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ものに宿る「つくもがみ」は猫グッズにだって…【異形の猫】

異形の猫

付喪神(つくもがみ)という言葉をご存じだろうか。

日本特有の発想・文化によって生み出されたものであるが、簡単に説明すると、物に命が宿ったものを付喪神と呼ぶ。

たとえば家具に人形などを長い間人が使っているうちに、いつの間にか神さまや魂が入り込んでしまうわけだ。そういった状態のことを、昔の人は「付喪神が宿った」と表現していたわけである。

これら付喪神はしばしば人をたぶらかすという話も複数残されており、そういった習性からか妖怪と同一視される向きもある。今回は、この付喪神について少々話をしていきたい。

物を大事にするのはいいこと。しかし大事にしすぎるのも…

付喪神というものは必ずしも害悪を与えるものではない。場合によっては、持ち主を見守るようなこともあるようだ。

ただ、古くからの文献を見ていると、穏やかではない話もあったりする。家人が大事にしていた人形が夜中に動き出すとか。

故人の愛用していた物品が勝手に移動するようになったとか。得体のしれない事例もあるにはある。

ここでちょっと面白い実例を紹介したい。筆者の知人女性が以前「ちょっと聞いて」と、不思議な話を持ち掛けてきたことがある。

彼女はアパート住まいが長く、そのうえで猫がとにかく好きだった。

しかしそのアパートの管理人は大の猫嫌い。決して敷地内で猫を飼わないようにと、入居者たちに徹底して伝えていた。

管理人の猫嫌いは相当なレベルで、花壇には水の入った猫除けのペットボトルが柵のように並んでいたほどだ。

が、知人女性としてはどうにも猫が諦められない。

そこで彼女はおもちゃ屋に出向き、そこで電池式の立派な猫のぬいぐるみを購入した。

このぬいぐるみ。センサーを内蔵していて、人が目の前を通ると鳴いてアピールしたり、撫でると目を細めるなど、かなり多機能な代物。彼女はこのぬいぐるみにすっかり入れ込んで、毎日のように、まるで本当の飼い猫にするように優しく接していたという。

そんな日々が数年続いたあるとき、おかしな出来事が……。

ぬいぐるみに命が宿り、アパートの管理人が困惑(笑)

ある夏の朝。

いつものように彼女が仕事に向かうために部屋を出ると、そこには鬼の形相の管理人がいるではないか。

「どうしました?」と問いかけると、管理人は堰を切ったように捲し立てる。

「猫飼ってるでしょ! さっき窓越しに猫がこっちを見てあくびをしてたよ!」

彼女は当然本物の猫は飼っていない。

家にいるのはぬいぐるみの猫。しかもいつも座っている状態のスタイルで、ベッドの脇に鎮座している。

頭の中が「?」でいっぱいになりつつ、管理人にせかされて彼女は部屋を見せることにした。

管理人はずかずかと彼女の部屋に押し入り、物色をはじめる……が、しばらく経ったら青い顔をして知人女性に話しかけた。

「ねえ、このぬいぐるみって動いたりする? さっき窓越しに見たの、これだよ」

彼女はこの問いかけに困惑したが、とりあえずこの猫は歩く機能を持たないこと。あくびを再現する機能もないことを説明した。そしてもちろん、日焼けを防ぐために窓の近くに置くようなことはしない、とも。

結局管理人は「朝からごめんね」と平謝りして、逃げるように出て行った。

そしてその晩、知人女性に“朝のお詫び”と称して、高そうな和菓子を持参し、そこで改めて非礼を詫びたということだ。

彼女としては「もしかして私が知らないだけで、歩行機能とかあるのかな」と少し期待したが、やっぱりそういう機能はなかった。

となると、彼女が溺愛しているぬいぐるみは、もしかすると魂が宿り付喪神となっていたのかもしれない。

おわりに

実はこの話にはもう少し続きがある。

彼女はそれからもぬいぐるみを大切にしていたが、内蔵バッテリーが切れてしまったのか、もう電池を入れ替えても動くことも鳴くこともなくなって久しい。

しかし、今でも時折、ぬいぐるみは一声だけ鳴いたりすることもあるそうだ。

そしていまだに、アパートの管理人は窓越しにそのぬいぐるみと目が合うのだという。

物を大切にするのはいいことだ。

時にはこういう不思議な事例を呼び寄せることもあるのだから。

文/松本ミゾレ

イラスト/今井美保

東京生まれ。少女マンガ誌でデビュー後いくつかの連載を経て、妖怪マガジン「怪」(角川書店)の「第一回怪大賞・京極夏彦賞」を受賞、妖怪漫画の道へ。イラストや漫画をほそぼそと描きながら暮らしている。

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