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「飼い主失格」を実感した日

虹の橋を渡る日まで

大雨の被害をテレビで見ていて、わが家の水難事件を思い出した。飼い主失格を実感した日でもある。

マンションの上の階に住んでいる人が、風呂場で大量の水を溢れさせた。早朝、わが家の洗面所でぴちゃぴちゃと変な音がするので見に行ったら、天井に大きなシミが広がり、壁伝いに水が流れ出していた。

真っ先に犬を寝室に移動させて、水と餌を与えて隔離した。そして、流れ出る水をせき止めるために家中のタオルと新聞紙を洗面所の入り口に積み上げ、マンションの管理会社に電話をする。

このままリビングのピアノやパソコンまで浸水してしまったらどうしよう。恐ろしくてTwitterで叫んだら、すぐにたくさんの人が土嚢ならぬ水嚢の作り方を教えてくれた。ビニールに水を入れて水嚢を作り、上手に組み合わせて、水をふろ場に流すようにすれば良いと言う。SNSがこれほど役に立ったことは無かった。

壁と洗面所の床一面が水びたしになっただけで、被害は少なかったが、管理会社が調査に訪れ、ガス会社が点検に来るなど、午前中いっぱい大騒ぎだった。

散歩も行かずにうちの子は寝室で静かにしてくれていた。もともと見知らぬ人が家に来るのを嫌がる子だったので、大人しくひとりで遊んでいるのだと思っていた。

人が途切れたので寝室のドアを開けたら、とびかかってこない。いつもと全く様子がまったく違う。ベッドの下の隅でぷるぷる震えている!びっくりして抱き上げた。

犬は私に必死にしがみついて、ひーんと弱弱しく鳴き、ちょっとだけ尿をもらした。よほど怖かったのだろう。こんな姿は初めてで、可哀想なことをしてしまった。

そっと抱きしめて、ベッドに座り「ごめんね、大丈夫だよ」と、ずっと声をかけていた。震える背中を優しく撫で続ける。散歩も行けず、見知らぬ人がいきなりドタバタ部屋に入ってきて、怖かったのだろう。私が気が付く前から、変な水モレの音が聞こえていたのかも。

飼い主の私は真っ先に犬のケアを考えるべきだったのに、寝室に放置させてしまったのだ。か弱い命の責任を負っているのを、うっかり忘れていた。私は本当にバカで愚かな飼い主だ。

あの時のぷるぷる細かく震える背中と、私を必死で抱きしめた両腕の力、ちょっとだけ出てしまった尿の温かさは、今でもしっかり思い出すことができる。

以来、何があっても犬最優先の行動に決めた。私はこの犬が幸せになるために生きると、宣言したのだ。あんな思いは二度とさせない。両親はあきれているけれど、この子が虹の橋を渡る日まで、徹底的に付き合うつもりでいる。

大雨や台風で被災した家の報道を見ると、そこで暮らしていたペットはどうしているのかと、他人事ではなく心配になる。うちの子の様にぷるぷる震えているのではないかと、想像して苦しくなる。

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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