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多頭飼いの猫に伝染病が発生した時、飼い主がするべき「3つ」のことは?

多頭飼いの猫に伝染病が発生した時、飼い主がするべき「3つ」のことは?

多頭飼いの猫は、夏にご用心!

仔猫の兄妹

猛暑となりそうなこれからの季節は、人間だけでなく猫にも食中毒や夏風邪などのリスクが高まる時。多頭飼いの場合、1匹でも感染症の兆候があらわれると群れ全体に感染してしまう危険性も…。そんな時、他の猫を守るため、飼い主は何をすればいいでしょう?

2019年7月21日(大阪)と7月28日(東京)、ペットシェルター運営者のために開催された「ロイヤルカナン プロフェッショナル セミナー~シェルター キャット」では、帝京科学大学アニマルサイエンス学科准教授の山本和弘博士(獣医学)が「アニマルシェルターの感染症対策」について特別講演をしてくださいました。そのお話が、多頭飼育をされている方にも参考になりそうでしたので、ご紹介します。

感染症予防は、3つのポイントを守ればいいだけ

山本先生は、ご専門である獣医予防学と、イギリス・ドイツ・ポーランドなどの動物保護施設運営の歴史が長い国々の視察経験をもとに、集団飼育での感染症予防対策についてわかりやすくお話をしてくださいました。

山本先生
山本和弘博士。1991年より日本獣医生命科学大学 獣医学科 公衆衛生学教室にて助手を務めたのち、カリフォルニア大学デイビス校にて獣医予防医学修士卒業後、卒後研究員として勤務しながら獣医博士を取得。その後、国際NGO, Japan International Food for the Hungry 奉職、大阪府八尾市西村動物病院にて7年間勤務ののち、2017年4月より現職。

Qそもそも「感染症」とは何ですか?

山本先生:一般的には、細菌、ウィルス、寄生虫、真菌(カビ)、プリオンなどの病原体が、

1)体内に侵入して
2)増殖し
3)(発熱、下痢、咳などの)症状が出る

ことを言います。
多頭飼育の場合、1匹でも感染すると群れ全体に伝染することもありますので、注意が必要です。でも3つのポイントを守れば、予防はそんなに難しいことではないんですよ。

Q 「3つのポイント」とは何ですか?

山本先生:それは「病原体を付けない(持ち込まない)」「増やさない」「やっつける」こと。これは、もともとは食中毒などを防ぐ食品衛生の考え方です。

アニマルシェルター2

「3つのポイント」の具体的方法

Q 「病原体を付けない(持ち込まない)」ためにはどうすればいいのですか?

山本先生:病気の感染ルートにはさまざまな場合が考えられます。人を介して持ち込まれ人から猫に感染することもありますし、人から犬、猫へと感染することもあります。ですから外出から帰ったら、猫に触れる前に着替え、必ずよく手を洗うようにしましょう。また病気の猫のトイレ掃除は、使い捨ての手袋を使い、その都度捨てるようにしてください。いくら丹念に手を洗っても、使い捨ての手袋ほどに完全にはガードできません。

病気の猫の病原体を付けないために、病気の猫は他の猫と接触しない場所に、隔離してください。スペース的に難しい場合は、100円ショップなどに売っているプラスチック製の段ボールでケージを囲うだけでも全然違いますよ。

Q 「病原菌を増やさない」ためには、どうすればいいのですか?

山本先生:感染症が広がるのは、病原菌が混入して、キレイなものが汚染されてしまうから。この汚染を断つためには、以下のことを心掛けてください。

*病気の猫の食べ残しを、他の猫に与えない。
*食器洗い用のスポンジは、病気の猫用と他の猫用を別にする、あるいは使うたびに消毒する。

アニマルシェルター3
「保護施設にやってきた猫が健康に過ごすためのガイドライン」より転載

*排泄物は24時間以内に片付ける(トキソプラズマに感染した猫から排出される病原体は、排泄後24時間ほどで、非感染性から感染性に変化します)。

アニマルシェルター4

*細菌が最も増えやすいのは、38℃前後。ウェットフードは気温が高い場所に放置せず、温めて食べさせる場合も温度を下げて10~20℃をキープするようにしてください。

Q 「病原体をやっつける」にはどうすればいいのですか?

