TOP>ニュース > 実在した二口猫、そのかけがえのない生涯【異形の猫】

  • ニュース

実在した二口猫、そのかけがえのない生涯【異形の猫】

異形の猫

妖怪というものは元来、人が何かを見間違えたり、何もない暗闇の中に不気味な息吹を感じたりして生み出されたものである。

たとえばおしろい婆という妖怪などは、真冬に老婆が酒を求めてさまようというだけのものだが、昔の人はそれを見て「妖怪だ」と恐れていたわけだ。

同じように、今現在は普通に「たまにそういう人いるよね」で済まされているものも、昔は奇奇怪怪な存在だと認識されていた事例は山のようにある。

二口女という妖怪をご存じだろうか。

その名のとおり、この妖怪には口が二つある。まずは普通に顔に一つ。そしてもう一つは、後頭部にあるのだ。

何とも不気味な奴だが、自然界においてこういうことは稀にある。顔が2つあったり、足が通常よりも多かったりする個体を、みなさんもいつかどこかで目の当たりにしたはず。

今回は、そうした遺伝子の気まぐれによって、いわゆる“二口猫”として生まれたフランクとルイについて振り返っていきたい。

世界でもっとも有名なヤヌス猫

ローマ神話に、双頭の神ヤヌスという存在がある。

日本でもヤヌスというワードは割とよく知られているが、おそらく昔『ヤヌスの鏡』というドラマが放映されていたからだろう(笑)。

さて、顔が二つある動物のこと専門用語で二顔体と呼ぶそうだ。が、もっぱらこういう動物はこの神の特徴的なルックスにちなんで、ヤヌスと呼ばれている。

1999年9月、ブリーダーが管理していたラグドールの母猫からヤヌス猫が生まれた。一つの体に二つの顔を持って生まれたこの猫は、それぞれフランクとルイと名付けられた。

通常ヤヌスは数日で死んでしまうが、このフランクとルイは違った。

ブリーダーからは安楽死を要請されたものの、これを引き受けた大学の獣医学部に勤務する看護師は、フランクとルイを延命させることにしたという。

そしてまた、フランクもルイもこの処置の甲斐あって次第に元気になっていき、ついには自力で食事も摂ることができるようになったそうだ。

ヤヌス猫最長寿命を全うすたフランクとルイ

フランクとルイは、顔こそ二つあるが、脳はそれぞれが一つのものを共有していたと言われている。

つまり厳密にはあくまでも一個体であったのだが、睡眠の際にはどちらも目を閉じていたそうだ。傍目にはフランクもルイも、それぞれに独立した意思を持っているようにも見えたことだろう。

さて、そんなフランクとルイは、2014年の12月まで生きた。つまり15年間も存命できたということになる。

これはヤヌスにしては驚異的な数字で、ギネスブックにも記録されており、今後も塗り替えられることはほとんどないと考えられる。

死因は進行性のがんによる安楽死ということだったが、この死因すらも私たちが当たり前に飼っている猫にも、十分ありえるもの。

フランクもルイも、見てくれこそ奇異だったが、最終的には普通の猫としての一生を駆け抜けたというわけだ。

おわりに

妖怪、二口女は人間がモチーフとなっているが、二顔体の動物は猫、亀、羊に蛇など、世界各地で発見されている。となると、その昔日本にも二顔体の人物がいて、その人物が周囲から恐れられていくうちに、いつしか二口女という妖怪として知られるようになったのかもしれない。

それにしても、フランクもルイも、幸せな一生を歩めたのではないだろうか。あわや殺処分というところから、献身的な看護師に引き取られて長生きできたのだから。

重篤な障害を持つ猫が長生きするのは、周りの人々の献身的なサポートあってこそ。

いち飼い主として、その姿勢を見習いたい。

文/松本ミゾレ

イラスト/今井美保

東京生まれ。少女マンガ誌でデビュー後いくつかの連載を経て、妖怪マガジン「怪」(角川書店)の「第一回怪大賞・京極夏彦賞」を受賞、妖怪漫画の道へ。イラストや漫画をほそぼそと描きながら暮らしている。

\ この記事をみんなにシェアしよう! /
この記事をみんなにシェアしよう!
関連記事
関連記事
  • ニュース

【猫クイズ】短足・小型・巻き毛が特徴の「ラムキン」ってどんな猫種? (3.3)

  • ニュース

ぼくたちは猫を育てているのではない。猫に育てられているのだ。 (2.27)

  • ニュース

雪の降る中、お姫様抱っこで登校しました。 (2.27)

  • ニュース

タヌキは人を化かす!?ただしどうやら猫には勝てない (2.27)

もっと見る

注目のグッズ

犬猫どっち派?村松誠の「2021年版 犬猫カレンダー」

ドラえもんに大変身!犬猫用『ドラえもん コスチューム』

人気記事
人気記事
\ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! /
PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック!


ページトップへ戻る