2021-11-01 猫が家にいることで生まれる意外な効能 カーツさとう保護猫保護猫と暮らす保護猫!日々猫!介護猫!高齢猫 この物語は、ここ30年でノラ出身のネコを12匹保護し、一緒に生活し、ついに全員を看取ったと思ったら、今また一匹のネコと暮らしている中年男の喜怒哀楽に満ちた日常の回顧録である。 ミー(仮名)がきた! 第27回“傀” ウチはそろそろ夫婦共に還暦になろうかという老夫婦である。もはや倦怠期すら「まだかわいらしいもんよ」ってなくらいの結婚33年の枯れ切った夫婦関係といっていい。 当然のように夫婦の会話は少ないったらありゃしない。そんな少ない会話を補うかのようにやってるのが、ネコに勝手にアテレコしての会話。もちろんアテレコされるのは、初孫のように溺愛している『ミー(オス・推定5才)』である。女房がミーに、 「お腹すいた?」 なんて、まぁ返事がないのはわかっていながら声をかけるなんてことはよくある。すると、それをオレが聞いたりしたら、すかさず、 「『お腹がすいたんだニャ〜』だって」 と、ネコになりきって話すのである。 ちなみにアテレコの最後には「〜だって」という、人間に戻るセリフといいますか、それまでのセリフは“ミーの発言ですよ”ということがわかるような結びの言葉を入れるのが慣習化しているのだった。これ、以外と皆さんせやってませんか? 以上、前回までのあらすじでした。 それにしてもこのネコアテレコをやってる夫婦の姿を想像してください。やけに平和に感じられませんか? ↑まぁそんな会話に一番興味ないのは傀儡になってるミー本人なんですけどね。 あまりの平和的なムードに、 「還暦近いってのに、ネコと老夫婦3人に仲睦まじいね」 などとヒューヒュー的に冷やかすような言葉も聞こえてきそうですが、このアテレコも慣れてくると、平和的というよりもむしろその逆の使い方が増えてくるのだった。夫婦間の文句をネコを傀儡としていうのだ。なにしろだいたいの亭主なんてのは、女房には頭が上がらないもんなんですよ。日本中の既婚男性ならばきっと賛同いただけると思うんですが。 ちょっとした文句もいいたいけれど、なかなかストレートにはいえない。そんな時はミーに言っていただく。 「『オマエ、オレが大事にしてたTシャツ勝手に捨てただろ!ふざけんなよな〜』ってミーが言ってました」 と、自分からは直接いえない文句は全てミーが言ってるという体を装う。いや、もうすでに「オレ」って言ってる時点でアテレコでもなんでもなく、ただ最後に逃げの一言を追加しているだけなんですが、最後にミーが言ってることにすると、不思議にどんな文句も言える。 でもやっぱり女房は強いんで、そんなこというと逆襲されるワケです。その時こそ、この傀儡文句が本領を発揮する。 「ちょっと、なにエラソーなこと言ってんのよ」そんな風に逆襲されても、 「いやいやいいや、オレじゃなくてミーがそんな風に言ってるんですから…」 とりあえず逃げられればそれでいい! 「ミーが言うワケないでしょ!」 当然、再度逆襲されますが、 「でもミーが…」「ハイハイ、わかりました」 なんとなくうまくいく。半ば呆れられてますけど、間にミーという媒介を差ハムことで、普通だったら膝蹴りが飛んできそうな状況も、なぜか平和的に着地する。 そして、一度でも文句を口に出して言えたことで、ワタシの精神状態は非常にスッキリするのである。 さらに失言してしまった時にも非常に使える! 「ちょっと老けたんじゃない?」 なんて思わず女房の逆鱗に触るようなことを言ってしまう時がある。当然女房は、 「ナニがよォォ?」と怒りに火がつく。しかし! 「いやいや、ミーがそう言ってました」 といえば、なぜか家庭は丸く収まる! どうからどう聞いてもオレが感じてそう言ってるだけなのに“ミー”と一言入れるだけで、丸く収まる。すでにアテレコではなく、ただの責任転嫁であるが、ミーという傀儡がいることで、普通の会話も増えてきた。忖度の無い夫婦間の会話が可能になってきたのだ。動物のいる家庭ってこういう効能もあるんすね。 ↑勝手傀儡にされてることなどお構いなく、日向ぼっこにいそしむミーであった。 あ、夫婦間で文句をいう時にミーを傀儡にするって書きましたけど、傀儡にしてるのはオレだけでしたね。女房は傀儡なんかつかわなくても、直接ガンガン言ってきますから…。 (つづく) カーツさとう コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。 \ この記事をみんなにシェアしよう! / この記事をみんなにシェアしよう! 【猫クイズ】短足・小型・巻き毛が特徴の「ラムキン」ってどんな猫種? (3.3) ぼくたちは猫を育てているのではない。猫に育てられているのだ。 (2.27) 雪の降る中、お姫様抱っこで登校しました。 (2.27) タヌキは人を化かす!?ただしどうやら猫には勝てない (2.27) 注目のグッズ 犬猫どっち派?村松誠の「2021年版 犬猫カレンダー」 ドラえもんに大変身!犬猫用『ドラえもん コスチューム』 ボディケア用品からお菓子まで!猫好きな彼女や妻に喜ばれるホワイトデーギフト4選 【猫クイズ】短足・小型・巻き毛が特徴の「ラムキン」ってどんな猫種? 愛犬がまさかの“犬嫌い”…その原因はどこにあるのか? ぼくたちは猫を育てているのではない。猫に育てられているのだ。 \ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! / PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! Facebook にいいね!する Twitter をフォローする Instagram をフォローする Pinterest をフォローする