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50年以上前に死んだ猫が夢に出てきた理由

猫が死んだ朝

朝起きて手のひらに猫の感触が残っていた。夢の中で50年以上も前に亡くなった猫をなでていたのだ。しっとりした毛の感覚がまだ残っている。匂いまでついているような気がして、とっさに手のひらを嗅いだ。

猫のことはずいぶんおぼろげになっていたのに、夢の中では当時のまま出てきたのに驚いている。赤い首輪は母親がリリアン編みで作ってくれたものだ。忘れていた甘い鳴き声も久しぶりで、たまらなくなって飛び起きた。

今日は午後から入院で、しばらくこの部屋ともお別れだ。医者は何も言わないけれど、ここに帰って来れるかどうかも、よくわからない。病気が全身に広がっていて、もう誰にも止められないようなのだ。

部屋を見回して、もう一度、整理整頓されているかどうかを確かめる。遠い親戚の誰かがここへきて、不愉快に感じない程度には、片付けておきたかった。

本棚の上に飾られていた写真の中から、猫の写真を探して、入院用のバッグに入れた。今日、夢に見たのは何か意味があるのだろうか。猫も一緒についてきたかったのか、よくわからない。

夢の中の私は猫を膝にのせ、縁側でゆっくり波の音を聞いていた。生まれ育った海辺の家には広い縁側があり、そこでいつもひとりで遊んだり、宿題をして過ごした。波の音を聞きながら、美しい毛並みを撫でていると、猫の魂と自分の魂は確かに結ばれている気がした。

猫がいたから、寂しくなかった。猫がいるだけで世界は完璧だった。両親の絶え間ないケンカや、玄関で借金を取りに来る誰かの怒鳴り声がしても、猫が居たら怖くなかった。

そして気が付いた、猫がなぜ夢に出てきたのか、その理由がわかった。今日、私は入院するのがとてつもなく怖かった。だから、猫が夢で私を助けに来てくれたのだ。

帰って来れないかもしれない入院をする日の朝を、猫が助けに来てくれた。死んだ猫が私に寄り添い、膝の上にいてくれた。やさしく寄り添って、励ましてくれたのだ。

こんな不思議な出来事があるのだろうか。夢の中で猫が私を慰めに来てくれたなんて!誰かに知らせたいけれど、皆それを聞いたら困るかもしれない。「それは、死ぬ前の妄想だよ」と。

この病気になって、死に関するいろいろな本を読んでみた。どうやら死ぬ前には、大好きな人が迎えに来てくれるようだ。家族の縁が薄く、友人のいない私のところへは、どうやら猫が来てくれるらしい。なんと素晴らしいこと。もう一度、あの愛しい猫に会えるのだ。

私はこれから入院しに行くのではなく、猫に会いに行くのだと思うことにしよう。「猫」という言葉だけで心があたたまり、のどかな気分になってくる。笑顔で猫に会う旅に、出かけるのだ。

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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