TOP>連載 > エリザベスカラーを装着したけど…【犬猫家族】

  • 連載

エリザベスカラーを装着したけど…【犬猫家族】

石黒由紀子の犬猫家族

~豆柴センパイと捨て猫コウハイと一緒に~ vol.56

センパイは13歳になり、また一段、大人の階段を登ったような感じです。そう言葉にすると、年齢という名の数字に負けてしまっているようでしゃくですが。

 センパイの年齢を特別な感慨を持って意識したのは7歳のとき。それは年齢別で売られているドッグフードのパッケージに「シニア犬用•7歳~」と書かれているのを、無意識のうちに意識していたからだと思います。

 1歳、2歳、3歳……、それまでは、誕生日がきて年齢を重ねられることは、無事に成長できていることへの喜びと感謝しかありませんでした。しかし7歳になって、急に「シニア犬の仲間入り」となり、「もう若くはないのですよ」と言われたような気がして。年齢を重ねていくことへのテンションが少し低くなったような。

 次は、10歳になったとき。年齢も2ケタともなると、ともに歩んで来た日々も重みを増してくるもので「大台に乗ったなー」としみじみしました。11歳の誕生日を迎えたときには、知人から「犬の11歳は、人でいうと還暦ですよ。おめでとうございます!」と祝ってもらいました。「還暦」というと、やっぱり区切りの年齢ですね。「センパイが私の年齢を越えた」ということを心して受け止めました。

 この頃から、なにかと動物病院へ行くことも増えました。センパイは健康には恵まれているほうで、有り難いことに通院するのは年に2~3度。注射と健康診断のときくらい。しかし、急に痒がったり、後ろ脚の調子が悪そうになったり、ちょっとした変化が見られるようになって、そのつどどうぶつ病院に行き、大事には至らずになんとか今日まで。

 そして今年。顔や脚など、白髪も増えてきました。散歩中に年齢を聞かれたときに「13歳です」と答えると、「あら~、おばあちゃん。がんばっているわね」などど言われます。その言葉の奥には「今はまだ大丈夫そうだけど、年取ると大変よね」という雰囲気が滲んでいるような。そして、同じ年頃の犬の飼い主の間では「きっと、これからいろいろありますね。お互いにがんばりましょう」的なやり取りが交わされるようにもなりました。同士感も芽生えてます。

 そんな矢先、センパイがおしりを気にするようになりました。執拗になめます。「なめちゃだめよ!」と私が注意するものだから、センパイは物陰に隠れてなめるようにまでなってしまって。

 獣医師に診てもらったところ「肛門腺ではないか」と診断されました。たしかに、今まで13年間、一度も絞ったことがなかったのです。肛門腺とは、肛門の両脇にあり、ここから分泌されるものが、嚢(のう)に溜まるもの。スカンクが身を守るために発射するのもそれです(犬の場合はスカンクほど強烈ではありません)。

 痒そうにしたり、おしりを床にこすりつけているときはその兆しで、肛門腺を絞ってもらうそうですが、個体差があるようでセンパイにはこれまで一度もその兆候がなくて。「ずいぶん溜まっています」と獣医師。さっそく絞ってもらいました。

 しかし、その後もなめるのは治まらず……。再度、病院に行き検査をしてもらったところ、なにやら菌がいることが判明、原因は不明。患部は広がっているものの、症状はそれほど重くなく、約10日ほど、消毒して薬を塗り続けることで完治。センパイにもかゆい思いをさせてしまい、かわいそうなことをしました。

 菌の繁殖もこれこれまでなかったこと。あらためて、年齢と身体の変化を意識しました。今後も免疫力が落ちたり、温暖さにも敏感になるかもしれませんね。私自身も神経質にはならないように、年齢のことも意識し過ぎずに、おっとりと構えつつ注意深く見守っていきたいと思います。

