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日本で初めて「猫のお葬式」があげられたのはいつ?

日本で初めて猫のお葬式があげられたのはいつ?

近年では、ペットは家族の一員だという認識が浸透してきており、愛猫が亡くなった時にお葬式をあげる方も増えてきました。しかし、実は猫のお葬式は平安時代から行われていたよう…!それを示しているのが、藤原頼長が記した『台記』という日記です。

猫の銅像

藤原頼長は、平安時代末期に活躍した公卿。頭が良く、当代一の知恵者として知られていましたが、一切妥協を許さない性格だったため『悪左府』という異名で呼ばれていたとも言われています。

そんな気難しい性格の頼長でしたが、なんと猫に対しては愛情深い態度を見せていたよう。無類の猫好きであった頼長は『台記』の中で、心温まる猫エピソードを記しています。

それは、頼長がまだ少年だった頃のこと。かわいがっていた愛猫が病気になってしまい、大変悲しく思った頼長は「どうか猫の病気を治してください。そして、10歳まで生き伸びさせてください」と願いながら千手観音の絵を描いたのです。

今でこそ、猫の平均寿命は15年を超えるようになってきましたが、厳しい身分制度などで貧富の差が開いていた当時は人間でも30歳前後が平均寿命だったといわれています。それを知ると、頼長が願った「10歳」という平均寿命がいかに凄いことだったのかが分かりますし、頼長の強い猫愛もひしひしと伝わってくるように感じます。

そんな頼長の思いに応えるかのように、その後、猫は本当に元気になり、10歳で天に召されました。そして、頼長は亡くなった愛猫を衣に包み、櫃に納めて葬ったのだそう。

猫のお墓

ちなみに、衣に包むという手段は、当時の貴族が葬式の時に取っていた作法。こうした頼長の行動からも、どれだけ猫に対して愛情を注いでいたのかが見えてきます。頼長が行ったこのお葬式は、日本で最初の猫のお葬式。今もなお、多くの人に語り継がれている、心温まる実話なのです。

ペットを動物ではなく家族として大切にしようとする風潮は近年になり広まってきたような印象を受けます。しかし、日本史を知ると、実ははるか昔から、そうした考えは存在しており、ペットは動物ではなく、ひとりの家族として大切にされていたのだということが分かります。

けれど、その割に日本の法律の下で動物は、まだまだモノとして扱われているのが現状で…。2020年には東京オリンピックが開催されることもあり、動物愛護法の改正が強く求められていますが、行政の対応は十分であるとは言えません。

こうした現状を変えていくには、東京オリンピックにかこつけるのではなく、「動物が生きる権利を守りたい」と、多くの人が声を上げることが大切です。動物先進国に「日本のペット業界は遅れている」と思われるのを避けるためではなく、動物たちが今よりももっと伸び伸びと幸せに生きられるような国にしていくことが、私たちに課せられている役目なのではないでしょうか。

歴史を知り、故人たちの深い猫愛に触れると、動物愛護法の在り方をより考えさせられます。数千年前から人に寄り添ってくれている猫に、私たちはどんな恩返しができるのでしょうか。

<参考書籍>『猫づくし日本史』(武光誠/河出書房新社)

文/古川諭香

愛玩動物飼養管理士やキャットケアスペシャリストの資格を活かしながら、様々なWebサイトや紙媒体で猫情報を配信中。産まれてから今まで猫がいなかった日はなく、現在は3匹の猫たちと生活中。「猫と人間が幸せに暮らす」をテーマに、猫が喜ぶ注文住宅も建築済み。

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