TOP>ニュース > 野良猫の世界ってこんなにも厳しい。綺麗ごとなしの小説「ねこのおうち」

  • ニュース

野良猫の世界ってこんなにも厳しい。綺麗ごとなしの小説「ねこのおうち」

野良猫の世界ってこんなにも厳しい。綺麗ごとなしの小説「ねこのおうち」

猫をテーマにした小説は、巷に多くある。感動作や児童向け、はたまたミステリー要素の強い作品など、猫はどんなジャンルにも登場できる万能な生き物のように思えてならない。だが、そんな中でもぜひ手にとってほしいのが、作家・柳美里さんが手がけた『ねこのおうち』(河出書房新社)だ。

柳さんといえば、在日韓国人の小説家としても有名。『家族シネマ』(講談社)で芥川賞を受賞し、一躍時の人となった。柳さんがこれまで手掛けてきた作品はどちらかといえば、アンダーグラウンドな雰囲気が漂っていたが、本作はこれまでの作風とは異なり、ほろりと泣けてどこか心が温まる感動作となっている。

物語の主役は、ひかり公園で産み落とされた6匹の猫たち。本作は公園に捨てられた猫たちが様々な人間と関わり合いながら命を紡いでいく様を描いた、連作短編集となっている。

野良猫を題材にした小説は読者の心境に配慮してか、ハッピーエンドに近い形でまとめられることが多いように思う。だが、本作には外で生きることの厳しさや捨てられた猫の苦しみがリアルに描かれているため、動物愛護を真剣に考えてみたくなるのだ。

そうした作風であるからこそ、収録されているストーリーの中には思わず目をそむけたくなってしまうような悲しい結末を迎えるものもある。しかし、これは日本のどこかで起こっている現実だ。

見たくないものから目をそむけながら動物を愛でるのではなく、勇気を出して悲しい現状を目の当たりにすることも、私たちにできる動物愛護なのだと思う。本作が教えてくれるリアルに限りなく近い野良猫たちの暮らしは胸に刺さるのだ。

1匹の猫から始まる人と猫の物語は、綺麗ごとだけでは生きていけない世界があることに気づかせてくれるように思う。人と同じように動物にも心がある。もがきながら必死に生きている小さな命を私たちはどう愛し、守っていけばいいのか考えたくなってしまう。

数十年前と比べ、動物の保護・譲渡活動が活発になってきたからか、近年はたしかに猫の遺棄が減っているように感じる。地方に住む筆者がそう感じるのだから、都心に住む方は、よりそうした時代の変化を感じていることだろう。昔は近所で野良猫をよく見かけたものだ。その度に、親に「飼いたい」とねだり、断られ、悔しい思いをしていた。そんな野良猫たちを目にする機会が減ったため、日本でも動物愛護の意識が少しずつ高まってきているのだと思え、嬉しくなる。

だが、そう思うのと同時に、あの頃、家の周りで懸命に生きていた野良猫たちはどうなったのだろうと考えずにいられなくなってしまう。小さな手では守りきれなかった、儚い命。大人になるにつれ、それらの尊さに気づかされる。無力だったあの頃は命を助けることができなかった。けれど、今の自分にならできることがたくさんあるはず。小さな命の成長を描いた本作は、自分をそう鼓舞する一冊にもなる。

文/古川諭香

\ この記事をみんなにシェアしよう! /
この記事をみんなにシェアしよう!
関連記事
関連記事
  • ニュース

こんなはずじゃなかった!愛猫の失敗写真5選 (12.5)

  • ニュース

ミーは常識はずれに長時間”モミモミ”をする。 (12.5)

  • ニュース

猫のお腹が白いのにはちゃんとした理由がある。 (12.4)

  • ニュース

「おもちゃ、掴めなかった…」感情が顔に出すぎてる猫 (12.4)

もっと見る

注目のグッズ

犬猫どっち派?村松誠の「2021年版 犬猫カレンダー」

ドラえもんに大変身!犬猫用『ドラえもん コスチューム』

お待たせ。「俺、つしま」グッズ大特集!

ヘビロテ確定。「俺、つしま」のTシャツが登場!

\ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! /
PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック!


ページトップへ戻る