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すべての愛猫家に読んで欲しい!2021年に一番感動した本「しろさびとまっちゃん」

最初は、田舎で暮らすかわいい猫の写真集だと思っていた

この本出会ったのは、神保町の古書店。表紙のタイトルだけをチラ見し、中身をパラパラッと開いて、「自然に囲まれた田舎で暮らすおじさんと幸せな猫ちゃんの写真集」とだけ思って、購入しました。その後に読み始めて、(大筋では上記の内容で合っているにしても)その背景にとても重い現実と、一人の人間のあまりに大きくて深い愛があることを知ったのです。


▲「しろさびとまっちゃん
福島の保護猫と松村さんの、いいやんべぇな日々」(太田康介著/‎ KADOKAWA

原発の警戒区域内にただ一人残り、飢餓に苦しむ動物たちに餌を与え続けた人

この本は、2011年の東北大震災の時、福島第一原発20km圏内にただ一人残って、取り残された動物たちの給餌活動などを続けている松村直登さんと、飼い猫の「しろ」と「さび」の日々をおさめた写真集です。当時、被爆の恐れが高い警戒区域内に立ち入ることは不法行為。でも松村さんはたった一人でそこに住み、犬猫などの残された家を回って、飢えに苦しんでいた動物たちに餌やりをしていたのです。

さらに、被爆したことで売ることができなくなり、殺処分を待つだけだった牛たちを引き取り、面倒を見ていました。

この本の著者である太田康介さんはもともと、アフガニスタンなどの紛争地域や北朝鮮などで潜入取材をしていた報道カメラマン。東日本大震災後は警戒区域内でボランティアをしながら、無人の村に残された動物たちの写真を撮り続けていました。震災後に出版され「のこされた動物たち――福島第一原発20キロ圏内の記録」「待ちつづける動物たち――福島第一原発20キロ圏内のそれから 福島第一原発20キロ圏内の記録」(どちらも飛鳥新社)は、多くの人に衝撃を与え、さまざまな問題提起をした写真集として広く知られています。

「しろさびとまっちゃん」はその後、太田さんが原発から10km付近に位置する富岡町で給餌活動を続けていた時に、ばったり松村さんと出会ったことがきっかけで生まれた本。太田さんはこの本の中で、「彼(松村さん)がいなければ、震災直後の富岡町の動物たちは全滅していたでしょう」と語っています。

私は不勉強で存じ上げなかったのですが、松村さんは国内より海外で有名な方。「福島のラストマン」と呼ばれ、海外からの取材もすごく多いのだとか。そんな松村さんが、保健所行きになりそうだったところを引き取った2匹の猫が「しろ」と「さび」でした。

白猫とサビ猫だったから「しろ」と「さび」

「しろ」と「さび」について、太田さんはこのように描写しています。

より目気味のオッドアイがかわいいしろ。

もらわれてきてまもない子猫の頃から、

松村さんの散歩のおともをするように。

少々おっとりした、愛嬌のある性格。

松村さん曰く「どんくさいんだべ」。

(「しろとさび」本文より)

枯草の中にいるとすっかり保護色になってしまう、

さび柄猫のさび。ネズミやスズメを捕まえる、

野性味あふれる名ハンター。

しろのわがままを受け入れる姉的立場だが、

甘えん坊な一面も。

(「しろとさび」本文より)

「かわいそうだべ」「誰も殺させねえ」

震災後、国は残された動物たちを放置することでそのままリセットしようとしていました。いっそ全部死んでしまったほうが、再生しやすいと考えたのでしょう。そのことに憤り、たった一人で立ち向かったのが、松村さんだったのです。

「震災後、松村さんはひたすら戦ってきました。何が何でも動物たちをムダに殺させないと、国や電力会社を相手にわたり合っていました。そんなイメージが少し変わってきたのが、しろさびを引き取ってから。もちろん戦いが終わったわけではありませんが、より、ふるさとの「再生」に向けて動きだされたような気がしたのです。

震災後に生まれた猫を引き取ったこと、そしてその子どもたちが生まれたことは、松村さんの中に放射能汚染されたこの地で生きていこうという強い覚悟を生んだように思います」

(「しろとさび」あとがきより抜粋)

猫たちの存在、そのぬくもりが、松村さんにとっての戦いを、より深化させたのでしょう。この本を買ってから、何度読み返したかわかりません。読むたびに感動があるのは、美しい写真の力もありますし、しろとさびの愛らしさもあります。そして何より(完全室内飼育に慣れた目には)、松村さんの大きな愛に守られながら、自然の中で大らかにのびやかに暮らす2匹の姿がまぶしく見えるからでもあります。

読み返すたびに発見があり、癒されると同時に、自分たちが動物と暮らすことの意味や覚悟もつきつけられ、考えさせられる本です。2015年の出版なので、書店ではまず出会えないでしょうが、ネット書店では今も入手できます。一人でも多くの方に読んで欲しいと思って、紹介させていただきました。

文・桑原恵美子

編集協力・株式会社KADOKAWA

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