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小石や砂をむやみに飛ばしてくる「ねこつぶて」

夜ごとの怪異!猫礫(ねこつぶて)

先日、知人と妖怪談義に花を咲かせる機会があった。
なんでもこの知人、以前山で天狗を見たという。

と言ってもその恰好はいわゆる山伏の衣装に赤い顔に長い鼻をしているアレではなく、透明だけどプレデターのステルス迷彩のように「透明だけどそこにいる」というのがはっきり分かる状況だったそうだ。
「それって見たことになるか?」と聞いたんだけど、本人曰く「なる。あれは天狗だ」と譲らない。
譲らないってことはまあ、天狗なんだろうと軽く考えて済ませることにした。

さて、天狗と言えば不可解な現象は、主に山の中で今も発生している。
天狗倒しという言葉をご存じだろうか。

天狗倒しとは、杣人も入らないような山奥で、木々を切り倒す音だけが響くという不思議な現象。
まあ普通に考えると枯れた樹木が自然に倒れるときの音なんだろうが、昔からそれを天狗の仕業と考える人というのがいた。

天狗が、木々をなぎ倒しているという解釈だ。
似たようなものに、天狗礫(てんぐつぶて)がある。
今日はちょっと、この天狗礫にまつわる話をしていきたい。ちょっとだけ猫にも関係ある話だ。ちょっとだけ。

天狗礫とは何か?

猫礫

天狗礫というのは、大昔から日本でしばしば確認されてきた、何もない上空から石が降ってくるという不思議な現象のことを指す。
天狗、もしくは狐狸の仕業と考えられており、大抵の場合空から降る石は目視できるが、落としている張本人の姿は見えないという。

似たような事例は実は世界中で報告されており、俗にファフロツキーズ現象なんて呼ばれてもいる。
石だけでなく大量の生きた新鮮な魚、快晴なのに水が降りそそぐなど、不可解この上ない落下現象が実際に記録されているのが面白い。

日本の場合は主に石ばかり降るという。ちょっと損だ。
石川県金沢市では近世に入っても繁華街にこの現象が発生し、人々を気味悪がらせたそうだ。

また、同じく姿も見せずに竹林で砂を撒く妖怪としては、砂掛け婆が有名だ。
この妖怪も実はその正体は不明。婆とは名付けられているものの、実のところ正体不明の現象なのである。

そして僕も小さな頃に、この天狗礫の亜種のようなものに遭遇している。

公園の砂場から勝手にばら撒かれていく大量の砂…

僕の地元は宮崎県の延岡市というところだ。
ここに80年代の終わり頃、よく祖母に連れられて出かける公園があった。
名前がたしかマンモス公園とか、そういう名称だったけど、別にそこまで広くない。

その公園のすぐ脇には古墳があり、蓋のない空っぽの石棺がそのまま残っているという、ちょっと変わった状況なので強く印象に残っている。
さて。この公園にはたくさんの遊具があるが、割と大きな砂場もあった。
この砂場について、変な話が一時だけささやかれていたのだ。

なんでも、夜中になると勝手にその砂礫が砂場から外に向かって飛び散るというのである。
実際に僕もあるとき、朝早くに公園に行ったら砂場からたくさんの砂が飛び散っていたのを目撃している。
「はて、誰の仕業か」と地元の人々もちょっとだけ気にしていたみたいだけど、別にそれ以外の害もないのですぐに風化してしまった。

が、実は僕はその正体におおよその見当がついている。
この公園の近くには大きな池があり、その入り口に、当時数頭の野良猫が暮らしていたのだ。

その野良猫の何頭かが、しばしば公園に出入りしていたのを見ている。
公園には砂場がある。砂場は猫にとっては絶好のトイレシチュエーション。
そして猫は用を足した後は前脚でザッザッと勢いよく砂をかける動作をする。

猫の向きにもよるが、場合によってはその際の所作が、砂場からたくさんの砂を掻き出すことになったんじゃないだろうかと、そう思ったわけだ。
だってしばしば砂遊びをしていると、猫のウンチが出土していたし……。

「幽霊の、正体見たり枯れ尾花」とはよく言うが、「砂礫、正体見たり猫トイレ」ってなものか。さしづめ。

おわりに

ちなみにこの公園の周りに生息していた野良猫たちだけど、元々そこまで獲物もいない環境かつ無責任な餌やりをしていた高齢者も徐々にあちらの世界に行ってしまったので、自然にいなくなってしまった。
恐らく今は、幼少のみぎりの僕のように、砂場で遊んでいて猫のウンチを掴んでしまうというアンラッキーな坊やも、もういないことだろう。

あ。そう言えばこの砂場についてのおかしな話がもう1つあった。
いつ行っても、その砂場には『ウルトラマン』に登場するアントラーという、砂漠に生息するアリジゴクの怪獣の人形が落ちていたのだ。
それこそ、発見した子供たちが気に入って何度家に持ち帰っても、またいつの間にか補充されていたのである。

僕もちゃっかり1つ持って帰って親に「どこから盗ってきたんだ!」と叱られた記憶がある。
でも、公園に返しに行く頃には、もうその砂場に下半身が埋まった状態のアントラーがぽつんと。あれはどんな物好きの悪戯だったんだろう。

文/松本ミゾレ

イラスト/今井美保

東京生まれ。少女マンガ誌でデビュー後いくつかの連載を経て、妖怪マガジン「怪」(角川書店)の「第一回怪大賞・京極夏彦賞」を受賞、妖怪漫画の道へ。イラストや漫画をほそぼそと描きながら暮らしている。

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