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江戸の火消・新吉と洋犬ハチとの永遠の絆

江戸の火消・新吉と洋犬ハチとの永遠の絆

東京都墨田区両国の回向(えこう)院には「唐犬八之塚 施主は組新吉 慶応二丙寅」と書かれた古い墓がひっそりと建っています。江戸末期の1866年、火消「は」組の新吉が、亡くなったハチ(八)を弔った、横74㎝、高さ87㎝と小ぶりの石の塚で、表面に大きく洋犬が描かれています。


墓は鼠小僧の墓のすぐ後ろにあります

目がパッチリ可愛く、顔が細く、とても愛くるしい姿をした洋犬で、犬種については不明ですが、耳の印象からも、グレイハウンドによく似ています。長い尾をした、中型から大型犬のようです。


まつげが長く、舌を少し出しています

シンプルな塚ですが、愛犬の姿を墓に残したいと考えた施主・新吉の愛情は150年以上経った今でも、私達の心を打ちます。屈強な火消の新吉が、可愛らしい洋犬ハチをどんなに愛し、幸せに過ごしていたのか、十分に想像させてくれるお墓です。

「火事と喧嘩は江戸の華」と言われた江戸時代、新吉は火消として活躍した人物と思われますが、詳しい履歴は残されていません。「は」組は、一番組と呼ばれる組の集団で、現在の人形町から小伝馬町の周辺を担当していたので、住居もその近所ではないかと考えられています。

江戸時代、幕府により、海外との交易が厳しく制限されていた時代に、洋犬は非常に珍しい存在でした。貴重な洋犬を、新吉はどのようにして手に入れ、飼育するようになったのか、経緯は不明で、資料も残されていません。ただし、こうした貴重な犬を所有できる新吉は、火消の中でもリーダークラスの重要人物に、間違いないでしょう。

火消は、与力、力士とともに「江戸の三男(さんおとこ)」と呼ばれ、大人気の職業でした。女性の人気を集めたほか、無料で湯屋に入れるなど、さまざまな特権をもっていた、町のヒーローでした。

その火消の新吉が、洋犬を従えて、江戸の町をさっそうと歩く姿は、多くの人々の注目を集めたはずです。新吉の愛犬ハチもまた、江戸の人々に愛されたのでしょう。幕府直轄で格式の高い寺院である回向院に、お墓が作られるほどに。


耳の部分もグレイハウンドによく似ていました

愛しい犬が亡くなり、新吉は自分の名前と犬の姿を墓に彫りました。愛犬の死がどんなに辛かったのか、ハチの絵が可愛いだけに、しみじみと切ない気持ちが伝わります。愛犬を亡くした悲しみは、江戸時代も今も、全く変わらないのだと、私達に教えてくれます。

文/柿川鮎子

「犬の名医さん100人データーブック」(小学館刊)、「犬にまたたび猫に骨」(講談社刊)、「動物病院119番」(文藝春秋社刊)など。作家、東京都動物愛護推進委員)

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