってきているのかもしれないと・・・。

前にも言ったことがあるかもしれないけど、マリアはあることに関してとても頑固なんだ。それは外で起きることが多い。散歩でいつもの公園に向かう途中、突然大きな音がしたり、バイクのバリバリした音が聞こえてきたり、公園でカーン、カーンと玉を打つゲートボールの音がしたりすると、マリアは固まって動けなくなるんだ。一番嫌いなのは雷の音だけどね。

大好きなママが「大丈夫よ」といくら言っても聞く耳なんて持たない。来た道を戻ってお家に帰ろうと、リードをグイグイ引っ張ってママを困らせるんだ。いつだったかパパとの散歩の時、突然怖い音がしたので、ハーフチェーンをすり抜けお家方向へ一目散に逃げ出したんだ。赤信号の横断歩道を全力疾走で渡って逃げるマリアを追いかけたパパは生きた心地がしなかったと言ってたよ。もし車に跳ねられたら・・・・ママに何と言ってあやまればいいだろうとパパは思ったらしい。幸いにマリアは先に無事お家に到着。それからはパパとの散歩のときはハーフチェーンじゃなく、絶対首から抜けないチョークチェーンに変えたんだ。だけど問題はそういうことじゃないんだ。チョークチェーンに変えられても、お散歩中、頑固として動かなくなる性格は治りようもない。チョークチェーンをキュッと引いて言うことをきかせようとすると、怯えるだけじゃなく、後ずさりしてチョークチェーンが締まり、マリアは窒息寸前。喉がゼーゼー鳴る。これにはパパもほどほど手をやいてるみたいなんだ。で、次にどんな手でくるかと思ったら何と胴輪に変更。でも、付けるのが面倒だし、付けても抵抗するのに変わりないことを知って、これも1回限りであえなく却下。

パパやママはマリアの前にとっても大人しいゴールデンレトリーバーのナナ先輩と暮らしていたわけだから、大型犬の扱いには慣れているはずなのに、マリアの頑固さにはパパもママもちょっと困っているみたい。ガンコな性格を直す方法なんて、どんなしつけの本にも書いてないみたい。マリアはそれ以外のところでは本当に従順にしているんだけどね。耳そうじ、歯磨き、爪切りだって嫌がることなくまったく抵抗しない。横になってなすがままという感じ。かえって優しく触ってもらうのがうれしいぐらいなんだ。

マリアがわが家に来て間もないころ、マリアがママの靴下を食べてしまった事件があった。帰宅したら靴下がないことに気づき大騒ぎ、獣医の先生に連絡すると、濃い食塩水を飲ませて吐かせてくださいと言われたらしい。で、相当濃い食塩水で本当に大丈夫なんだろうかと半信半疑で飲ませてみたけれど変化なし。再度、先生に連絡し病院で処置をしてもらうことになったんだけど、今度は大量のオキシドールを飲まされ、やっと靴下を吐くことができた。靴下は驚くほどの量で、細かく千切られた形状で吐き出した。ママはひどい味の食塩水やオキシドールを大量に飲まされてもじっと耐えているマリアを見て、「この子はなんて辛抱強い子なの」と、マリアを一層、愛おしく感じたそう。それからはマリアに辛い思いをさせないよう、マリアの目の届くところに物は置かないよう気を付けるようにしたんだけどね。でも、その後もいろいろな物を食べてしまういたずら癖は直っていないんだけどね。

マリアは繁殖場時代、劣悪な環境から抜け出そうと首輪をすり抜ける術を「生きる知恵」として覚えたんだ。そのころは首輪をすり抜けるたび、つないでいる鎖がどんどん短くなっていった。最後は まともに立てないどころか、寝ることもままならない長さになった。今は何も不足なく幸せに、快適に暮らしてるけれど、外でマリアが嫌いな音に遭遇するとパニックになってしまうのはどうしようもないことなんだ。

パパやママは、それがマリアを叱って解決できることでないことをちゃんと理解してくれている。原因や改善方法をいろいろ考えてくれているいみたいだけど、マリアはパパやママを困らせたくてそうしてるわけじゃない。もう少し待ってね。いつか必ず克服してみせるから。

撮影 福永仲秋 雪岡直樹 佐藤靖彦 太宰吉崇 青山尚暉

つづく

文:青山尚暉

ドッグライフプロデューサー、モータージャーナリスト。雑誌編集者を経験した後、フリーのジャーナリストに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。愛犬家であり、愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿に関しても詳しく、Web、専門誌、一般誌、ラジオなどで「愛犬との快適安心な旅スタイル&クルマ旅」を提言中。愛犬はラブラドールレトリーバーのマリア、ジャックラッセルのララ(どちらも保護犬)。PETomorrowのほか、レスポンス「青山尚暉のワンダフルカーライフ」などでも愛犬とのカーライフをテーマにした記事を連載中。20164月には、愛犬とのドライブ旅行の集大成となるムック本『愛犬と乗るクルマ』が発売されている。輸入車の純正ペットアクセサリーの企画、開発、プロデュースにも携わる。愛車はシニア犬の乗降性にもこだわった、愛犬仕様にアレンジしたステーションワゴン。

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