ウミネコ、ネコザメ…猫以外の動物が猫と呼ばれる理由

ウミネコ、ネコザメ…猫以外の動物が猫と呼ばれる理由いろいろ

今や、日本でもっとも飼育頭数の多いペットとしての地位を確立した動物、それが猫である。猫はもう私たちの生活に欠かすことのできないパートナーとなったわけだが、そのルックスもあまりにも大勢に認知されている。

それがゆえに、他の生き物を猫に例えるという事例も昔から散見されている。たとえば動物の和名に、猫というワードが入っているということは意外に多いものだ。

そこで今回は、猫じゃないのに名前に「ネコ」が入った生き物たちと、その理由も添えて紹介してみよう！

ウミネコ、その鳴き声は猫に似ている

まずはもっとも有名な、猫じゃないのに猫と呼ばれている動物としてウミネコを挙げよう。カモメの仲間であるウミネコは日本、ロシア、中国東部にかけて幅広く分布しており、私たちが見かける頻度は高い。

鳴き声が猫のそれに似ているため、ウミネコと名付けられたという逸話はよく知られている。海の近くに営巣する動物ではあるが、最近では都市部にも繁殖場所を設けるようになっており、東京都台東区でもまとまったコロニーが発見されたこともある。

まさに雑踏の中にウミネコと猫が同じく生活していたというわけだ。

頭が猫に似ているのでネコザメ

次は、水族館でもよく展示されているサメ。ネコザメについても触れておこう。
ネコザメはかなり歯が丈夫で、硬い巻貝なども平気で咬み割る。そのため昔から、サザエワリというあだ名でも親しまれてきた。

顔立ち自体は鼻の短いサメといった感じだが、目の上に突起があり、これが猫の耳に似ているということで顔の印象からネコザメと呼ばれている。ただし海外では「牛に似てるよね」と思われているようだ。

前述のように顎の力が強いが、性質は大人しく、自分より大きな動物は襲わない。
また、ネコザメ自体のサイズも小型なので、万が一遭遇しても人が狙われる心配もない。

ナマズは猫と呼ばれがち

また、ナマズの仲間は海外でキャットフィッシュ」と呼ばれることが多い。日本国内に輸入されてきた鑑賞用のナマズには、便宜上「〇〇キャット」といった名称が当てられることも珍しくない。

これにはナマズのヒゲが猫のそれと似ているからそう呼ぶという説がある。顔立ちは全然似ていない両者だけども、「まあなんとなく似てる感じがするよね」って思った人が過去にいたってことなんだろう。

どこが猫？ネコグモなる小さな捕食者

さらには、ネコグモという蜘蛛が存在することも、併せて紹介しておきたい。
ネコグモは体長が4ミリ程度の大変小さな蜘蛛で、日本の広い範囲に分布している。
あまりにも小さいので、普段私たちが意識して目撃することはほぼないが、実際にはとても身近な存在だ。

その見た目は“小さい蜘蛛”でしかなく、猫との類似点をみとめることは難しい。
一応無理に解釈しようとすれば「猫の肉球みたいな体のツヤだなぁ」と思うこともできなくはないけど……。

ただ、小さな体でも立派な蜘蛛。
昆虫を襲って食べる習性があるので、この蜘蛛がたとえば農園などに居着けば、植物を食害する害虫へのプレデターとして役立ってくれる。
猫がネズミを捕らえるから重宝された時代があったように、ネコグモは人にとっては目立たないけど立派な相棒だ。

おわりに

このように、名前に猫が付く動物はさまざま存在する。
視点を植物にまで向ければ、ネコヤナギなどの存在に気付くこともできる。

古くから人間の生活に密接に関与してきた猫だけに、他の動植物に彼らの名前を冠するということは、そこまで珍しいことでもなかったようだ。

地球上にはまだ未発見の動物がひしめいているという話もある。
もしも僕が新種の昆虫だか何だかを発見したら、和名には猫という文字を入れてみようかなぁ～。

文／松本ミゾレ