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できれば私も、猫のように逝きたい。

虹の橋を渡る日まで

来年還暦を迎える娘は本が好きで、移動する時はいつも本を持っている。スマホでも読めるけど何か違う、と、今日もバッグに古い本を入れていた。

娘によると、最近は少女時代に読んだ本が面白いらしい。当時の感動と、今読んだ時の感動点が異なるのが、また面白いと言う。

「赤毛のアンを読み返してるの。子どもの頃は単純にアンが大好きだったのに、今は共感できない部分がたくさんある。今はギルバートがすごく魅力的だと思う。

ギルバートはアンが不遇な時に、手を差し伸べてくれるの。なかなかできることじゃないわ。ウチの(夫)と違って、懐の広い男よ」と、古い本を読んで楽しそうだ。

時代のせいもあって、私の少女時代には、本を楽しんだ記憶が無い。一冊の本を繰り返し読む楽しさを知っている娘が、うらやましいような気がする。

膝の上で猫を撫でながら、子ども時代を振り返る。実家は古い商家で倉があったから、戦争中を除いて猫をずっと飼っていた。娘が本を繰り返し読むように、私は生涯猫を愛でて過ごしてきた。

娘が本なら、私は猫だ。本は年代によって読み方が変わるらしい。猫も年代によって、素晴らしいと感じる部分が、異なっているような気がする。

子供時代は一緒に遊んでくれる猫が良かった。大人たちは忙しかったし、上のきょうだいとは年齢が離れていたから、家で相手をしてくれるのは猫しかいなかった。

成長してもう少し年齢を重ねた青春時代、猫は悩みや苦しみを打ち明ける、同志となった。

嫁姑問題に苦しんだ頃は、猫から癒しをもらっていた。女同士の苦しい戦いの中、猫は優しく寄り添い、涙を拭いてくれた。さらに子どもを産み、猫の子育てを見て、自分も同じようにすべきだと教えられたこともある。

高齢になった今、何をしていても死の影がちらつく。ちょっとした身体の不調が死に直結するし、眠る前、このまま夜中に息絶えるのかもしれないと思うと恐ろしい。

でも、猫は死を恐れない。私が飼っていたすべての猫が、立派に死を受け入れ、見事に旅立っていった。できれば私も、猫のように逝きたい。

自分の年齢に応じて、それぞれ違う猫の良さを感じていた。最後は死まで教えてくれた猫。猫とともに歩めた人生に、悔いは無い。ただ、日差しのやわらかなリビングで、こうして猫といる幸せな時間は、あとどのぐらい残されているのかが、知りたいだけだ。

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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