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椿は縁起が悪い…?庭の椿に病んだ猫

異形の猫

僕は田舎生まれの田舎育ち。

子供の頃から家の周りにはタヌキの親子だの、キジのつがいだのが頻繁にやってきては、猫の額ほどしかない庭を遊び場にしていた。

おぼろげな記憶だけど、1階には申し訳程度にハチの巣箱があり、そこでミツバチを飼育していた。

オスの蜂が刺さないと知ったのは、3つか4つの頃だったかあ。

そんな環境なので、祖父母の家もまた山に囲まれ、やはり鳥獣が遊びに来るような環境だった。

この祖父母の家の庭には、リンゴやモモ、イチジクにミカンなどの木が植えられており、季節ごとに実が収穫できた。そんな木々の中に、椿があった。

花が枯れる前にポトリと落ちる椿は縁起が悪かった

椿の花はとても綺麗で見ごたえもある。元々丈夫な植物でもあるので、別に何か手を加えることをしなくてもいいので、昔はそこら中で育てている世帯があった。

しかしこの椿、実は縁起が悪い花でもある。

椿は、咲いた花が枯れるまで枝についていることが稀な植物。いつも唐突にポトリと落ちて、地表に落下してから徐々に枯れていく。

これを昔の人は、まるで斬首された人を彷彿させると感じていたらしい。

死罪で打ち首となった場合、当然首を落とされてしまうことになるが、それが椿が花をポトリと落とす様子にダブって見えていたようなのだ。

今となってはそんな話はほとんど忘れられているが、しかし個人的には椿という植物は死を連想させるもので、これには理由がある。

横たわる 猫に死に花 落ち椿

小学校に上がるちょっと前ぐらいの頃か。

祖父母の家の畳部屋で横になりながら、僕はなんとなく庭を見ていた。するとそこに、よたよたと変な動物がやってきた。

最初はよく分からなかったが、じっくり見ると毛が抜け落ちた猫だった。疥癬にでもかかっていたのかもしれない。

いかんせん被毛がないので毛の柄も分からない。元々その辺にいた野良猫か、それとも別の場所から来た猫かも分からなかった。

息も絶え絶えといった塩梅のこの猫は、庭をひとしきり嗅ぎまわると、静かに椿の根元に腰を下ろした。

そしてそのまま動かなくなり、やがて死んだ。

このとき、椿の木から一輪の花がポトリと落下した。

花は猫の、ちょうど枕元にあたる場所に落ちて、僕はまるでそれが引導を渡したかのように思えたものである。

あとになって祖母と一緒に、この猫を桃の木の根元に埋めた記憶がある。祖母の「ここに埋めれば、桃も大きく育つでしょ」との一言に「なんか無神経な言いぐさだな」と、ちょっと嫌気が差した。

おわりに

さて、古くから人々に死を連想させてきた椿には、それをモチーフにした妖怪もつきもの。

古椿の精という妖怪は中でも有名で、いくつもの怪談に登場する。

基本的には人を騙したりする悪い妖怪で、中には女に化けてたぶらかして命を奪うものもあったそうだ。

今でも庭先に椿を植えている家をたまに見かける。色々と不吉な話はあるが、それでも咲いている花を目にすると、その美しさに心が揺れるものである。

文/松本ミゾレ

イラスト/今井美保

東京生まれ。少女マンガ誌でデビュー後いくつかの連載を経て、妖怪マガジン「怪」(角川書店)の「第一回怪大賞・京極夏彦賞」を受賞、妖怪漫画の道へ。イラストや漫画をほそぼそと描きながら暮らしている。

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