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子猫を愛しすぎて病気になってしまった話

虹の橋を渡る日まで

食べたり口を大きく開けて閉じる時、耳の近くでボキボキ音がするようになってしまった。痛みはないけど、何となく不安になったので、整形外科に言ったら、医者に顎関節症と診断された。

「原因はいろいろありますが、不安が続いて、筋肉がずっと緊張していると症状が出ることがあります。心当たりはありますか?」と聞かれて、心当たりゼロ。むしろ、今、子猫をお迎えして人生最高の幸せの真っただ中にいるけれど、そう言うわけにもいかず、「あの、コロナでいろいろ仕事が大変で」と胡麻化した。

若い医者は「そうでしたか、いろいろ大変だと思いますけど、リラックスしてなるべくストレスを溜めないようにした方が良いですよ。音がするだけで特に痛みがなければ、しばらく様子を見ましょう」と同情してくれた。嘘をついてごめんなさい、と心の中で手を合わせる。

顎関節症は緊張や何かを我慢した時になるらしい。私は可愛いを我慢して極度に顔の筋肉を緊張させたことが原因だと思う。あまりにも幸せでも、病気になるらしい。それほどうちの子は特別な存在なのである。

もともと姉が子どもにせがまれてショップからお迎えした子猫だった。せっかくお迎えしたのに、次女にひどいアレルギー症状を出てしまい、呼吸困難にまでなったらしい。姉が「本当に悪いんだけど、命にかかわるかもしれないから、引き取ってもらえないかしら」と、わが家に連れてきた。バスケットに入ったいたいけな子猫を見て、私はその瞬間から猫の虜になってしまった。

ふわふわの被毛に包まれた幸せの塊が、家の中をコロコロ走り回って遊ぶ姿を見ていると、あまりにも可愛くて可愛くて、心臓がドキドキしてくる。子猫の透き通った大きな瞳に、魂を吸い込まれそうだ。

まだ子猫だから寝ている時は、なるべくそっとしてあげなければならない。足を投げ出して無防備に横になっている姿を見ていると、可愛すぎて奥歯をかみしめていないと、「可愛い」という言葉が漏れ出しそうなのだ。

あまりにも可愛いと、苦しい。可愛すぎて、胸がしめつけられる。そして、可愛いを我慢していたら、顎関節症になってしまったのだ。

こんなこと、恋人にも言えない。彼は「いきなり子猫を押し付けられちゃって、おまえも大変だよな。猫飼ったことないんだろ?そりゃあストレスから病気にもなるよ」と妙に同情した上、何かと家に来たがる。「顎関節症、心配だから」と言うけど、本音は猫と遊びたいのだ。

小さな前脚で、おもちゃの毛玉をチョンチョンと突っついて遊ぶ。コロコロ転がる毛玉を追いかけて、玉の上にジャンプしたら一回転して転がった。転がってびっくりして、横っ飛びしながら私の方に助けを求めに来る。ああ、神様、こんなに可愛くて良いんでしょうか?

「世の中の飼い主はみんな、こういう〝可愛いの苦しみ〟をどうやって解消させてるのかな?」と思わず口に出して言ってしまった。彼は呆れた顔をして「可愛いの苦しみ?苦しくないだろ、喜びとか幸せでしょう?」と反対するけど、私はあまりにも可愛いと、胸が締め付けられるように苦しいのだ。

「こんなに素晴らしい子猫を飼う資格が、私にあるんだろうか」とか「ある日突然この子がいなくなったとしたら?」と想像すると、気が狂いそうになる。どこか変なのかもしれない。猫に魂を持っていかれたのは確かだ。

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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