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最後の姿を撮っておくべきだった。老猫が最後に渡る「虹の橋」

虹の橋を渡る日まで

ここ1年ほど、フィルムカメラにハマっている。父から譲ってもらった古いPENTAXをぶら下げて、休日はお気に入りの場所に出かけている。

今は引っ越してしまったが、昔私たち一家が住んでいた場所のすぐ近くに商店街があり、顔見知りも多く、今でもよく訪ねている。そこは人通りも多く活気もあるが、猫も多い。私はその猫たちをよく撮っている。

商店街のみんなから「おばあちゃん」と呼ばれる猫がいる。私や妹が小学生の頃、よく髪を切ってもらった理髪店の前のベンチが定位置で、ほぼ一日中そこで日向ぼっこをしている。

元々野良だったのが居着いてしまったそうで、理髪店の裏の物置を寝床と決めてしまったらしい。そこの奥さんがお世話をしているのだが、当時から今まで鈴を貰う(飼う)気は無かったそうだ。

そんな話を散髪の最中に聞かされていたから、今のおばあちゃんはかなりの年寄り猫のはずだ。

ある日、その商店街を訪ねたら、珍しくおばあちゃんが歩いているのに出くわした。

もしかしたら良いシーンが撮れるかな、と何となく後を付いていった。お歳のせいかヨタヨタとしていたが、ひたすら歩いていた。途中、何度か商店街の人たちから声をかけられていたが、一切構うこともなく、歩き続けていた。

やがて商店街の端まで来ても、振り返ることもなく、やはりヨタヨタと歩く。

この辺りでようやくただ事じゃない、と気付いたが、とりあえずそのまま後を追い続けた。

車通りの多いところではハラハラしたが、無事に通りを渡り、さらに進む。心なしかおばあちゃんの足取りがしっかりしてきて、ついて行っている私もやや早足になっていた。

そしてどのくらい歩いたのだろうか、大きな公園に辿り着いた。そこは昔の武蔵野の面影を残す雑木林や、神社、バードサンクチュアリもある広大な敷地の公園だ。そこに着いたとたん、おばあちゃんが駆けだした。追いかけて行ったが、雑木林に駆け込んで行って、そのまま見失ってしまった。

それから、おばあちゃんは商店街に戻って来なかった。理髪店の奥さんや商店街の人たちと、公園まで探しに行ったが、見つけることはできなかった。

後日、奥さんは「昔から猫って、死期を悟ると飼い主の前からいなくなる、っていうじゃない。あ、飼ってたわけじゃないけど」と、寂しげだった。

商店街の人たちの間では、おばあちゃんは虹の橋を渡りに出かけて行ったのだ、ということになった。

私は思いもよらず、猫の最後の道行きというのを目撃してしまったのかも知れない。

私が今思うに、あの公園の中、雑木林の奥の奥に、猫にしか見えないあちらの世界への入り口があるのかも知れない。人が入れない草木のトンネルを駆け抜けていった先に、虹の橋があるのだろうか。

あの日、おばあちゃんは、いつものベンチから、あの公園の上空に架かる虹の橋が見えたのに違いない。

猫はすごいな。ちゃんと死期を悟って、いずれ行くべき場所へ自ら向かっていけるなんて。お見事だし、羨(うらや)ましい気持ちにもなる。

そういえば、追いかけるのに必死で、おばあちゃんの写真を撮っていなかった。最後の姿を撮っておくべきだった。雑木林に駆けて行ったおばあちゃんは、いったいどんな表情だったんだろう。それを見られなかったことが、今、とても悔やまれる。

(文/木村圭司、編集/柿川鮎子)

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