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「どこにもない愛の物語を、心から届けたい」杉本彩出演の2人芝居『いなくなった猫の話』

「どこにもない愛の物語を、心から届けたい」
杉本彩出演の2人芝居『いなくなった猫の話』

「猫と暮らしてきて、実際、主人公・小夜が抱いたような感情に近いものを、自分も抱いたことがあるから」と語るのは、杉本彩さん。

この夏、東京にあるPerforming Gallery and Cafe「絵空箱」で、幕を開けた舞台があります。2人芝居『いなくなった猫の話』。昨年、紀伊國屋ホールで上演された『森奈津子芸術劇場 第一幕〜パトス編~』のうちの1作品が、2人芝居としてリニューアルされました。お相手を演じるのは、相馬圭祐さん。ともに猫と(杉本さんは犬とも)暮らす大の猫好きで知られる二人です。

会場の「絵空箱」には、バーカウンターが設置されており、そこでは、物語の登場人物をイメージしたオリジナルカクテルが提供されます。これらは『いなくなった猫の話』の原作者であり、バーテンダーの経験もある森奈津子さんがレシピを考案したもの。美味しいカクテルにほっと一息ついていると、そこに会場の案内役として、“きまぐれな客”が登場。こちらは本作品の初演を含む『森奈津子芸術劇場 第一幕~パトス編~』にゆかりのある役者さんです。今回は本編への出演はありませんが、場内の案内はもちろん、気軽に話しかけてくれたり、飲み終わったグラスを片付けてくれたりと、ゆきとどいたおもてなしで場を和ませてくれます。そしていよいよ、お芝居の幕が開きます。

暗くなる客席。先ほどまで、私たちがドリンクを受け取っていたカウンターだけが照らされて、ドレッシーな姿で現れる杉本彩さん。バーカウンターの中に入った彼女は、客席に向かって話しかけます。

舞台セットは、このバーカウンター。今回の2人芝居は、初演でも主人公の小夜を演じられた杉本さんが「本物のバーで上演できたら面白いですね」という会話をプロデューサーと交わしたことに端を発したそうですが、まさにこの会場「絵空箱」は、この舞台を上演するために用意された空間のようです。その場所は、客電が落ちた瞬間から、杉本さんが“小夜”として現れた瞬間から『微睡亭(まどろみてい)』へと変わったのです。これはとても不思議な感覚でした。

ざっくばらんに語られていく『微睡亭』のオーナー小夜の世間話に耳を傾けるうち、私たちはいつのまにか宇宙の片隅に飛ばされていたことを知ります。地球に住むことをやめた人類の、その先の世界。客席も既に物語の一部です。
そこへやってくる新たな客。それが相馬圭祐さんです。

彼が扮するのは「ハイブリッド」と呼ばれる生命体。人間によって“造られた”、犬や猫と人との混血です。年老いてはいるけれども、一目で「猫型ハイブリット」とわかる彼を見た瞬間から、小夜は、忘れられないある存在に思いをとらわれていきます。

そして小夜は、この日最後の客である老猫ハイブリッドに思い出話を語り始めます。

小夜の昔語りによって進行していく舞台。杉本さんはとても自然に“小夜”としてそこに存在し、様々な表情を見せてくれます。厳しい声色で語る、貧困による過酷な少女時代。得体の知れない不安が支配する社会。「命」を玩具のように扱う人間の闇。そして差別。小夜が語る世界は、SFという枠を越えて、私たちの現実社会に刃を突きつけてきます。そしてその殺伐とした世界の中で息を殺すように生きようとするちいさな命に出会った小夜の目には、実際にそこには存在しないはずの“ちび影郎”の姿が、しっかりと映っているように見えました。“影郎”という名の光が、孤独だった小夜という女性に与える、奇跡のような時間の始まりです。

原作者の森奈津子さんは、この作品のもととなった同名の小説を19年前に執筆されました。執筆当時は犬や猫と暮らした経験はなく、文鳥を飼っていて、その短い命を切なく思う気持ちからこの小説が生まれたのだそうです。そして、ハイブリッドという存在について、森さんは「人間が人間以外のものを愛する心」を託したと語ります。“生まれ落ちたからには幸せになってほしい”そんな森さんの願いは、小夜という杉本さんの身体を借りて、影郎に、そしてあまねく命に向けて、祈りのように鳴り響きます。

一方、そんな小夜の声に、じっと猫耳を傾ける相馬圭祐さんの表情からも目が離せません。

やわらかな雰囲気の中にも張り詰めたものを感じさせる老猫ハイブリッドの存在には、やはりどこかミステリアスな猫の雰囲気があり、小夜の言葉のひとつひとつに見せる繊細な心の動きが、物語の鍵を握ります。極めて微弱な波動から、はっと息を呑むような美しいシーンまで。その一挙手一投足は、実に驚きに満ちていました。

普段は会場の“後方”にあたるバーカウンターをメインステージに見立てた珍しい舞台形式。そこに“客テーブル”として配置された一風変わった観客席。小夜が横切る風を感じ、爆風に煽られる熱を感じ、哀しみに満ちた銃声を、自分の身が弾かれるような想いで聞く。そして、気づけば“2人芝居”であることを忘れ去っていました。

上演時間は約一時間。

ほどんと喋りどおしの小夜の感情には、驚くほどに豊かな引き出しがあります。それは、その引き出しを次々と開き、表現していく杉本さんの心の豊かさでもあると感じました。心を震わせながらただひたすらに訴えかけてくるもの、それは恐らくちいさな命たちを心から愛し、保護し続けてきた杉本さんご自身が、生命をかけて叫びたいことそのものだと思います。

この作品について、杉本さんは語ります。

「犬や猫といった動物と一緒に暮らしていると、我が子のように感じたり、弟のように感じたり、また恋人のように感じたりすることってあると思うんです。そんなふうに、種を越えていろんな想いを交わすことができるということが、このSF作品の中に面白いように仕上がっている。世界中の人がこの真理を知らなくちゃいけないんじゃないの? とさえ思う、この、他のどこにもない愛の物語を、心から届けたい。感じていただきたいことがたくさんあります。」

お芝居のラストに、小夜が全身全霊をかけて投げかける言葉とは?

その心のゆさぶりを、是非ご自身で体感してみてください。

文/吉野淡雪
写真/NORI

杉本彩 /女優・作家・ダンサー
1968年生まれ。京都府出身。87年、東レ水着キャンペーンガールでデビュー。テレビでの活躍はもちろん、女優として映画「花と蛇」など数多くの話題作に出演。またコスメブランドのプロデュースやアパレルブランドのディレクターとしても活躍中。2014年には「一般財団法人動物環境・福祉協会Eva」を設立し、理事長に就任。翌年には公益認定を受け、動物愛護の啓発活動を精力的に行なっている。
杉本彩さん主演舞台「いなくなった猫の話」

Zu々プロデュース 森奈津子芸術劇場 第1.5幕
2人芝居『いなくなった猫の話』

2018年8月1日(水)〜12日(日)
会場:Performing Gallery & Café 絵空箱

脚本・演出:古川貴義
出演:杉本彩 / 相馬圭祐

詳細は公式ホームページをご覧下さい。

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