2020-08-11 末期がんの父の心を救った1匹のサビ猫 ある夏の日に出会って…末期がんの父の心を救った1匹のサビ猫 深い悲しみや絶望を感じた時に空いた心の穴は、人間相手では埋まらないこともあるもの。しかし、動物と接する中で、その穴が少しずつ小さくなっていくことはあります。 末期がんだった父の心を救ってくれた子。愛猫のあんこちゃんを、そう表現するmika(@mikaankokibi)さんは闘病中のお父さんとあんこちゃんの絆を目にし、感慨深い気持ちになりました。 闘病中の父を支えたのは1匹の猫 抱っこや膝乗りは嫌い。でも、常に近くにはいたくて、扉のかげから半身で覗く“市原悦子系女子”のあんこちゃん。 お父さんと出会ったのは、ある夏の日こと。「台風の日、向かいの家の庭で野良の子猫が鳴いていたんです。」 当時、お父さんは肺がんのステージⅥと診断され、抗がん剤治療をしながら自宅療養していたそう。向かいのおうちの奥さんは猫が苦手で、旦那さんは難病を患い、寝たきり状態。困っていることを聞いたお父さんは自身が猫好きだったこともあり、早速子猫を保護。 世話好きのお父さんは2~3時間置きにミルクを飲ませ、排泄のサポートもし、付きっきりでお世話。「がんに侵されたことで、大きくなっていく孫たちの世話が思うように焼けず、やきもきしていた頃だったので、持て余していた愛情がすべてあんこに向かったんです。」 以来、ふたりは寄り添い合い、共に「今」を生き続けました。 ところが、病は着実にお父さんの体を蝕み、やがて、酸素吸入の量を増やしても辛そうで、ベッドから起き上がることが難しくなっていったそう。しかし、そんな中でも、あんこちゃんへの想いは揺らぎませんでした。 「軽い羽毛布団を掛けると『苦しいからのけてくれ』と言うのに、胸の近くに乗っているあんこを降ろそうとすると、『寝てるから可哀想だ』と止められました。猫は重たくないんかいって、心の中でツッコみました(笑)」 何も言わず、ただただそばに寄り添ってくれる愛猫。「死」が見えていたお父さんはもしかしたら、そのぬくもりを感じることで「生きている」と強く実感できたのかもしれません。 そんな繊細な思いを感じ取っていたのか、あんこちゃんはお父さんが亡くなった後にはめっきりベッドに乗らなくなったのだそう。「でも、父が座っていたソファーのにおいは、何度も何度も嗅いでいました。」 命のタイムリミットが迫りくる中で心を通わせ合った時間は、ふたりにとってかけがえのないものであったはず。その時に紡いだ絆は、たとえ肉体が離れ離れになった今でもなお、“ここ”に存在しているような気がします。 猫嫌いのお母さんからも愛されるように 現在6歳のあんこちゃんは、2年後にやってきた保護猫のきび太郎くんと同居中。 しかし、お父さんから一身に愛情を注がれたからか、あんこちゃんは自分を「猫ではなく、特別な存在」だと思っているようで、きび太郎くんを全く受け入れられなかったのだそう。そのため、2匹は1階と2階で別れて過ごし、マイペースな日々を謳歌しています。 「あんこは一般的に見れば多分、気難しい子。でも、父の晩年に愛情を注ぐ相手となってくれた恩人です。当時、私は仕事を休み、自宅看護や看取をしましたが、父が亡くなった瞬間も、あんこはそばにいてくれました。」 また、あんこちゃんは猫嫌いだったお母さんを変えもしたよう。「母は初め、家の中にあんこを入れることに大反対。廊下で鉢合わせすると、驚いて泣いていました。」しかし、今では二人きりで過ごせるように。もともと構われるのが嫌いなあんこちゃんは、ご飯が欲しい時だけ遠慮がちにお母さんへ手を伸ばし、おねだりをするのだとか。 「二人はすっかり仲良くなりました。母は今では、目の前を通り過ぎる時、自らあんこの頭を指でちょんちょんと触ります。」もしかしたら、あんこちゃんはお父さんの代わりに、適度な距離感を保ちながらお母さんのことを見守っているのかもしれません。 大好きだった人の死を看取ったあんこちゃん。 彼女は今も人から愛され、人を愛しながら、明日を見つめています。 取材協力:mika(@mikaankokibi)さん Twitter:https://twitter.com/mikaankokibi 文/古川諭香 \ この記事をみんなにシェアしよう! / この記事をみんなにシェアしよう! 【猫クイズ】短足・小型・巻き毛が特徴の「ラムキン」ってどんな猫種? (3.3) ぼくたちは猫を育てているのではない。猫に育てられているのだ。 (2.27) 雪の降る中、お姫様抱っこで登校しました。 (2.27) タヌキは人を化かす!?ただしどうやら猫には勝てない (2.27) 注目のグッズ 犬猫どっち派?村松誠の「2021年版 犬猫カレンダー」 ドラえもんに大変身!犬猫用『ドラえもん コスチューム』 ボディケア用品からお菓子まで!猫好きな彼女や妻に喜ばれるホワイトデーギフト4選 【猫クイズ】短足・小型・巻き毛が特徴の「ラムキン」ってどんな猫種? 愛犬がまさかの“犬嫌い”…その原因はどこにあるのか? ぼくたちは猫を育てているのではない。猫に育てられているのだ。 \ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! / PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! Facebook にいいね!する Twitter をフォローする Instagram をフォローする Pinterest をフォローする