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猫が受刑者たちを変える【刑務所と猫】

猫が受刑者たちを変える【刑務所と猫】


画像:Huffington Post

これまで何度か、刑務所においての矯正プログラムを紹介してきたが、いずれも犬を中心としたプログラム。猫はどうなの?と思う方もいたのではないだろうか。実はあるのだ。

アメリカ、ワシントン州ヤコル近郊にあるラーチ矯正センターでは、保護猫や飼い主のいない野良猫などを受刑者が育てるリハビリ・プログラム、「カドリー・キャッツ・プログラム」を導入している。

このプログラムは、受刑者が飼い主のいない保護猫や野良猫をパートナーとして養うもので、厳しい適正テストをパスした受刑者だけが参加できるプログラムだ。プログラム導入時、最初に抜擢されたのは、窃盗、詐欺で服役しているジョーイ・コントレラスとジョセフ・ウォルターの2名だった。


画像:Life with Cats

コントレラスとウォルターがケアをするのは、ナタリー・プリンセスと言う名の長毛の猫。最初に出会った時、ナタリーはとても反抗的だった。コントレラスが彼女を抱きかかえ、頭にキスをしようとすると明らかに怒った表情となり、拒否するようにニャーと鳴いた。実はナタリーは保護猫で、先住猫のいる一般家庭で生活していた。しかし、他の猫たちとうまく馴染めず協調性がないとの判断から、なぜか「安楽死」させられそうになったところを、この矯正センターが引き取って来たのだ。そんな経験のあるナタリーにとって、知らないところへ連れて来られた不安でいっぱいだったのだろう、その反抗をまずは二人に示したのだ。

ナタリーがセンターに来てからコントレラスとウォルターは懸命にナタリーの世話をした。

時に二人は、ナタリーに引っかかれた傷や咬傷痕を周りに見せ、「俺たちはネコの世話係だぜ!」と誇らしげに語ったという。そんなナタリーの高いプライドと性格から、二人はナタリーという名前の後に「プリンセス」と付け加えた。


画像:New York Daily News

ナタリーは「自分だけに向けられた愛情」がよほど嬉しかったのだろう、たった2週間で信じられないほど落ち着き、周りからも愛される猫となった。おそらくこれが彼女の本当の姿なのだろう。もともとの飼い主はすべきことをきちんとせずに、「この子は気性が荒い。自分の家にこの子は合わない。」という身勝手な理由から安楽死させられそうになったナタリー。コントレラスとウォルターという受刑囚に出会い、たくさんの愛情をもらったおかげで、本来の姿を取り戻した。

「この子はコントレラスとウォルターという二人の受刑者から、文字通り「レスキュー」されたのです。二人はナタリーに新しい家族ができるまで、愛情をもって彼女のお世話をしてくれます。二人は自分たちの為だけではなく、ナタリーの運命まで変えてくれたのです。」とカドリー・キャッツのボランティアをしているマーシャ・トーマス・カーニーは言う。

「刑務所にいると生活を管理され、人との絆や思いやりという気持ちを忘れてしまいがちです。でも、動物とかかわっているときは違うんです。動物って人間の気持ちを幸せにしてくれる最高のパートナーですね。私たちは、この刑務所内で最高の仕事をさせてもらっていると思います。」と受刑者の一人であるコントレラスは語った。ナタリーのお世話担当となった彼らは時給35セント(約35円)の最高の仕事をしているのだ。以前のコントレラスを知る矯正官であるウェス・ロビンソン氏は、猫のお世話をするようになってからのコントレラスの変化に驚きを隠せないという。このプログラム、そしてナタリー・プリンセスとの出会いが彼を良い方向へと変えてくれたのだ。


画像:Fox News Latino 

現在、アメリカ全土にある多くの刑務所や矯正機関では、受刑者と動物が触れ合うことで受刑者に「責任感と思いやり」を養ってもらおうと、このプログラムを採用している。ワシントン州では、ミツバチ、オタマジャクシ、蝶、犬、そして猫など多くの昆虫や動物たちの力を借りている。このプログラムに参加する受刑者は、刑務所内でもまじめに服役している者でなくてはならない。」とラーチ矯正センターのカウンセラーであるモニーク・カマチョ氏は言う。確かに、凶暴性のある受刑者であれば、動物たちを不幸にしてしまうかもしれない。そうならないためにも、プログラムへ参加するためには、厳しい適正試験に合格した者でなければならないそうだ。

このプログラムへ参加した別の受刑者は、「自分がここに来た時、もう失うものは何もないと思っていた。この荒んだ心は様々な問題を引き起こす原因となった。でも猫と出会ってからすべてが変わった。猫を抱くと、これまで心の中にあった「怒り」などのネガティブな気持ちが、まるで溶けてなくなるような感覚になるんだ。もしまたそのような感情が現れた時は、必ず猫のことを思うようにしているんだ。だって問題を抱えていたら、猫を幸せにすることはできないからね。」と語った。

我々人間は、つい猫や犬を「養っている」という気持ちになることがある。しかし、この受刑者たちの変化、そして私たちの愛犬・愛猫が側にいてくれる安心感と安らぎ、それらを考えると、決して「飼っている」「養っている」とは言えないのではないだろうか。物理的には飼い主が養っているかもしれないが、でも精神的に養われているのは私たち飼い主の方なのではないだろうか。そう思うと、犬や猫との生活に主従関係はない、ということがよくわかる。そして、愛おしさがより一層増してきて、私の心も溶けそうになるのだ。

 

関連動画/https://www.youtube.com/watch?time_continue=42&v=qYq3i8yxWRc

文/織田 浩次

参考資料/

・Washington ‘Cuddly Catz’ Program Saves Strays By Pairing Them With Prison Inmates
・The Seattle Times / Cats bringing out the soft side of inmates
・CUDDLY CATZ PRISON PROGRAM HELPS SOCIALIZE CATS
・PRISON PROGRAM SOCIALIZES A NEW CROP OF CATS AND KITTENS TO PREPARE THEM FOR ADOPTION
・Cats and Prisoners Give One Another A Second Chance

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