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ひとり暮らしのシニアも安心してペットと暮らせる「信託システム」って?

ひとり暮らしのシニアも安心してペットと暮らせる「信託システム」って?

自分の死後も、愛するペットの生活を守りたい

一人暮らしのシニアにとって、ペットは家族と同じ、もしかしたら家族以上の存在ですよね。でも家族と違ってペットは、ひとり暮らしの飼い主が亡くなったら生きていくことができません。「もし自分に何かあったら、この子たちはどうなるんだろう?」そんな不安を抱えながらペットと暮らしているシニアの方、そしてそうした不安や責任感から、ペットと暮らすことをあきらめてしまっているシニアの方も多いのではないでしょうか。

NPO法人「ペットライフネット」代表の吉本由美子さんも、そんな一人でした。一人暮らしで3匹の猫と暮らしていた吉本さんは60歳の時、急病で半月ほど入院したことをきっかけに、自分が亡くなった後の愛猫の飼育について、真剣に考えるようになります。

猫に資産を遺すことも考えましたが、日本の法律では猫は「モノ」なので資産を相続させることはできません。さまざまな専門家に相談した結果、吉本さんがたどりついたのが、以下のシステム。

*ペットの一生分の飼育にかかるお金(生涯飼育費用)を信託会社に預けておく。

*飼い主が死んだり、施設に入って世話ができなくなったりした時、動物愛護団体(ペットライフネット)が里親への仲介と引き取り後の飼育状況の監視をする。

*動物愛護団体(ペットライフネット)による指示のもと、ペットが生きている間、里親に信託会社から生涯飼育費用が払われる。

その構想に賛同した専門家たちとともに2014年、「特定非営利活動法人ペットライフネット」を設立し、ぺット飼育信託システム「わんにゃお信託®」の提供を開始しました。

わんにゃお信託®のしくみ

「わんにゃお信託®」に預ける生涯飼育費用は、「ペットライフネット」かかりつけの獣医師による「エンジェル診断」(ペットの余命診断)から、さまざまな費用を算出して導きだします。

◎飼い主が世話をできる間は…

契約後、信託会社にペットの生涯飼育費用を託しますが、この費用は、飼い主がペットの世話ができなくなりペットライフネットに預ける時、飼い主が世話をしていた期間分は払い戻されます。ペットが先に亡くなった場合は、終生飼育契約は終了し、飼い主に払い戻されます。

「わんにゃお信託®」にはこのほかにも、「遺言書+定期預金」、「遺言書+積立預金」など飼い主の経済状況や健康状態、頼める人がいるかどうかなどによっていくつかの選択肢があります。

◎飼い主が先に亡くなった時

飼い主が死亡したり、施設に入所したりしてペットと暮らすことができなくなった場合、「ペットライフネット」が責任を持って里親を探します。里親が適切に飼育しているかどうかの飼育管理は、愛玩動物飼養管理士の資格を持つ「ペットライフネット」スタッフが責任をもっておこないます。

◎ペットが先に亡くなった時

飼い主もペットも元気な期間は、預けていた飼育費用は手をつけることなく保全され、ペットが亡くなった時点で終生飼養契約は終了。預けていた飼育費用の全額が飼い主に戻されます。

53歳で肺がんに侵された飼い主さんの例

このシステムを利用された方の一例として、53歳で肺がんに侵された飼い主さんのケースをお聞きしました。飼い主さんのお母さまは老齢で体調がすぐれず、2人の姉は別に所帯を持っていて、家族で猫の飼育が可能な人はいない状況だったため、非常に急いで「わんにゃお信託®」の契約をされたそうです。

「契約されてちょうど1年後、飼い主の方のご逝去の連絡があり、ペットライフネットのスタッフがお住まいに急行し、飼われていた猫を保護しました。保護された猫は、21歳の猫を亡くしてペットロスに陥っていたご家族に引き取られました。飼い主さんが入退院を繰り返されていたために、保護した時はあまりお世話が行き届いていなかった状態でしたが、今ではぷくぷく太り、幸せそのものの生活をしています」(吉本さん)。

「飼い主は、ペットを決して哀しませないよう心しなければ」

代表の吉本さんが団体設立の決意をしたきっかけは、りっぱな邸宅に住みながら、「高齢で最期まで世話ができないから」と猫と暮らすのをあきらめている愛猫家の老婦人の家を訪ねたことだそうです。「家の中で会話をするのは、唯一、留守宅に戻ってきたときにホームセキュリティ解除時の『お帰りなさい』という機械音だけ」という悲痛な訴えを聞き、「子離れが終わったシニア世代にとって、ますますペットが生活に欠かせない存在になっている。そのペットの余生を保証するシステム構築が必要」と考えたとのこと。

「私自身も高齢なので、ペットを飼っていてつくづく思うのは、ペットによって今の自分も生かされている以上、決してペットを哀しませないように心しなくてはならないということです」(吉本さん)。

そのために、シニアの飼い主にはぜひ、以下のことを心がけて欲しいそうです。

1) ペットの生涯飼育費用をしっかり把握し、取り分けておく。
2) 遺されたペットのために、遺言書を作っておく。
3) 信頼できるペット仲間(個人・団体)を作る。
4) 日頃からペットを人馴れさせる(もしもの時に環境に順応させるため。猫の場合は非常に難しいですが…)
5) 一日でも長くペットといっしょに暮らすために、自分の気力・体力をしっかり保全する。

仕事や家族の世話から解放されたシニア期は、ペットとゆっくり向かい合い、じっくりと心を通い合わせられる「黄金期」。人生100年時代は、その黄金期を長く楽しめる時代でもあります。だというのに、死後の不安からその貴重な黄金期を孤独に過ごさなければならないなんて、もったいなさすぎます。この信託システムが多くの方に浸透すれば、「シニアもペットと安心して暮らせる社会」の実現も夢ではないと思いました。

取材・文/桑原恵美子
取材協力/NPO法人 ペットライフネット
関連リンク/
わんにゃお信託®公式サイト
NPO法人 ペットライフネット

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