 菌のかゆみと闘っているときは、消毒と薬を塗るのは日に2回。患部を舐め壊してしまわないよう、しっかりとエリザベスカラーを装着。プラスチック製のハードなものでは身動きが不自由でストレスになるかと思い、スポンジと布でできたやわらかいタイプのものを付けていました。センパイもそれほど嫌がらず、おとなしく装着していましたが、治療から5日ほど経った頃、ふとセンパイを見ると付けているはずのカラーをしていませんでした。

「外れてしまったのかなぁ……」。不思議に思いつつ、装着しなおしましたが、「あれ?」しばらくして確認するとまた外れていました。

 そして、私は目撃しました。布製のエリザベスカラー、3つのマジックテープで止められ装着するしくみですが、センパイがカラーの端を前脚で踏み、ブルンブルンと2度ほど強く首を振る。するとバリッとマジックテープのひとつが剥がれ、それを何度か繰り返しているうちにカラーは外れる……。そんな技をあみ出していたのです。

 こう言うのもなんですが、センパイは温室育ちでぼんやりとしている(食べること以外)犬なのです。こんな智恵を使えるなんて驚きました。これも年齢を重ねてこそ、なのかもしれませんね。そういえば、私との意思の疎通は年々深みを増していて、今が一番お互いを理解し合っていると感じます。年を重ねるのも悪いことばかりでもないですね。

今年もカレンダーができました。好評発売中です!

センパイコウハイカレンダー2019 ¥1,100(税込み) 送料別

くわしくはこちらから
https://seemoreglass.theshop.jp/items/8765389

石黒由紀子(いしぐろ・ゆきこ)

エッセイスト。栃木県生まれ。日々の中にある小さなしあわせを綴るほか、女性誌や愛犬誌、webに犬と猫との暮らし、グッズや本のリコメンドを執筆。著書に『GOOD DOG BOOK~ゆるゆる犬暮らし~』(文藝春秋)、『なにせ好きなものですから』(学研)、『さんぽ、しあわせ』(マイナビ)など。『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』『犬猫姉弟センパイとコウハイ』『しあわせ4コマ豆柴センパイと捨て猫コウハイ』(ともに幻冬舎)は、幅広い支持を受けロングテールで人気。近著は『猫は、うれしかったことしか覚えていない』(幻冬舎)

◆石黒由紀子HP
http://www.blueorange.co.jp/yuruyuru/index.htm

◆石黒由紀子instagram
https://www.instagram.com/yukiko_ishiguro_/

◆石黒由紀子Twitter
https://twitter.com/yukikoishiguro

\ この記事をみんなにシェアしよう! /
この記事をみんなにシェアしよう!
関連記事
関連記事
  • 連載

褒められて伸びるタイプです 【犬猫家族】 (2.22)

  • 連載

里親に見放された肥満犬、体重半分のダイエットに成功! (1.22)

  • 連載

トイレが多いコウハイ 【犬猫家族】 (1.17)

  • 連載

ゲバラのバースデー旅行、そして初詣へ (1.16)

  • 連載

もしかして、ボケがはじまった? 【犬猫家族】 (12.17)

  • 連載

エリザベスカラーを装着したけど…【犬猫家族】 (11.21)

  • 連載

末っ子カリドと母子の旅へ【わんちゃんからの贈り物(おでかけ編25)】 (11.12)

  • 連載

ハロウィン。【まう助日記】 (10.31)

もっと見る

注目のグッズ

これで人気犬!犬猫用『ドラえもん コスチューム』

どっちを選ぶ?村松誠の2019年版犬猫カレンダー

一緒に洗濯するだけで犬猫の毛を絡み取る『フリーランドリー』

愛犬が粋な日本男児に! クールな和柄の甚平

暗がりに浮かぶ柴イヌのシルエット!『シバウォールライト』

浄水フィルターできれいなお水を愛犬に!『ワンタッチ・ウォーターボトル』

「い草」の香りと畳の心地よさが愛猫を虜にするキャットバスケット

豆柴のまう助がひょっこり「こんにちは」! 日常使いにぴったりのトートが登場

人気記事
人気記事
\ PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック! /
PETomorrow をフォローするには下のボタンをクリック!


ページトップへ戻る