山本先生:病気を持つ猫が触れたものは徹底的に消毒してください。ドイツで見たシェルターでは、一度でもキャリーケースを使った後は消毒液にまるごと浸して、消毒していました。

アニマルシェルター1

感染が成立する3要素を、できることからつぶしていく

アニマルシェルター5

Q そのほかに、感染症予防のためにできることはありますか?

山本先生:そもそも猫の病気感染が成立するためには、「猫」「環境」「病原体」の3つが必要です。環境が悪く、病原体が存在していても、猫が健康でワクチン接種などで免疫力が高まっていれば感染しません。猫の抵抗力が弱く、病原体が存在しても、環境が清潔に保たれていれば感染が成立しません。つまりこの3条件のひとつだけでもつぶせばいいのです。自分ができるのは何かを考え、できることだけでもすることが大切です。

例えばあるシェルターで猫風邪が流行し、治療をしてもなかなか効果があがらなかったことがあります。しかし低めだった室温を28℃に上げたら、それだけで劇的に流行がおさまったのです。これは「環境」を整えることで3条件のひとつをつぶした例ですね。

“清潔な環境”の目安は「臭いがしないこと」

Q環境を整えることならすぐにでもできそうですが、感染症予防が達成できる清潔さの目安は?

山本先生:「どこまでやればいいのか、ゴールが見えないと不安ですよね。私は『臭いがしない程度』をひとつの目安と考えています。臭いがするのは細菌が増えている証拠であり、疫学的には1cm³(1立方センチメートル)に10の6乗個の細菌がいると増えて危険と考えられています。

セミナー

せみなー2
セミナー会場ではシェルター運営者に向け、空気中のアンモニアの量を簡単にチェックできる採取器の体験コーナーも。写真は「北川式ガス採取器」(税別2万円)

治療よりも、予防にコストをかけて欲しい

Q 「完全室内飼いの猫にワクチンは必要ない」という方がいますが…。

アニマルシェルター7

山本先生:ワクチン接種により免疫力が上がり、感染しても軽症で済むことが多くなります。例えば最近のパルボウィル流行で、感染後に重症化して亡くなった猫の多くは、ワクチンを受けていませんでした。多頭飼育をされている場合は、飼育コストの問題もあると思いますが、予防コストと治療コストを比較するとはるかに予防コストのほうが安く効果的なのです。ワクチン接種費用は数千円ですが、治療には、新車1台分もの費用がかかる場合も少なくありません。

Q ワクチン接種のほかに、猫の免疫力を上げるためにできることはありますか?

食べ物

山本先生:ドライフードは開封後、1~1.5か月以内に使い切ってください。このことを私はよく、ポテトチップを例にあげてお願いしています。封を開けてから2~3か月以上たったポテトチップなんて、油が酸化してまずくて食べられないですよね。猫だって同じです。酸化したフードを食べると免疫力が落ち、群れ全体の“集団免疫力”が落ちます。

感染症が発生すると心配でパニックになりがちですが、このように感染するしくみがわかると、対策法も見えてきます。やるべきことが明確になれば、恐怖心や不安は薄れるのではないでしょうか。

著書
「保護施設にやってきた猫が健康に過ごすためのガイドライン」(犬と猫の保護施設を安全で快適にするための検討委員会作成)

取材・文/桑原恵美子

取材協力/ロイヤルカナン

参考資料/「保護施設にやってきた猫が健康に過ごすためのガイドライン」(犬と猫の保護施設を安全で快適にするための検討委員会作成)
関連リンク
北川式ガス採取器 http://www.komyokk.co.jp/kweb/pbtop.do?pbno=1002&je=0

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