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【獣医師監修】命を奪われることも多い「猫の発情トラブル」を解決する最善策って?

兵藤哲夫の二十四節気

松尾芭蕉の句に「猫の恋やむとき閨(ねや)の朧月」という作品があります。猫の恋というのは初春の季語になっていて、芭蕉も発情期のニャーニャー騒ぐ猫の声を聞いていたのでしょう。

芭蕉の俳句は美しいのですが、実際の猫の発情は美しいばかりではなく、事故や病気、飼い主のいない猫の増加など、やっかいなトラブルの原因でもあります。

命を奪われることも多い、猫の発情トラブル

交通事故や転落事故など、猫のケガの多くは発情が原因となるケースがとても多いのです。つい最近も、雄猫どうしが鉢合わせして、一頭が玄関から道路に飛び出し、通りかかった車と衝突事故死するケースがありました。

飼い主さんは「いつもは仲の良い二頭で、発情期だけは一階と二階にわけて暮らすようにしていたのに、階段の柵を超えてしまった」と言います。発情を抑えていれば、命まで奪われることはなかったかもしれません。とても残念でした。

他にも、発情期に高い場所に逃げた猫が足場を崩して転落死したり、風呂桶の上に飛び乗って蓋がはずれ、水死してしまうなど、命を奪われるケースはたくさんあります。

発情トラブルは軽く見ない方が良いと、私は思います。発情期の猫の事故死は、飼主さんが想像しているより、はるかに多いと私は感じています。

春と秋だけじゃない、猫の発情

芭蕉の時代、猫の発情は春が中心で、栄養の良い飼い猫は秋の発情も可能でした。最近まで春・秋の年2回が普通だったのに、最近は一年中、発情が可能になっています。

繁殖家の間では、光を調節して発情をコントロールし、一年中産ませることが可能になっています。

発情は最初に雌猫が発情し、それを感じた雄猫が雌の鳴き声やフェロモンに影響されて発情します。

発情期トラブルを防ぐ最高の方法

飼い猫の命を守るためにも、発情期トラブルを防止する対策は必要です。そのための最高の方法があります。避妊・去勢手術です。避妊手術は雌猫の卵巣子宮全摘出のこと。去勢手術は雄猫の睾丸摘出を指します。

避妊・去勢手術は生後5ヶ月以降から可能になります。米国獣医師会では生後8~16週齢の猫に行う早期不妊・去勢手術(early spay and neuter)の定義もあり、私が見学したサンフランシスコの保護施設では日常的に行われていました。そこで働く先生は「早ければ早いほど、良い」と言っていました。

日本と米国では事情も異なりますが、いずれも発情ホルモンが出る前に行った方が、発情による問題高度が低く抑えられます。

特に飼い主さんを悩ませる、雄猫のスプレー行為を防ぐことができます(100%ではありません)。尾を高く持ち上げて尿を吹きつけるスプレー行動は、縄張りを主張するために尿で匂い付けする行動ですが、吹き付けられると独特の匂いがします。

ホルモンのコントロール薬より手術が安全

現在は発情の衝動を抑えるホルモン治療などもありますが、その子に合った処方は難しく、完全なコントロールは困難です。また、発がん率が高まるなど、副作用も多く、現在ではほとんど行われていません。

その点、避妊・去勢手術による発情の抑制は比較的簡単です。以前のように麻酔事故で亡くなるケースは稀で、健康な猫にとっては、避妊・去勢手術は安心して受けられる、最高の発情期トラブルの予防方法です。

長年、動物福祉に携わった経験からも、「繁殖させないのであれば、飼い猫は避妊・去勢して飼うのが常識」と、私は考えています。飼い主のいない不幸な猫を減らすためにも、室内飼いであっても、避妊・去勢手術をおすすめします。

避妊・去勢手術で人と暮らしやすい猫に

「避妊・去勢手術をしたら、うちの子でなくなっちゃう」と心配される方もいらっしゃいます。私は飼い主さんに「実はホルモンの異常で変わった性格になっていたのが、避妊・去勢手術で正常に戻って、本来の性格になる」と説明しています。

実際、手術をした後は狂暴性がなくなって、驚くほど穏やかになり、飼いやすくなったという声を聞きます。

愛猫の命を守る避妊・去勢手術

もうひとつ、発情期トラブルの改善とともに、病気から命を守る手段の一つでもあります。猫の子宮がんや子宮蓄膿症など、発情ホルモンが関係する病気を予防できます。

猫の乳腺腫瘍は8割以上が悪性であると言われています。転移しやすい怖い病気ですが、避妊手術をして、発情を迎え、乳腺を発達させないようにすることで、病気を防ぐことが可能です。

雄の場合は、精巣腫瘍や前立腺肥大の予防となります。前立腺肥大は、特に去勢していない雄猫が発症しやすい病気のひとつです。

避妊・去勢の2つのデメリット

最後に、発情期トラブルの解決方法である、避妊・去勢手術のデメリットを2点あげておきます。まずは肥満です。基礎代謝が減少して、太りやすくなります。

もうひとつ、ホルモンバランスが崩れて、皮膚病などを発症するケースもあります。しかし、いずれも命にかかわるものではありません。

兵藤動物病院 兵藤哲夫
麻布大学獣医学科卒業後、1963年横浜市にて兵藤動物病院を開設。ヒョウドウアニマルケア代表として公益社団法人日本動物福祉協会理事、横浜市獣医師会理事などを歴任。TBSラジオこども電話相談室の回答者などをつとめた。

文・編集/柿川鮎子

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